ミニ・レビュー
とかく晦渋なイメージのあるシェーンベルクだが、その根っこにあるずぶり身を任せて情念ウネらせる響きの快楽への抜きがたい性向を、ラトルは直裁に引き出して魅せる。フル・オケによる響きは豊麗濃艶。ブラームスは何やらナマな異郷の色を帯び、クールなはずの室内交響曲はマーラーが彿とよぎる。
ガイドコメント
ラトルとBPOによるブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」。オーストリアの作曲家シェーンベルクが編曲した管弦楽曲版で、ドラマティックな展開をエネルギッシュなスタイルで披露している。シェーンベルクの2作品をカップリング。
収録曲
ブラームス:
01ピアノ四重奏曲第1番ト短調op.25 (オーケストレーション:シェーンベルク)
シェーンベルク:
02映画の一場面への伴奏音楽op.34 (迫り来る危機〜不安〜破局)
03室内交響曲第1番op.9b
演奏
サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団