ガイドコメント
シンガー・ソングライターmiwaの2ndアルバム。シングル曲から未発表や自作曲までを揃えた、等身大ガールズ・ポップ・ロックを満載。『guitarissimo』から1年、少し大人になったmiwaの成長がうかがえる一枚だ。
収録曲
01いくつになっても
映画『桜蘭高校ホスト部』主題歌となったナンバー。ホーンとパーカッション、裏打ちのギターが効いたスカコア風の軽快なアレンジが楽しいロック・チューンで、“いくつになっても”恋のドキドキは変わらないものでしょ? と歌うハジけたヴォーカルがキュート。
02441
6枚目のシングルはミディアム・アップのテンポに乗せて綴る切ないラヴ・ソング。タイトルの“441”は楽器のチューニングの際に基準とする周波数(441Hz)のことで、ずれてしまった二人の気持ちを再び重ね合わせたい、という想いが詰まっている。
03ふたりのサタディ
アコースティック・ギターによるカッティングで幕を開ける冒頭をはじめ、さまざまなギターのアンサンブルが印象的なスケールの大きなポップ・チューン。嬉しさを隠せないような弾む歌声で、久しぶりのデートを描いたキラキラと甘酸っぱい物語を歌う。
04片想い
ピアノと歌による導入から、金原カルテットによるストリングスが柔らかく絡む8枚目のシングル。苦しくなるほどに好きになってしまったあなたへの想いを搾り出すような歌声で綴ったラヴ・バラードで、ぐるぐると回る葛藤を描いた歌詞が見事。
05again×again
メロコアに近いほどカラッとした爽快なバンド・アレンジが魅力のロック・ナンバー。言い訳を探してくすぶるのではなく、可能性にかけて何度でも勝負に出るんだ、という力強いメッセージは力強いサウンドと相性抜群。うまく韻を踏んだ歌詞も疾走感を生み出している。
06Jexxxa (ジェシカ)
消したはずの番号からの懐かしい声と、よみがえる思い出。忘れることができない苦しい胸の内を描いた楽曲も、ロック寄りのダイナミックなサウンドとミディアム・テンポで描くのがmiwa流。“どうして思い出させるの”という悲痛な叫びが胸に刺さる。
07またね
朝が来ちゃう前にもう一回キスしよう……サヨナラを描いた切ないナンバーだが、アコースティック・ギターのアルペジオが効いた意外なほどに優しく温かい音色が印象的。前を向くための別れ、と言い聞かせて抑えてきた想いがあふれ出るような言葉が並ぶサビが見事。
08コットンの季節
ハモンド・オルガンやバンジョーを印象的に使ったカラッと明るいアメリカンなサウンドで進むポップ・チューン。温かな陽気のもと、大好きなあなたのことを思い浮かべながら、ウキウキで散歩する姿はキュートそのもの。伸びやかな歌声も心地よい。
09Chasing hearts
アニメ映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』オープニング・テーマに起用された疾走感のある夏っぽいナンバー。ピアノとアコースティック・ギターを中心にした音数控えめのアレンジとハイトーンで伸びる歌声が爽快で、隠し味のシタールがいいアクセント。
10メリーゴーランド
エレクトロのテイストを前面に押し出したサウンド、オートチューンをかけたヴォーカル、ガール・ポップ風の英語コーラスなど、新境地といえる振り切った姿勢に驚かされるポップ・チューン。とはいえ、キュートな声の魅力が際立って抜群のハマり方。
11クレアデルネ
フランス語で“月の光”を意味するタイトルを冠したポップ・ナンバー。セツナ成分の高いメロディが沁みるラヴ・ソングだが、タイトルをはじめ“石畳”“鐘”などどこか舞台は西洋風。要所で登場するチェンバロのような音色もその雰囲気に拍車をかける。
12Take@chance
ウクレレやラップスティール・ギターの音色が穏やかな異国情緒を醸し出すアップ・テンポのナンバー。“やれることはやれるときにやれるだけやろう”というシンプルなメッセージが心を打つ。やわらかさと強さを巧みに使い分けたヴォーカルが見事。
13FRiDAY-MA-MAGiC
冒頭のシャウトからスタジアム級のスケールの大きさで魅せるハード・ロック・ナンバー。ホットなバンドのアンサンブルをバックに、ラップ風のパートも交えつつ歌う姿は貫禄十分だ。TBS系ドラマ『桜蘭高校ホスト部』主題歌の7thシングル。
14始まりは終わりじゃない (endless version)
クラッシャー木村ストリングスによる壮大なアンサンブルから幕を開ける感動的なミディアム・バラード。楽しみながら、苦しみながら道を進んでいく。“生きていくこと”を綴った歌詞は大きなスケールを持っているが、決意に満ちたまっすぐな歌声で完璧に描き切っている。