ミニ・レビュー
シングル7曲を含む、約4年3ヵ月ぶり通算12枚目のアルバム。妖艶でゴージャスな楽曲はどれも圧倒的な存在感を放っており、美しいメロディが心を打つ。完全生産限定盤には新ミックスとリマスタリングされたP'UNK〜EN〜CIELのアルバムと貴重なインタビューも収録された特典DVDが付属。
ガイドコメント
約4年3ヵ月ぶりとなる12枚目のオリジナル・アルバム。2008年リリースの「DRINK IT DOWN」から2011年「GOOD LUCK MY WAY」「XXX」「CHASE」までのシングル7曲を含む充実作だ。
収録曲
[Disc 1]
01CHASE
望月三起也の人気コミックを映画化した『ワイルド7』主題歌の39thシングル。緊張感のある打ち込みのサウンドを軸に据えたナンバーで、全体をとおして重苦しくダークな雰囲気が覆うが、サビでの“手の鳴る方へ”の高らかなシャウトで一気に突き抜ける。
02XXX
英語のスラングを用いて“キス・キス・キス”と読ませる38thシングル。R&Bともロックともつかない独特の空気感は彼らにとっての新境地といえる仕上がり。hydeのセクシーなヴォーカルにストリングスが絡むサビの美しさは秀逸だ。
03Bye Bye
カラフルなメロディをグラム・ロックのテイストで包み込んだナンバー。単調なポップ・ミュージックにはせず、退廃的な美しさを絶妙なさじ加減で加えるバンドとしてのバランス感覚が抜群。hydeのヴォーカルもピッタリとハマっている。
04GOOD LUCK MY WAY (BUTTERFLY Ver.)
アニメ映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』主題歌の37thシングル。イントロのストリングスをきっかけに一気に弾けるパンキッシュなナンバーだ。グイグイと走るサウンドに乗せ、“いつかまた会えるよう振り返らずに明日へ向かうよ”と力強く歌う。
05BLESS
ストリングスを効果的に使用したバラードで、NHK『バンクーバーオリンピック・パラリンピック放送』テーマ・ソングとなった36枚目のシングル。東京交響楽団の最上峰行によるオーボエ・ソロが美しさによりいっそうの深みを与えている。
06shade of season
アルバム『BUTTERFLY』収録曲の中では唯一となる、yukihiro作詞曲のナンバー。うまく音数を抜いたリズム隊のアンサンブルを軸に、ダークでシリアスな世界を構築。コーラスを巧みに用いて不思議な浮遊感を持たせたブリッジとのギャップが見事。
07DRINK IT DOWN
ゲームソフト『DEVIL MAY CRY 4』のテーマ・ソングとなった34thシングル。ゲームの世界観にピッタリのゴシック調のイントロから、打ち込みを取り入れたハードなビートと歪みを効かせたギターへの展開が印象的なロック・ナンバーだ。
08wild flower
アルバム『BUTTERFLY』からの先行配信として発表されたナンバー。荒野に咲いたたった一輪の花をモチーフにした幻想的な歌詞があたたかく響く。豊かな広がりを持ちながらも力強い意思のようなものを感じさせるサウンドが、歌詞の世界にピッタリ。
09SHINE
NHKで放送された神山健治監督によるアニメ『精霊の守り人』オープニング・テーマの35thシングル。爽やかに疾走するビートと心に響くメロディ、ギターを中心とした豊かなアンサンブルと彼らの“お家芸”ともいえるポップ感が魅力的。
10NEXUS 4
「MY HEART DRAWS A DREAM」に続き、SUBARU「レガシィ」のCMに起用された35thシングル。抜けのいいドラムのビートが心地よく突き抜けるバンド感あふれるロック・チューンだ。力強いhydeの歌声も見事。
11未来世界
アルバム『BUTTERFLY』のラストを彩るドリーミーなナンバー。子守唄のように優しく響く導入から、バンド隊が加わってさらに幻想的な世界を創り出している。アップライト・ベースを使用したtetsuyaのベースソロも新鮮で楽しい。
[Disc 2]
01夏の憂鬱 (SEA IN BLOOD 2007)
3rdアルバム『heavenly』収録曲のP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。激しいギターのバッキングにシャウトのようなコーラスなど、切れ味鋭く心をえぐる殺傷力の高いアレンジは、パンクというよりはメタルに近いキラー・チューンだ。
02花葬 平成十七年
1998年発表のヒット・ナンバーのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。原曲が“死”を感じさせるようなダークな世界を持った作品だっただけに、メタル風味のアレンジはむしろうってつけ。サビやブリッジなども違和感を感じさせない仕上がりだ。
03HEAVEN'S DRIVE 2005
1999年に発表されたヒット・シングルのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。もともとロック色の強いナンバーだが、“oi! oi!”のシャウトとともにさらにハードなテイストに。サビのコーラスがソフトに変化しているのがおもしろい。
04Round and Round 2005
4thアルバム『True』収録曲のP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。イントロのギターのフレーズはそのままに、メタルよりのテイストへと変化。疾走感のある原曲よりもBPMは若干落ちているが、破壊力は抜群。
05Dune 2008
1stアルバム『Dune』タイトル・ナンバーのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。比較的原曲に近いアレンジだが、音の厚みや歪みをぐっと増してパンキッシュなテイストに。HYDE P'UNKのギター・ソロが熱い。
06I Wish 2007
4thアルバム『True』のクリスマス・ナンバーのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。前半のゆったりとしたテイストと、メロコア風の部分を交互に取り入れたユニークなアレンジ。サビの野太いコーラスはまさにパンク・バンドのそれ。
07Promised land 2005
5thアルバム『HEART』収録曲のP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。原曲よりもグッとテンポを落とし、ヘヴィなサウンドへと変身。T.E.Z P'UNKのアンニュイなヴォーカルに、不穏な、しかしどこか美しさをたたえたメロディが映える。
08HONEY 2007
大ヒットを記録した10thシングルのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。カウベルで刻むビートが印象的なゆったりとした導入から、“1.2.3.4!”のシャウトとともにドラムがドカドカと暴れるサビへと突入。いかにもなコーラスも楽しい。
09Feeling Fine 2007
原曲でも印象的に使われていた応援歌のようなキメをアレンジの軸に、サビでは疾走感のあるビートで突き抜ける。さわやかに伸びるメロディにはピッタリ。9thアルバム『SMILE』収録曲のP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。
10ROUTE 666-2010-
ウェスタン風のカラっとしたロックンロールだった原曲から、メタルの要素を多分に組み込んだキラー・チューンへ。なかなか終わらないアウトロの遊び心が楽しい。8thアルバム『REAL』収録曲のP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。
11milky way 2004
5thアルバム『HEART』収録された幻想的なナンバーのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。導入のサビからドラムがグイグイと引っ張るパンク・テイスト全開のアレンジ。しゃがれ気味に歌い上げるT.E.Z P'UNKのヴォーカルが見事。
12metropolis 2011
8thシングル「winter fall」のカップリングとして収録されたナンバーのP'UNK〜EN〜CIELヴァージョン。ファンク風の粘り気のあるビートが特徴的な原曲とは対照的に、直線的なリズムでガツガツと攻める姿勢がクールだ。
[Disc 3]〈DVD〉ベストヒットLEC
演奏
[1] [3] L'Arc〜en〜Ciel [2] P'UNK〜EN〜CIEL