ミニ・レビュー
新ギタリストにジョシュ・クリングホッファーを迎えた10枚目のアルバム。リズム隊の自由度が増し、攻めのジョン・フルシアンテのギターに対し、ジョシュは彩りを加える受けの演奏が印象的。小気味好くコンパクトな引きのダイナミズムが息づき、トップ・バンドの貫禄とともに飽くなきポテンシャルを再認識。
ガイドコメント
2011年8月リリースのスタジオ・アルバム10枚目。前作『ステイディアム・アーケイディアム』を含む過去5作を手掛けた、旧知の仲といえるリック・ルービンがプロデュース。ギターにジョシュ・クリングホッファーを迎えた、ファンキーな要素満載の一枚。
収録曲
01MONARCHY OF ROSES
記念すべき10thアルバム『アイム・ウィズ・ユー』の冒頭曲にして、28年のキャリアで初となるCM(日産「エルグランド」)への提供曲。色彩感あふれる歌詞を紡ぐ、ダイナミックでキャッチーなメロディが爽快なロック・チューンだ。
02FACTORY OF FAITH
これまで5作のプロデュースを手がけたリック・ルービンとタッグを組んだ10thアルバム『アイム・ウィズ・ユー』収録曲。緊張感あふれるサウンドと“真実としては 俺は一部でしかない”と繰り返す歌詞がマッチしたシリアスなラヴ・ソングだ。
03BRENDAN'S DEATH SONG
切ないギター・フレーズでスタートするセンチメンタルなロック・チューン。一人の男の死に際に思うことや愛する人への感謝の気持ちを語った歌詞は、生きることがいかに当たり前でないかということを改めて教えてくれる。
04ETHIOPIA
“また新たな一日を愛するために生きる 自信がない時でも”など、ポジティヴな言葉をちりばめたロック・チューン。サウンドは淡々としており、かえって歌詞がスッと耳に入ってくる。気力を回復させるのに効果的なエネルギーに満ちている。
05ANNIE WANTS A BABY
哀愁漂う低音のベース・ラインとエモーショナルなギター・フレーズ、さらにはシリアスなアンソニー・キーディスの歌声が緊張感を漂わせるロック・チューン。心の痛みをともなうストーリー風の意味深な世界観に引き込まれる。
06LOOK AROUND
“見回してご覧 辺り一面を”と繰り返す畳み掛けるようなラップを取り入れた、アグレッシヴなロック・チューン。時折挟み込まれるハンド・クラップとギターのピッキングや流麗なコーラスが、いっそうテンションを高めていく。
07THE ADVENTURES OF RAIN DANCE MAGGIE
10thアルバム『アイム・ウィズ・ユー』からの1stシングル。フリーがベース・ラインを持ち込んで、ジャム・セッションをしたなかから生まれたというナンバーだ。冒険の名にぴったりな自由度の高いベース・フレーズにも注目。
08DID I LET YOU KNOW
繊細かつエモーショナルなアンソニー・キーディスの歌声と艶やかな女性コーラスとの掛け合いが甘く切ないラヴ・ソング。間奏での暴れるホーンの音色やセクシーなギターのカッティングが、いっそう楽曲を盛り上げる。
09GOODBYE HOORAY
ダイナミックかつドラマティックな鍵盤音と疾走感あふれるセンチメンタルなメロディが絡み合う、躍動感あふれるロック・チューン。ライヴでも盛り上がること間違いなしの、アルバム『アイム・ウィズ・ユー』のなかでも1、2を争う激しい楽曲だ。
10HAPPINESS LOVES COMPANY
哀愁をたたえつつも躍動感に満ちたメロディと、それに呼応するちょっぴりファニーなコーラスが楽しいロック・ナンバー。「誰もがある種の孤独と戦っている」など、シリアスな歌詞をさらっと織り交ぜつつも陽気にまとめた名曲だ。
11POLICE STATION
“君を警察署で見かけた こんなことを言うのは胸が張り裂けそうだけれど 君の目は泳いでいた”という歌詞からはじまる物語仕立てのナンバー。メロディやサウンドは優しく美しいが、その詞世界はただただ虚しく哀しい。そのコントラストがより意味深い楽曲にしている。
12EVEN YOU BRUTUS?
“シスター・ブルータス”と“シスター・ジューダス”に世の中の不条理やうまくいかない現実について嘆く、哀愁漂うメロディのロック・チューン。怒りを込めたエモーショナルなラップとシャウトがちりばめられている。
13MEET ME AT THE CORNER
哀愁漂うメロディと淋し気なヴォーカルが切ない、男女の別れをテーマにしたしっとりとしたバラード。“君は僕のものになる運命じゃなかったと それでいいんだ”と言いつつも、なかなか振り切ることができないでいる男の心情が表現されている。
14DANCE, DANCE, DANCE
10thアルバム『アイム・ウィズ・ユー』のラストにふさわしい、音楽をとおしてパワフルになっていく過程を切り取った力強い歌詞と爽快なメロディが心地よいロック・チューン。ハイテンションになること間違いなしの、音楽の力を改めて痛感する一曲だ。