[Disc 1]
01悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
88年に発表されたソロ名義としては初となるシングル。小林武史が編曲に参加しており、シンセサイザーを用いた爽やかなサウンドが展開。色鮮やかなサウンドとは対照的な、愛しい女性との悲しい別れを綴った歌詞が胸に切なく響く。
02今でも君を愛してる
ベルトーンを巧みに用いたコーラスによるイントロが、桑田の代名詞でもある湘南の砂浜を想起させるポップ・チューン。前半はコーラスを中心に音数を少なくし、後半へ進むに従って曲の表情を微妙に変化させるアレンジが秀逸。
03いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
88年発表、日本航空のCMソングにも起用されたソロ名義としては2枚目のシングル。愛しい女性とともに過ごした日々の終わりを綴っており、“その名前はもう 声に出せない”というフレーズに胸が痛む。美しいサビのメロディが見事。
04Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)
鈴の音で幕を開ける松任谷由実作詞のナンバー。クリスマスを舞台にキラキラとした恋物語が展開するウィンター・ラヴ・ソングで、多幸感に満ちたサウンドに胸が弾む。7分超の大作で、「もろびとこぞりて」「お正月」のフレーズを入れた遊び心も楽しい。
05漫画ドリーム
ギターとハーモニカ、そしてヴォーカルのみで構成されたナンバー。漫画のようになってしまった日本を風刺する辛辣な言葉を、吐き捨てるように歌う桑田の姿は痛快。“悲しみのニュースが今 なぜジョークみたいになっちまうんだろう?”のフレーズは強烈だ。
06真夜中のダンディー
キリンビバレッジ「JIVE」CMソングとしても話題を呼んだソロ3rdシングル。シンプルなロックンロール・サウンドをベースに、ストリングスで彩りを添える。悲しく切ない男の人生を綴った言葉が、絶妙な温度を伴って頭に飛び込んでくる。
07月
94年に発表されたソロとして4枚目のシングルは、バンジョーを効果的に用いたサウンドと日本らしいメロディ・ラインを融合させ、異国情緒漂う世界を作り上げたミディアム・バラード。日本語の美しい響きを最大限に味わうことができる。
08祭りのあと
日本テレビ系ドラマ『静かなるドン』主題歌として話題を呼んだヒット・ナンバー。哀愁たっぷりの恋物語を綴りつつ、“悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ”など、男の生き方を描いた歌詞に胸が震える。色気に満ちたヴォーカルも圧巻。
09波乗りジョニー
コカ・コーラCMソングに起用されヒットを記録した2001年発表のシングル。イントロのピアノからキャッチーなサビのメロディ、夏の海を舞台にした恋物語を描いた歌詞まで、どこを切り取っても桑田らしさに満ちたキラー・チューンだ。
10白い恋人達
ミリオン・ヒットを記録した2001年発表の切ないウィンター・ラヴ・ソング。抑えめの導入からサビで一気に開けるドラマティックなアレンジで、冬空に高らかに響くような感動的なメロディが一層映える。ラストでもうひとつ展開する構成も見事。
11ROCK AND ROLL HERO
イントロのギター・リフや弾けるブラスなど、ロックンロール・テイスト全開で進むナンバー。冒頭で“米国は僕のHero”としながらも、“核なるうえは”“安保(まも)っておくれよ”など痛烈な皮肉を浴びせつつ、日本社会にも疑問を投げかける。
12東京
桑田が持つブルージィな表情を前面に押し出したソロ8作目のシングル。色気に満ち、そして粘り気のある桑田のヴォーカルの魅力をじっくりと味わえる。不協和音を巧みに使ったギター・ソロをはじめ、セッション性に満ちたバックの好演も光る。
13可愛いミーナ
コカ・コーラのキャンペーン・ソングに起用されたポップ・チューン。モップトップやペギー・リーのヒット曲「Johnny Guitar」などを歌詞に盛り込み、1960年頃の時代感を演出。切ない恋模様に深みを与えている。
14明日晴れるかな
フジテレビ系“月9”ドラマ『プロポーズ大作戦』主題歌に起用された2007年発表のシングル。ピアノを基調にした心温まるミディアム・バラードで、失恋を中心に据えてはいるが、人生という大きなくくりにも当てはまるスケールの大きな言葉を綴る。
15風の詩を聴かせて
アコースティック・ギターとパーカッションを軸に据えたハートウォームなサウンドに心洗われる、映画『Life 天国で君に逢えたら』主題歌。大切な人を亡くしてしまった悲しみを描きつつ、未来への希望を綴った歌詞が感動を呼ぶ。
[Disc 2]
01ダーリン
アサヒ飲料「WONDA」CMソングに起用された2007年発表のシングル。ワウをかませたギターのカッティングやブラス・パートなど、ソウルのテイストを組み込んだ70年代歌謡曲風のアレンジが心地よく響く。横浜を舞台にした切ない恋物語だ。
02現代東京奇譚
斎藤ネコが管/弦編曲を手がけ、純度の高い歌謡曲サウンドで紡がれる映画『闇の子供たち』主題歌。人身売買を描いた映画の世界に合わせ、曲調も歌詞も重厚かつシリアスな内容。その中でも、“階段を降りるように沈む夕日”など、風景描写の妙がキラリと光る。
03MY LITTLE HOMETOWN
レゲエ調のアレンジが新鮮なポップ・チューン。だみ声のヴォーカルや歌詞を詰め込んで歌うフレーズも、レゲエ・テイストに拍車をかけている。歌詞には自身が過ごした茅ヶ崎の風景が多く取り入れられており、ラストには「茅ヶ崎甚句」の掛け声も響く。
04君にサヨナラを
自身が出演する大塚製薬「UL・OS」CMソングとして2009年に発表されたシングル。心温まるサウンドとともに、大切な友や愛しい女性との別れを綴った深みのある歌詞を情感たっぷりに歌いあげる。原由子のコーラスも心地よい。
05声に出して歌いたい日本文学 (Medley)
TV番組『音楽寅さん』をきっかけに制作された18分にも及ぶ大作。芥川龍之介『蜘蛛の糸』や与謝野晶子『みだれ髪』など、日本を代表する文学作品にメロディをつけメドレー形式で歌うナンバーで、さまざまなアレンジで想像力を刺激してくれる。
06本当は怖い愛とロマンス
イントロで曲調を決定づける弾けるピアノがどこかビートルズの「レディ・マドンナ」を想起させるゴキゲンなポップ・チューン。何をしても笑って許してくれた女性に突然フラれてうろたえる男を、コミカルに歌い上げる桑田の姿が楽しい。
07銀河の星屑
フジテレビ系ドラマ『CONTROL〜犯罪心理捜査〜』主題歌は、チェレスタやヴァイオリンを巧みに配置して不思議な世界を構築したアップ・ナンバー。日本語を英語のように歌って韻を踏む桑田ならではの節回しが存分に発揮されている。
08月光の聖者達 (ミスター・ムーンライト)
ピアノやパイプオルガンで荘厳なサウンドを作り上げたドラマティックなバラード。“ビルの屋上の舞台”をはじめ、ビートルズを思わせるフレーズを多く取り入れながら、やるせない今と明日への希望を切々と歌い上げる姿は感動的だ。
09明日へのマーチ
2011年発表のトリプルA面シングルのなかの一曲。カントリー風のアコースティック・ギターのアンサンブルを中心に、ウッドブロックなどを取り入れたのどかなサウンドをバックにした、希望ある未来へのエールを送るハートウォームな応援歌だ。
10Let's try again (kuwata keisuke ver.)
東日本大震災復興支援作品として発表されたチーム・アミューズ!!の楽曲の桑田ヴァージョン。とはいえ、メドレーのような性質を持っていた同曲だけに、サビをベースに新たなメロディを作成。推進力のあるロックンロール・ナンバーだ。
11幸せのラストダンス
三井住友銀行のCMソングに起用された色鮮やかなポップ・ナンバー。周りが結婚していくなか、恋愛を続けてきた男が愛する女性に結婚を申し込むウェディング・ソングで、教会をイメージさせるような深めのリバーブがいい舞台装置に。
12CAFE BLEU- CAFノ BLEU -
森永乳業「マウントレーニア ダブル」CMソングのボサ・ノヴァ調のゆったりとしたナンバー。部屋に香りを残し、居なくなってしまった女性への想いを切々と歌い上げる悲しいラヴ・ソングで、哀愁を帯びたアレンジもピッタリ。
13100万年の幸せ!!
さくらももこが作詞を手がけたアニメ『ちびまる子ちゃん』エンディング・テーマ。シンプルなアレンジに乗せて、“たった100万年”ほどは幸せでいようとメッセージを送る。ユニークなコーラスやエフェクトをかけたヴォーカルなど、遊び心も忘れない。
14MASARU
オルガンによるどこか妖しげなイントロが印象的な“お台場合衆国”2012年度のテーマ・ソング。曲中に内田裕也や「ジョニー・B.グッド」らが登場、それに呼応するように古き良きロックンロールをうまく落とし込んだアレンジで進む。
15愛しい人へ捧ぐ歌
これ以上ないほどにストレートなタイトルが心に響くTBS系スペシャル・ドラマ『20年後の君へ』主題歌。ドリーミーなサウンドで進むミディアム・ポップで、今は亡き人を想いつつ“また生まれ変わって愛を語ろう”と歌う心温まるナンバーだ。
[Disc 3]
01六本木のベンちゃん
小林克也&ザ・ナンバーワン・バンドが1982年に発表、桑田も制作/ヴォーカルで参加した作品。全編にわたって潔いほどにベンチャーズを意識したサウンドを展開。気の抜けるようなゆるいヴォーカルやセリフでの掛け合いなど、遊び心も満載。
02ジャンクビート東京
Real Fish featuring 桑田佳祐/いとうせいこう名義での楽曲。珍しい桑田のラップが楽しめるアヴァンギャルドなヒップホップ・ナンバーで、崩壊寸前ギリギリのバランスでラップする3人の掛け合いが楽しい。
03LONG DISTANCE LOVE
ローウェル・ジョージのトリビュート・アルバムに収録されたリトル・フィートのカヴァー。原曲のイメージを大事にした穏やかにしてスケールの大きいサウンドを構築しつつ、唯一無二のヴォーカルでさすがの存在感を示している。
04突然の吐き気〜えりの思い出〜
フジテレビ系音楽バラエティ番組『音楽寅さん』で制作されたロックンロール・ナンバー。ユースケ・サンタマリアがメイン・ヴォーカルをとっており、自身の上京時の思い出を歌う。ほぼ同じ音だけで歌われるメロディがユニーク。