ミニ・レビュー
約2年4ヵ月ぶりの5枚目。ベーシストにWrenchのmatsudaが加入してから初めてのアルバムで、2本のギターの絡みを中心としつつ、リズム隊が強化されていっそうパワフルな音になった。全編を貫く息詰まるような緊張感がすごい。特に崇高な美しさすら感じさせるラストは圧巻だ。
ガイドコメント
前作『敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での『約束』を。』以来約2年4ヵ月ぶりとなる5thアルバム。ベースのmatsuda加入後初のアルバムで、ラウド・ミュージックからメタル、ジャム・ロックなど多様な音楽性が感じられる作品。
収録曲
01道徳とは権力の装置であり民衆の自由の最大の「枷」と自覚せよ。
02楽観の深奥で燻る魔は、万人が宿す普遍的無意識の「罪」の残滓。
03連続と不連続の境界での戯れが、命脈を繋ぐ「供犠」という慰み。
04「弦」の揺らぎは多様の文様を紡ぎ、泡沫夢幻の重奏をかなでる。
05茫漠の中の「粒子」の蜜月は、私という存在が煌めく刹那の現身。
06探求者は相対する事象の「中間層」を彷徨う半音階的世界の住人。
07生命の快楽とは死の「接種」であり、終焉へ歩む生の動力である。
08音の中の「痙攣的」な美は、観念を超え肉体に訪れる野生の戦慄。
09夢境は重力の「検閲」を畏れず、閉じた裡を突破する自由の幽体。
10私は川の窪み。流れは過ぎゆけど保たれる波紋。「動的」な秩序。
11貨幣を峻拒する狷介な咆哮だけが禁忌を侵犯する。黙考する「叫」