ミニ・レビュー
およそ2年半ぶりにリリースされた通算4枚目。パンキッシュで軽快な冒頭曲で始まり、AOR風の「八王子純愛物語」、ストリングスが感動的な「あとひとつ」など、ヴァラエティ豊かなアレンジに貫禄すら感じさせる。ハイライトは「未来の君へ」で、総勢50人を超える子供たちのコーラスは感動的だ。
ガイドコメント
『ファンキーモンキーベイビーズ3』から約2年10ヵ月ぶりとなる4thアルバム。主演の成海璃子がジャケットになった映画『書道ガールズ!!』主題歌「大切」から優香がジャケットを飾った「LOVE SONG」までのシングルを含む、充実作だ。
収録曲
01アワービート
agehaspringsの田中隼人制作による開放的な夏を思わせるアッパー・チューン。隠喩も含めエロい詞が飛び出すも、彼らのすこぶる陽気な歌唱によって淫靡度はゼロ。一緒に“アッハ〜ン”と叫んで楽しみたい。ロッテ「ブラックブラックガム」CMソング。
02八王子純愛物語
“京王線でGO TO WEST”から始まる、彼らの地元愛あふれる八王子賛歌。八王子のお勧めスポットを組み込んだファンモンのガイダンス=歌唱は、大好きな地元を紹介できる嬉しさがにじみ出ている。微笑ましい弾むようなトラックも、ウキウキ度をアップさせる。
03あとひとつ
ジャケットは楽天イーグルスの田中将大、朝日放送『2010ABC夏の高校野球』応援ソングとなった14thシングル。一粒の涙、一言の勇気……あとひとつで願いが叶うと信じて諦めるなと強く優しく語りかける。甘酸っぱいメロディが胸にジンとくる青春ポップスだ。
04ランウェイ☆ビート
映画『ランウェイ☆ビート』主題歌の15thシングル。ジャケットには同主演の瀬戸康史と桜庭ななみ。もがき苦しむ先にはきっとチャンスが訪れるという詞が気持ちを奮い立たせてくれる。胸を躍らすような展開とアレンジは、agehaspringsの田中隼人が制作。
05愛の歌
朗らかなアッパー・ビートに乗せて伝える普遍的なラヴ・ソング。小さな島国、支えあえる仲間とファミリーのくだりは、少なからず震災からのインスピレーションが感じられる。しんみりとせず明るく歌うところにファンモンらしさが詰まった、希望の歌だ。
06未来の君へ
無限の可能性をもった子供たちへ送るエール。何気ない日常の積み重ねのなかに輝かしい希望の芽があると、背伸びしないところが彼ららしい。agehaspringsの田中隼人制作による流麗なトラックと“笑顔で「いってらっしゃい」”のフレーズが印象的。
07大切
映画『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』主題歌の13thシングルで、ジャケットは主演の成海璃子。不器用ながら一つずつ口ずさむ“大切、大切……”のフックがジンと胸を揺り動かす。ありふれたあなたといる日々こそがかけがえないと綴る感涙のラヴ・バラード。
08LOVE SONG
友達のままでいられない恋心を綴った文字どおりのラヴ・ソング。切なさが募る“お願いだよ”のフックに加え、金原千恵子ストリングスと亀田誠治の演出がドラマティック度を高める涙腺を濡らすバラードだ。優香の涙顔ジャケットやPVも印象的な17thシングル。
09真夏のマジック〜Sun's Feelings〜
YANAGIMAN制作の開放感満点のサマー・クラブ・チューン。スティールパンを組み込んだ清々しくゴキゲンなサウンドだが、綺麗になったのは僕のせいじゃない……とちょっと感傷にも浸りながら展開する、ひと夏の恋のストーリーだ。
10悲しみなんて笑い飛ばせ
Naoki-T制作の日産「セレナ」CMソング。高い壁は壊して進み、向かい風は背中で受けて追い風に変えればいい……ポジティヴに生きれば希望だらけだとアドヴァイスしてくれる。文字どおり悲しみを吹き飛ばせる、テンション高めなアッパー・チューンだ。
11それでも信じてる
松岡修造と上田晋也がジャケットを飾った16thシングル。YANAGIMAN制作による琴線に触れる生命力あるサウンドに乗せて、信じることの強さを説くメッセージ・ソングだ。テレビ朝日系ドラマ『アスコーマーチ〜明日香工業高校物語〜』主題歌。
12空
Shingo Nakamura制作のプログレッシヴ・ハウス風トラックといった展開は、これまでには見られない新境地。自由な空に憧れながら地面を這いつくばる悶々とした日常を歌う。いつもの元気満タンな歌唱とは異なる、スタイリッシュな一面を見せたナンバーだ。
13ラブレター
「それでも信じてる」と両A面となった16thシングル。川島海荷出演の資生堂「SEA BREEZE」CMソングで、片想いに胸が苦しくなる心情を歌った、甘酸っぱさに満ちたラヴリーな青春ポップスだ。プロデュースはsoundbreakersが担当。
14HAPPY BIRTHDAY
DJケミカルのスクラッチがワクワク度を上昇させる、Naoki-T制作のジョイフルなポップン・ロック。ファンモンが贈るバースデー・ソングらしく、クラップも弾んでどこまでも陽気なモードで展開する。カントリー風の朗らかさもプラス。
15サヨナラの向こう側
旅立ちとともに訪れる別れの時。それぞれが新たな未来へ進む切なくもの悲しい季節の情景を綴る。大人になってまた同じ空の下で会いたい……青春期の何ともいえない感情をファンモンが見事に代弁。鍵盤とストリングスが心を揺るがすアレンジはYANAGIMANの制作。