ミニ・レビュー
世界20ヵ国以上で大ヒットした「ミスター・サクソビート〜」などシングル4曲を収録した、ルーマニアの女性シンガーによる日本デビュー作。軽快なテクノポップ・テイストのサウンド、日本人も親しみやすいメロディに、小悪魔的な表情が見え隠れするヴォーカルが際立つ。
ガイドコメント
2012年3月発表の記念すべき日本デビュー・アルバム。ヒット・シングル「LOLLIPOP(PARAM PAM PAM)」をはじめとする、2009年のデビューからこれまで発表してきた全シングルを収める、デビュー作にしてベスト的な一枚だ。
収録曲
01MR.SAXOBEAT
出身のルーマニアを皮切りに、欧米、豪州、ブラジルでヒットし日本でもブレイクした2ndシングル。哀愁を覗かせるフックとユーロビート的なレトロな感覚が走る、痛快なダンス・ポップだ。彼女の名を一躍知らしめた代表的ヒッツ。
02TING TING
ヴァネッサ・パラディにも似たコケティッシュでセクシーなヴォーカルが魅力の悩殺ダンス・チューン。“ティン・ティン”のフレーズと幻惑的な世界観が高い中毒性を生む。東欧らしいどこか気だるい雰囲気も、曲の色気を増量させている。
03SHOW ME THE WAY
一夜限りと思っていたけれど、感じたことのない愛を導いてくれた……と歌うダンサブルなラヴ・ソング。アーバンなハウス調のナンバーで、アレクサンドラ・スタンの色香漂うヴォーカルともバランスよく融合している。
04LOLLIPOP (PARAM PAM PAM)
マルセル・プロダンとアンドリュー・ネミルシによるチーム、マーン・スタジオが手掛けたデビュー・シングル。キャンディをなめてる私ってセクシーでしょという挑発ソングで、「ミスター・サクソビート」の原型ともいえる東欧らしい陰りを含んだダンス・ビートが印象的。
05CRAZY
ヨーロッパ的なもの憂げな雰囲気と直情的な感情が見事にマッチしたハウス・ダンサー。エネルギーを私にちょうだいと懇願するパーティ・ソングで、アーバンでセクシーな“ポスト・カイリー・ミノーグ”的な歌唱もフィットしている。
06BITTER SWEET
運命の人に会った驚きと戸惑いを“ビター・スウィート”と表現したポップ・ロック風ダンサー。アヴリル・ラヴィーンも歌いそうな痛快なビートは、「ミスター・サクソビート」あたりとは異なる引き出しだ。“マ・マ・マ・マ……”のフレーズが実に爽快。
07GET BACK
「ミスター・サクソビート」仕様のメランコリックなホーンを効かせたアーバン・ダンサー。今夜きっとあなたをものにするという女豹ソングだが、コーラス・パートは意外と健康的な明るさが広がる。陽気な小悪魔といった風の歌唱もハマっている。
081.000.000
カールプリットをフィーチャーしたクラブ・エレクトロ。自身も好きだというリアーナあたりのUSアーバン・ヒッツを意識したような曲風で、互いに100万人に一人の存在だと交わしあうラヴ・ソングだ。“ミリ・ミリオン〜”のフックがキャッチーだ。
09MR.SAXOBEAT
ルーマニア発のダンス・ポップ・ヒットを、右腕的存在のマルセル・プロダンとアンドリュー・ネミルシによるチーム、マーン・スタジオがリミックス。オリジナルの颯爽とした雰囲気は残しつつ、リズミカルなビートを活かしたアレンジになっている。
10LOLLIPOP (PARAM PAM PAM)
キャンディをなめてる私ってセクシーでしょと挑発するデビュー・シングルのリミックス。「ミスター・サクソビート」路線(といってもこちらが先)のダンス・ポップだけに、クラブ的アプローチが絶妙なのは当然。ロリータからセクシーへと重心を移した作風だ。
11GET BACK
「ミスター・サクソビート」路線のメランコリックなアーバン・ダンサーを、参謀的存在のマーン・スタジオがリミックス。中盤のブレイクで一旦テンポを落としてから終盤へ向かう演出は、ASAP=“As Soon As Possible”を体現したものかも。
12MR.SAXOBEAT
ルーマニア発の世界的ヒット・チューンのエクステンディド・ヴァージョン。ノスタルジックなメロディ・ラインと全体を覆うヨーロッパ的な陰影を感じるサウンドは、このアレンジでもしっかりとキープ。リズミカルなビートを刻むアウトロで、余韻をもたらす作りだ。
13GET BACK
きっと今夜あなたをものにするという女豹ソングのリミックス。揺らめくようなセクシーなファルセットが幾重に連なる刺激的なコーラスを巧みに利用して、飽きのこないビートのトラックを構築している。カイリー・ミノーグあたりが歌っても不思議じゃないクオリティだ。
141.000.000
カールプリットをフィーチャーしたクラブ・エレクトロを、マルセル・プロダンとアンドリュー・ネミルシによるチーム、マーン・スタジオがリミックス。陽気な曲風をエレクトロ・ハウス仕様に変貌させ、ユーロに引き戻したクールなアレンジだ。