ミニ・レビュー
メンバー脱退、ユニット名の改名ときて、いきなりアルバムを発表し騒がせるももクロZ。その回答として、懐かしの戦隊ヒーロー風に仕上げた自己紹介ナンバーでアルバムは幕を開ける。そこから先はオタ芸もやりやすいダンサブル・ナンバーに乗って、5人は魅力を振りまき続ける。
ガイドコメント
“いま、会えるアイドル”をコンセプトとした5人組ガールズ・ユニット、ももいろクローバーZによる2011年7月発表の1stアルバム。「D'の純情」など先行シングルのほか、新録音源も収録する。
収録曲
01Z伝説〜終わりなき革命〜
早見あかりが脱退、“Z”として初のリリースとなった4thシングル。水木一郎と立木文彦をゲストに迎え、戦隊ヒーロー風のアレンジを施したユニークな曲調が肝だ。メンバーの自己紹介的な歌詞も独特だが、“BLUE!! あ……”が泣ける。
02CONTRADICTION
ブイブイと鳴るシンセ・ベースを中心に、アップ・テンポで一気に駆け抜けるクールなナンバー。マジョリティに埋もれることなく“アクセルベタ踏み”でいこう、と全力パフォーマンスが持ち味の彼女たちならではの強い想いを歌い上げる。
03ミライボウル
スポークン・ワード風のゆるめの歌唱が渋谷系の血脈を感じさせる、前山田健一作曲の3rdシングル。キュート&オシャレ路線かと思いきや、サビでありえないくらいの変化をみせるあたりがももクロ印。NARASAKIの編曲が効いている。
04ワニとシャンプー
遊び尽くした夏休み、8月31日に手を付ける宿題の山……多かれ少なかれ誰しも経験があるような苦い思い出を歌ったサンバ・テイストのキラー・チューン。突拍子もないタイトルの組み合わせは、酸素を作るのに必要とされるもの!?
05ピンキージョーンズ
NARASAKIが作/編曲を手がけた2ndシングル。基本はアップ・テンポのポップ・チューンだが、全編にわたって忍ばせたアジアン・テイストが絶妙な味わいを醸し出している。メンバーの名前を使ったブリッジの歌詞も楽しい。
06キミノアト
悲しげなピアノとバンド・サウンドで聴かせる本格派バラード。ドラマティックなメロディに乗せ、消えない想いとは裏腹に、迎えてしまった別れを綴った物語が切なく響く。ある意味では貴重ともいえる、彼女たちの小細工なしの歌唱も見事。
07D'の純情
「Chai Maxx」と同じく、只野菜摘×横山克のコンビによる5thシングル。全編にわたって展開する重厚なサウンドに、“闇を知る者だけが”という歌い出しがシリアスな雰囲気を加速させる。逆境を味方につけて突き進む彼女たちならではの一曲。
08天手力男
シタールやタブラを多用した、およそアイドル・ソングとは思えぬトライバルなサウンドが魅力のNARASAKI作/編曲による一曲。日本神話に登場する“アメノタヂカラオ”をモチーフにした歌詞も独特だ。突き抜けるサビでの爽快感は格別。
09オレンジノート
“たった一度きりの 今日という魔法”……月並みともいえるフレーズだが、全力でその“魔法”を作り出す彼女たちが歌うとグッとくる。お約束のトリッキーな変化からのラップ、それぞれの声が重なるサビへと流れ込む終盤は秀逸。
10行くぜっ!怪盗少女
ライヴでの“エビ反りジャンプ”も含め、ももクロの代名詞といえるメジャー・デビュー・シングル。ハイスピードで突き進むビートに乗せて、メンバーそれぞれの個性をフルに活かしたヴォーカルが息つく間もなく交錯するキラー・チューンだ。
11スターダストセレナーデ
多幸感に満ちたサウンドと、とびきりポップなメロディがキュート。所属事務所でもある“スターダスト”を入れつつ、週末ヒロインらしく“週末も、ひとりじゃない(これからも!)”と歌う決意と夢に満ちた歌詞が胸に沁みる。
12コノウタ
“振り向けば仲間が支えてくれた”“コノウタ 君に届け”など、早見あかり脱退への思いも重なるようなポップ・チューン。短いメロディに多くの言葉を乗せる難易度の高いフレーズで聴ける“まだちょっとつたない”歌唱も、むしろいい舞台装置。
13ももクロのニッポン万歳!
アルバム『バトル アンド ロマンス』ボーナス・トラックとして収録された、前山田健一による強烈な一曲。日本中の名物をひたすら歌い上げるインパクトが先行するが、東日本大震災の被災地へ向けた感動的なメッセージも詰まっている。「ココ☆ナツ」ほか過去曲のフレーズも密かに登場。