ミニ・レビュー
最充実期といえるジャニーズ5人組の11作目。“月9”を含むドラマ主題歌4曲、「ロンドン2012」テーマ、CMに各ソロ曲と、これ以上ない内容の濃さ。エリック・リドボムはじめ多くを海外制作陣が手掛け、曲風も多彩。アイドルの枠を超えたシーンのトップランナーであることを証明した力作だ。
ガイドコメント
前作『Beautiful World』に続く、11枚目のアルバム。“POP”をテーマに、さまざまなジャンルのサウンドに挑み、表現した弾ける一枚。「迷宮ラブソング」から「Your Eyes」までのシングル4曲に、新曲、ソロ曲も加えた全16曲。
収録曲
01Welcome to our party
海外制作陣によるダンサブルなアッパー・サウンドに櫻井翔が手掛けたラップ・パートを組み込んだ、11枚目のアルバム『Popcorn』のオープナー。パーティの準備はできてるだろ? と嵐ワールドへと誘ってくれるハッピーなナンバーだ。
02駆け抜けろ!
グルーヴィなギター、弾けるホーン、踊るピアノ……と、ファンキーなアレンジが楽しいダンサブルなソウル・ポップ・チューン。タイトルにふさわしい爽快な風をまとったような疾走感がラストまで続く。日産「セレナS-HYBRID」CMソング。
03ワイルド アット ハート
松本潤主演のフジテレビ系ドラマ『ラッキーセブン』主題歌となった37thシングル。何が起こるかわからない明日を考えるより、今この瞬間を楽しもうと楽しげに語りかける。嵐らしい陽気さに満ちた、カラフルなファンキー・ポップだ。
04Face Down
君は誰なのか? もう一人の自分との対峙による葛藤をテーマにした38thシングル。クリス・ブラウンあたりのエレクトロ・ダンサー風で、曲のテーマに沿ったミステリアスな展開が耳を誘う。大野智主演フジテレビ系ドラマ『鍵のかかった部屋』主題歌。
05We wanna funk、we need a funk
全編ほぼ英語詞で綴られる松本潤のソロ・ナンバー。揺れるエレキ、高らかなホーンのサポートとともに展開するファンク・バンド風の曲調だが、エフェクトも駆使して2010年代的なエレクトロ・テイストにチューンアップしている。
06two
大野智ソロによる、海外制作陣作編曲のミディアム・スロー・ナンバー。2012年っぽくエレクトロ・アレンジされているが、軸となるのはコンテンポラリーR&Bテイストのメロディ。君が必要だと心から欲する声のような、終盤のロングトーンが印象的だ。
07Waiting for you
爽やかな風がそよぐような伸びやかな4つ打ちアッパー・ハウス調ナンバー。かつて君と見た夢を抱いたまま、いつかたどり着ける未来へと進もうと誓いあう。勇気と希望をくれるムードに包まれた4分弱のメッセージ・ソングだ。
08楽園
相葉雅紀によるソロ。軽やかで踊り出すようなバックとともに弾ける歌唱が魅力のアッパー・ポップで、タイトルらしく曲風は鮮やか。そのノリに押され、浮かれ気味に聴こえる歌声が微笑ましい。君といる場所が楽園なんだというトキメキを歌う。
09旅は続くよ
イントロのホーン、軽やかなジャズやカントリーのテイストのアレンジ、ユニークなメロディ。おもちゃ箱を開いた途端現れるようなメルヘンな世界が広がるポップ・チューン。苦楽の旅、それが人生さと爽やかに語る、嵐の個性があふれた曲だ。
10それはやっぱり君でした
二宮和也ソロで、以前発表したソロ「虹」の続編ともいえるミディアム・バラード。伸びやかに歌いあげる“虹より君はキレイだ……”のラストで、前回からの物語がつながる。ミスチルっぽいところもある曲で、二宮の歌唱は優しくも芯は強い。
11迷宮ラブソング
秒針音ではじまる、櫻井翔主演フジテレビ系ドラマ『謎解きはディナーのあとで』主題歌起用の36thシングル。胸騒ぎを呼び起こす“たとえば〜”以降のドラマティックなフックが出色。嵐の充実度を凝縮したような晴れやかなポップ・チューンだ。
12Your Eyes
温かみを感じるヴァースからシリアスなロック調フックへの展開が絶妙。君の瞳が語った優しさや痛みは新しい始まりをもたらすというメッセージ・ソングで、希望に満ちたラストも印象的。相葉雅紀主演日本テレビ系ドラマ『三毛猫ホームズの推理』主題歌の39thシングル。
13Fly on Friday
櫻井翔によるソロ。待ちに待った週末、夢の時間がはじまる金曜の夜のワクワク感を描いた4つ打ちアッパー・ダンサー。もちろん桜井のラップも存分にフィーチャーされている。エレクトロ・ハウス・アレンジによる爽快感と躍動感がリスナーを踊らせる。
14Cosmos
“ウォウ ウォウ〜”という叫びをフックにしたポップ・ダンサー。雄叫びに加え、歓声やクラップ、跳ねるストリングスなどのアレンジがライヴ感を創出。空間の奥行きを感じる明朗ポップで描く、壮大なスケールで愛を語るハートフルな詞世界のメッセージ・ソングだ。
15証
日本テレビ系『ロンドン2012』テーマ・ソングとなったミディアム・ポップ。明るい曲調だが、選手たちを後押しするような勇気を与える詞と切なくも希望にあふれるドラマティックなメロディ・ラインが涙腺を緩ませる。もちろん聴けばリスナーも勇気が宿るはず。
16Up to you
海外制作陣が作曲参加した、ディスコ風の要素を組み込んだキャッチーなファンキー・ポップ。自分らしさを取り戻して未来を変えていこう! というポジティヴなメッセージに心が温まる。ラストまでダンサブルなモードで展開する潔さが気持ちいい。