ミニ・レビュー
タイトルは“エイト”と読ませるが、これは6枚目となるスタジオ・アルバム。バンド・サウンド全開のものから実験的な曲まで幅広い。ASPARAGUSのシノッピが全曲を作曲、癖のあるポップ感が満載。それをオレンジの髪の毛のように鮮やかに自分色に染めるカエラ節。両者の融合も見事だ。
ガイドコメント
約2年4ヵ月ぶりとなる6thアルバム。話題のNTTドコモCM曲「Ring a Ding Dong」「A winter fairy is melting a snowman」や「喜怒哀楽 plus 愛」のシングルを含む、全13曲収録。
収録曲
[Disc 1]
01Make my day!
6thアルバム『8EIGHT8』のオープニングを飾る軽快なロック・ナンバー。プロデュースを手がける渡邊忍(ASPARAGUS)らしいトリッキーなイントロのギター・リフが印象的。“真面目くさってちゃもったいない はじけろ”と力強く歌いあげる。
02KEKKO
情熱的なアコースティック・ギターのカッティングが新鮮なロック・チューン。フレーズの数自体は少ないが、アレンジの豊かさでドラマティックな展開を描いている。ブリッジでの空間的なサウンドやオブリガードの独特なフレーズはまさに渡邊忍節。
038EIGHT8
作詞をkaelaと渡邊忍(ASPARAGUS)の共作で手がけた全英詞による6thアルバムのタイトル・ナンバー。シューゲイザー的なサウンドとトリッキーな変拍子の展開が独特の空気を作り上げている。“8”の目と脚を持つ蜘蛛を象徴的に描いている。
04Ring a Ding Dong
“ring a ding dong”のフレーズが強烈な印象を残す15thシングル。おもちゃ箱をひっくり返したような、思わず踊りだしたくなるポップでキュートなサウンドが楽しい。NTTドコモのCMソングとしても話題を呼んだ。
05うたうらら
アコースティック・ギターと歌の温かな雰囲気を持つイントロから一気にポップ・ロック・テイストへと展開するナンバー。触れられない君へのつのる想いを歌ったラヴ・ソングで、“歌うらら”“君うらら”といったフレーズが穏やかな余韻を残す。
06lollipop
カントリー・ミュージックのようなコミカルなサウンドが楽しいポップ・ナンバー。“いくつになっても女子は乙女心のままなの”とつれないあなたへの想いを綴る。まるで本当に不機嫌な少女が歌っているかのようなカエラのヴォーカルが見事。
07ホシノタネ
エフェクトをかけた声と、まるでSF映画に出てくる機械に歌わせているかのような一言ずつのヴォーカルが楽しいポップ・チューン。スペイシーなサウンドもあいまって、どこか遠くの星での恋物語を綴っているかのような印象を受ける。
08Moon Light
イントロのトリッキーなリフからプロデュースを手がける渡邊忍(ASPARAGUS)のエッセンスがたっぷりと詰まったロック・ナンバー。サビの“everywhere U go”のフレーズが強く心に残る。カネボウ「KATE」CMソング。
09喜怒哀楽 plus 愛
疾走感のある攻撃的なロック・チューン。ヴォーカルの後ろで鳴る、それ自体がソロのようなギターのオブリガードは渡邊忍(ASPARAGUS)らしさ全開だ。“感情再生 plus 愛”など、独特な言語感覚が曲をさらに前へと押し進める。
10deep beep
神経症的なシャキシャキとしたギターのカッティングが全編にわたって曲を彩るロック・ナンバー。カエラのライヴを支えてきた骨太なメンバーによる見事なアンサンブル、そしてそれに負けないしっかりとしたヴォーカルがクール。
11A winter fairy is melting a snowman
「ring a ding dong」と同系の、サビのフレーズが圧倒的な存在感を持つNTTドコモCMソング起用の16thシングル。エレクトロ系のサウンドに可愛らしいピアノが彩りを添えた、キュートな冬のラヴ・ソングだ。
12orange
なにげないキミの仕草で灰色の雲が覆う空にも光が射し込むとハート・ウォームに歌い上げるミディアム・ポップ。バンドの良さをしっかりと出し、ただのポップ・ナンバーたらしめないアレンジはさすが。映画『チェプラーシカ』主題歌。
13チョコレート
ビートは打ち込みながら、アコースティックなテイストを前面に出した温かなナンバー。苦く悩みをかかえていても、口にすれば甘く溶ける“チョコレート”のように優しい君への感謝を綴る。カエラの穏やかな歌声が絶妙に心地よい。
[Disc 2]〈DVD〉
01Ring a Ding Dong (MUSIC VIDEO)
02A winter fairy is melting a snowman (MUSIC VIDEO)
03喜怒哀楽 plus 愛 (MUSIC VIDEO)
04ALBUM「8EIGHT8」recording movie