ミニ・レビュー
通算10枚目、2年3ヵ月ぶりのアルバム。「向かいあわせ」「恋のスーパーボール」などのシングル曲も収録し、2010年〜12年の彼女の集大成といった感も。バンド編成を主体とした音作りも快く(佐野康夫のドラムス、美久月千晴のベースが秀逸)、今回も大ヒット間違いなし。
ガイドコメント
前作「BABY」から約2年3ヵ月ぶりとなる10枚目のオリジナル・アルバム。「向かいあわせ」「恋のスーパーボール」「ホーム」「ずっと」といったシングル4曲に加え、伊藤園「2つの働き カテキンジャスミン茶」CMソング「くちびる」ほかを収録。
収録曲
01Aka
3拍子で展開するドラマティックなミディアム・バラード。自分のことをどう思っているのかと不安になるほど愛しいあなたへの想いを綴る。“泣いてしまうなんて勿体ない”のフレーズが印象的だ。長めにとられたアウトロの余韻が心地良い。
02くちびる
ゆったりとしたピアノとヴォーカルのイントロから、ローズ・ピアノの音色が映えるリズミカルなテンポへと変化するポップ・チューン。あふれんばかりを想いを込めた甘めの歌詞を、aikoならではのファルセットで抜くメロディ・ラインで描く。
03白い道
細かなキメを多用したバンド・アンサンブルが曲に勢いを与えるポップ・ナンバー。終わりを迎えてしまった二人の恋に、頭をよぎるさまざまな思い出を綴る。全体的に低めのメロディ・ラインを選び、力強いサウンドに負けない真っ直ぐなヴォーカルで歌い上げる。
04ずっと
フジテレビ系ドラマ『蜜の味〜A Taste Of Honey〜』主題歌の29thシングル。どんなことがあっても一緒にいようという想いを“あなたに出逢えたことがあたしの終わり”と独特の言い回しで表現するaikoのセンスに脱帽。
05向かいあわせ
井上真央主演の映画『ダーリンは外国人』主題歌の27thシングル。涙が出るほどに幸せな瞬間を切り取ったミディアム・アップ・ナンバー。ピアノのバッキングで淡々と進む前半から、ストリングスの彩りが加わるサビで一気に開けるサビが爽快だ。
06冷たい嘘
冷たくなっていく恋を綴った心が痛むナンバー。シャキシャキとしたギターのカッティングを中心としたバンド・サウンドがオーソドックスなだけに、不安定な心のうちを表わしたかのようにくるくると不規則なラインを進むメロディが印象的。
07運命
歪んだギターのリフで幕を開けるaikoのロック節全開なナンバー。明るく突き抜けるナンバーかと思いきや、少しの湿り気を帯びた前半が象徴するように、綴られる言葉は切なめ。ふっ切れ気味に“あなたを愛してたことも忘れた”と歌う姿はどこか悲しい。
08恋のスーパーボール
イントロのストリングスからカラフルでポップなテイストで突き進む「カルピスウォーター」CMソング起用の28thシングル。キュートなサウンドをバックにしながら、随所に織り交ぜられる色気を感じる言葉にドキっとさせられる。
09クラスメイト
かつての恋人であるクラスメイトとの再会から、ちょっぴり大人な恋の物語を描くアップ・テンポのナンバー。歯切れの良いシャッフル気味のビートと流れるようなメロディの対比が見事。チャイムを思わせるキーボードでの導入もいい舞台装置だ。
10雨は止む
無機質なピアノのフレーズで幕を開けるミディアム・アップ。雨が降りしきる道を歩きながらひとりごちる姿はどこか淡々としているが、ラストで転調を果たした後は途端にエモーショナルな響きに。同じフレーズながらキーによる劇的な変化に驚かされる。
11ドレミ
ウーリッツァー・ピアノの優しくふくらむ音色を中心に、アコースティック・ギターやベビーオルガンで素朴な色合いを引き出したミディアム・ナンバー。距離を縮めることのできないあなたへの想いを綴っており、“すき きらい”と花占いをする姿が意地らしい。
12ホーム
映画『阪急電車 片道15分の奇跡』主題歌の28thシングル。爽やかに吹き抜けつつも切なさをはらんだアレンジ、生活の温度を絶妙に焼き付けた歌詞、嬉しくも気恥ずかしさを感じさせるメロディなど、どこを切ってもaiko節にあふれたナンバーだ。
13自転車
吉俣良ならではのストリングスが映えるドラマティックな編曲が胸に響くミディアム・バラード。別れを迎えてしまった恋の傷を抱え、自分を少し責めながらも“こんな好きな人に出逢えた事は とても大きな出来事”と言い切るラストは感動的だ。