ミニ・レビュー
野獣アイドル・グループの2008〜2011年の韓国語ベスト。「Only you」「Don't Stop Can't Stop」などのシングルをはじめ、ヒップホップやR&Bをベースに完成度の高いダンス・ミュージックを生み出しており、コリアン・ダンス・ミュージック界のレベルの高さを窺い知ることができる。
ガイドコメント
人気K-POP“野獣アイドル”、2PMのハングル・ベスト・アルバム。韓国でリリースされた楽曲のうち、ヒット・ソングから隠れた名曲までをファンのリクエストによって収録楽曲をセレクト。ファン垂涎のアルバムだ。
収録曲
01Don't Stop Can't Stop
2010年発表の3rdミニ・アルバム冒頭曲。どんな辛い経験や苦しみがあっても、決して倒れずに前へ立ち向かうという強い意志を綴る。ファルコ「ロック・ミー・アマデウス」に似た雰囲気の胸を騒がすシンセをバックに披露する、歯を食いしばるようなフロウも印象的。
02I'll be back
ミニ・アルバム『STILL 02:00PM』収録曲。終わろうとしている恋に際し、君の前にきっと帰ってくることになるさと告げる男の恨み節を綴る。甘く切ないメロディを4つ打ちビートで煽るような、センセーショナルなクラブ・ダンサーだ。
03Tired of waiting
扇動的なクラップと“キダリダ ジチンダ……U know?”(待ちくたびれただろ?)のフレーズが強く耳を引くクラブ・アップ。ファットなシンセ・ビートとヴォコーダーを駆使したトラックは、Super Changddaiが手を貸している。
04I was crazy about you
センチメンタルな鍵盤の旋律に乗せて綴られるのは、愛する彼女が自分の元を離れていくという悲しいストーリー。シンセ・ビートを軸としためくるめくドラマティックな展開のダンサーを手掛けたのは、Super ChangddaiとFame-J。
05Heartbeat
タイトルよろしく心拍音を大胆に配した、JYP印のダンサー。エキセントリックなシンセ・コードやステージでの“ゾンビダンス”など、マイケル・ジャクソンの「スリラー」を意識したよう。別れを受け入れられずにいる男の物語だ。
06I hate you
君を愛した心が憎しみに変わる前に戻ってきてくれと願う愛憎ソング。“君が憎い”と思う自分が嫌なんだと感情的に繰り返す。R&Bから2ステップへと展開するSuper Changddaiによるトラックが斬新だ。
07Again&again
JYP(パク・ジニョン)が手掛けた2PMの代表曲といえるクラブ・ダンサー。幻惑的なメロディと雨音のように憂鬱ながらクセになるビートによるトラックの上で、騙されてもまた君の元へ戻ってしまう自分の愚かさを綴っている。感情たぎる歌唱&ラップも巧みだ。
08Without U
悲哀漂うピアノのフレーズと気を急かすようなシンセ・ビートが融合したアッパー・エレクトロ。信じていた人の浮気に傷ついた男が“もう君なしで生きていく”と告げる決別ソングで、痛みと決意の固さをにじませた歌唱が印象的だ。制作はJYP(パク・ジニョン)。
09MAJA
詞曲をSuper Changddaiが手掛けたクラブ・ダンサー。背を向けた途端に他の男へ走っていった女への恨み節を“マジャ”のフレーズに込めている。煮えくり返るような感情をたきつけたラップ・パート含め、男のいらだちが伝わるナンバーだ。
1010 out of 10 (10/10)
2008年リリースのデビュー・シングル収録曲。彼女のあらゆる魅力を“10点満点の10点”を意味する“シプチョム マンチョメ シプチョム”のフックに投影。ストリート感を組み込んだヒップホップ&ブラコン的サウンドが盛り上げを呼ぶナンバーだ。
11Hands Up
ディスコ的なアクセントもうかがえるパーティ・チューン。タイトルはもちろんフックで繰り返される“put your hands up(手を挙げろ)”からとったもので、陽気さ全開のUS風とは異なり、感情豊かなアジア的な旋律が特色だ。
12Only you
JYP(パク・ジニョン)制作によるR&Bアプローチ的なリズム・トラックとおおらかなメロディが特色のミディアム・チューン。別れてしまってから、“やっぱり君だけが僕を救えるんだ”と繰り返しながら復縁を迫る。ラストの“君が必要だ”のセリフが余韻を残す。
13My life 4 U
“君を愛してるから、僕は命も賭けられる”と告げるメッセージ・ソング。優しさが満ちるゆったりとしたミディアム・スロー・バラードで、深い想いを込めた歌唱も大きな魅力となっている。涙がホロリとこぼれそうな曲だ。
14I Can't
R&Bシンガー・ソングライター、Ra.Dの代表曲のカヴァー。アコギを基調にしたシャレたR&Bサウンドのなかで語られるのは、君が戻ってくるまでずっと待ってるという想い。優しい声色で包み込んでくれるスウィートなラヴ・バラードだ。
15Thank you
文字通り“Hottest”(=ファン)への感謝を綴ったR&B調バラード。“Thank you”を繰り返すフックは、ボーイズIIメンあたりのブラコンを思わせる。甘美な鍵盤のループをバックにした、美しく感動的なメロディのナンバーだ。