ガイドコメント
2013年3月6日リリースの、人気カヴァー・アルバム企画『Recreation』の第3弾。杏里、小林明子、テレサ・テン、井上陽水、シャ乱Qら、yasuが大好きだと公言していつまでも胸に鮮明に残るさまざまな名曲をセレクトしている。
収録曲
01恋におちて
85年、ドラマ“金妻”シリーズ第3弾の主題歌で話題となった小林明子のデビュー・シングルをカヴァー。原曲の印象を引き継いだ鍵盤を軸とした麗しい展開で、曲のキメとなるサビのファルセットも美しい。繊細な旋律を汚さないギター・ソロでyasuらしさを好演出。
021/3の純情な感情
原曲は97年のSIAM SHADEの6thシングル。ビートの効いた明快なロックゆえ、比較的スムーズなカヴァーとなった。キャッチーながらもちょっぴり切なさが募る展開が、甘酸っぱいヴォーカルと見事なシンクロを創り上げる好カヴァーだ。
03上・京・物・語
やや巻き舌風に歌う“別れるの 別れない”“悲しいね”のフレーズが印象的なアクセントに。センチメンタルな歌謡ポップスというレトロ感を残しつつも、ギターも主張させたアレンジが出色。シャ乱Qのブレイクのきっかけとなった95年の4thシングルのカヴァー。
04悲しみがとまらない
「CAT'S EYE」でブレイクした杏里が83年に放ったシングルのカヴァー。バックで弾んだ鍵盤の明るい音色のせいか、胸を突く悲しみの度合いは原曲よりやや薄め。だが、それがてらわないヴォーカルとフィットして、変な後味を残さない清々しさを生んでいる。
05時の流れに身をまかせ
「つぐない」「愛人」に続き、荒木とよひさ&三木たかしが手掛けた、86年のテレサ・テンの代表曲、16枚目のシングルのカヴァー。余計な手癖をつけずに歌とシンプルに向き合った、まっすぐな歌唱が印象的だ。アレンジも清澄でいきいきとしている。
06Stop it love
彼に友達を会わせたのをきっかけに三角関係となってしまった……杏里「悲しみがとまらない」同様のシチュエーションをほろ苦いメロディで綴る。切ないヴォーカルが哀愁をにじませる。企画アイドル“ネプサイケデリコ”への書き下ろし曲のセルフ・カヴァー。
07BELIEVE
原曲は小室哲哉作曲による渡辺美里の7thシングルで、沢口靖子主演ドラマ『痛快!OL通り』主題歌としてヒット。ドラマティックな導入から平穏なサビへという小室サウンドらしい展開を、シンセを強調したアレンジで演出。芯のあるメッセージ性を受け継いだ歌唱も強く響く。
08愛を語るより口づけをかわそう
織田哲郎サウンド全開のWANDSの5thシングルをカヴァー。93年発表、4週連続1位を記録したのも頷けるキャッチーなメロディのロック・サウンドゆえ、違和感はまったくなし。サビ終わりの伸びやかさなどは実に爽快だ。
09最後の雨
中西保志の代表曲といえば、この92年発表のバラード。深く思いに耽るような中西の歌唱とは異なる、悲壮感に陥らないようグッとこらえた歌唱でのカヴァーには、また別の良さが。ディープでなくビターな色合いで、yasuらしい心の雨模様を演出している。
10ふられ気分でRock‘n'Roll
大きなサングラス姿とテクノ風ロック歌謡で話題となったTOM★CATの84年のデビュー・シングルのカヴァー。“たかがロケンロー”のサビも気持ちよくシャウト。ゴリゴリのギターだけでなく、間奏でヴァン・ヘイレン「ジャンプ」をサラッと仕込むあたりがニクイ。
11「男」
男について愚痴る久宝留理子の93年のヒット・シングルを、男のyasuがカヴァー。どちらかというと繊細でなめらかな歌唱だが、太くゴリゴリとしたヘヴィなギター・アレンジによって原曲以上の緊張感を生み出している。“Ai Ai〜”のサビはいつ聴いても強烈だ。
12少年時代
同名映画主題歌にもなった、多くに歌い継がれる90年の井上陽水の名曲に、yasuも挑戦。すでに楽曲が完成されているだけに大仰な仕掛けは無粋で、シンプルなアコギに寄り添うようにしみじみと歌い上げる。夏の星空の下で聴きたい一曲だ。
13未来予想図2
数多くのカヴァーを生んだドリカムの名曲で、非シングルながらも高い人気を誇る89年発表のラヴ・バラード。吉田美和の意志の強い陰影深い歌唱とはまた違った、心地よい春風が吹き抜けるような鮮やかで生き生きとしたヴォーカルが印象的だ。