ミニ・レビュー
手に汗握る地下牢の場面、魂の底から絞り出すようなカウフマンの表現に心奪われる。フロレスタンの苦悩に真のリアリティをもたらす凛とした歌唱が秀逸だ。アバドはドラマのエネルギーを凝縮して音楽の骨格を丹念に彫琢し、ベートーヴェン解釈の真髄を究める。★
ガイドコメント
2010年ルツェルン音楽祭のオープニング・コンサートを飾った「フィデリオ」。カウフマンのほか、シュテンメやシュトラックマンなど充実のキャストと、アバドのもとに集まった精鋭たちによるルツェルン祝祭o.の演奏は聴きものだ。
演奏
クラウディオ・アバド指揮 マーラー・チェンバー・オーケストラ ルツェルン祝祭管弦楽団 アーノルド・シェーンベルク合唱団 ラヘル・ハルニシュ(S) ニーナ・シュテンメ(MS) ヨナス・カウフマン,クリストフ・シュトレール(T) ペーター・マテイ,ファン・セバスティアン・アコスタ(BR) ファルク・シュトルックマン,クリストフ・フィシェッサー,レヴェンテ・パール(BS)