ミニ・レビュー
フルトヴェングラーが1953年の秋ローマに赴き、ラジオ放送のために録音した「指環」全曲のSA-CD復刻盤である。“愛の救済の動機”が響いて神々の世界が終焉を迎え、CD13枚を擁する「ニーベルングの指環」全幕を閉じるとともに、深い感動が身体を包み込む。初めてこの曲を演奏するオーケストラを率いて自らの解釈を隅々にまで行きわたらせる指揮の手腕。ロマンティックなうねりを導き出す至高の芸術である。スタジオに1,500人の聴衆を入れたコンサート形式の収録により、ライヴに燃える巨匠の真髄が発揮された。ヴィントガッセンのジークムント、パツァークのミーメ、フリックのフンディング、グラインドルのハーゲンなど、鳥肌が立つほどの見事な歌唱が聴ける。ドラマティックな迫力では1950年のスカラ座ライヴに一歩譲るものの、精神的高揚の崇高さにおいてこの名盤に勝るものはない。
ガイドコメント
フルトヴェングラー生誕125周年を記念したSACDハイブリッド・シリーズの最終巻。1953年に録音されたローマso.との『ニーベルングの指環』を収録。イタリア放送のテープを使用しており、広がりのあるサウンドが楽しめる。
収録曲
ワーグナー:〈楽劇「ニーベルングの指環」全4部作〉
01楽劇「ラインの黄金」
02楽劇「ワルキューレ」
03楽劇「ジークフリート」
04楽劇「神々の黄昏」
演奏
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 イタリア放送交響楽団 (1)フェルディナント・フランツ(BR) イラ・マラニウク(MS) ヴォルフガング・ヴィントガッセン(T) グスタフ・ナイトリンガー(BS) ユリウス・パツァーク(T) (2)フェルディナント・フランツ(BR)エルザ・カヴェルティ(MS) マルタ・メードル(S) ヴォルフガング・ヴィントガッセン(T) ヒルデ・コネツニ(S) (3)ルートヴィヒ・ズートハウス(T) マルタ・メードル(S) フェルディナント・フランツ,アロイス・ペルネルストルファー(BS) ユリウス・パツァーク(T) (4)マルタ・メードル(S) ルートヴィヒ・ズートハウス(T) ヨゼフ・グラインドル(BS) アルフレート・ペル(BR) セーナ・ユリナッチ(S) イタリア放送合唱団
録音
(1)1953.10 (2)1953.10,11 (3)(4)1953.11