[Disc 1]
01チャイナタウン
「時間よ止まれ」のカップリングとして発表された作品のセルフ・カヴァー・ヴァージョン。原曲よりもいくぶんあたたかな肌触りのサウンドとなっており、想い出に浸るどこか切ない歌詞との相性もピッタリ。哀愁に満ちた歌い出しが見事。
02ウイスキー・コーク
軽やかなピアノとギターのカッティングで、爽やかにしてちょっぴりほろ苦い音に仕立てたアップ・ナンバー。二度と帰ることのない青春のひとコマを“ウイスキー・コーク”という絶妙な舞台装置で描いた相沢行夫の歌詞の世界が秀逸だ。
03YES MY LOVE
自身も出演するコカ・コーラのCMソングとしてヒットを記録した82年発表のシングル。同CMのタイアップといわれて想起する爽やかなイメージにはせず、大人の色っぽさをぎっしりと詰め込み愛を歌い上げるあたりが、さすがのYAZAWA流だ。
04アリよさらば
自身初の役者に挑み、音楽監督も手がけたTBS系ドラマ『アリよさらば』主題歌。“Why? なぜに……生きているのか?”のサビが強烈に響くハードボイルドなロック・ナンバーで、つまらない人生をアリにたとえた秋元康の詞も見事に効力を発揮。
05アイ・ラヴ・ユー、OK
キャロル解散後の記念すべきソロ・デビューを飾った、矢沢の代名詞ともいえる名バラード。ブラスを配したゴージャスなサウンドにどこまでも甘いメロディを乗せ、さらにスウィートな言葉をささやく姿は、男でもクラクラしそう。
06黒く塗りつぶせ
“OK,Rock'n Roll”というクールなキメ台詞からギターのリフで闇を切り裂く、1977年発表のシングル。疾走感のあるビートで突き進むロック・ナンバーだが、音数はむしろ少なめ。存在感のあるヴォーカルの魅力が際立っている。
07ROCKIN' MY HEART
ジョン・マクフィーが作詞曲を手がけた1982年リリースのシングル。パイオニア「プライベート」のCM曲に使用された、コーラスが印象的なアメリカン・テイストの爽やかなロック・ナンバーだ。珍しい提供曲だが、もちろんその魅力は健在。
08東京
日本テレビ系ドラマ『はだかの刑事』主題歌に起用された1993年発表のシングル。東京で傷つきながら安らぎを求める姿を描いた松井五郎の詞が胸に響くミディアム・バラードで、色気たっぷりに歌い上げるヴォーカルもシビれる。
09バイ・バイ・サンキュー・ガール
転がるピアノとギターの細やかなカッティングが絡むロックンロール・ナンバー。別れの言葉も紡げず“忘れそうもないよ俺は”と振り絞るように歌う姿がセクシー。長めにとられたアウトロが男の苦悩を表わしているかのようだ。
10スタイナー (Introduction)〜逃亡者
アルバム『E'』と同じく、ミッチェル・フルーム作曲のシンセサイザーによるイントロから流れ込む、1984年発表のシングル。「スタイナー」と同じくシンセの音色が効果的に響くシンプルなロック・チューンで、矢沢のシャウトが高らかに響く。
11YOU
ドゥービー・ブラザーズのエンジニアとして活躍したジミー・アイザクソンがレコーディングを手がけた、1981年発表のシングル。抜けのいいサウンドのもと、矢沢らしいヴォーカルの魅力がこれでもかと爆発したロック・ナンバーだ。
12あの夜…
シンセサイザーをはじめとした電子的なアクセントを巧みに取り入れたミディアム・テンポのロック・チューン。ちあき哲也が作詞を手がけ、軽い気持ちで手をかけた女に溺れてしまう男の物語を綴る。クールなサウンドの反面、肉感的なギターとサックスが映える。
13雨のハイウェイ
トム・マックがプロデュースを手がけたアルバム『I LOVE YOU,OK 』収録のナンバー。ペダルスティールとストリングスをアクセントに、カラフルでオールド・アメリカンなサウンドを構築。優しいヴォーカルもよく似合っている。
[Disc 2]
01棕櫚の影に
西岡恭蔵を作詞に迎えたアルバム『E'』収録のサマー・チューン。ハワイをイメージさせる棕櫚(シュロ)をモチーフにした歌詞の世界と、シンセサイザーを配してドリーミーでちょっぴり切ない手触りに仕立てたサウンドとの相性は抜群だ。
02苦い雨
自身が出演した宝酒造「BARBICAN」のCMソングに起用されたロック・ナンバー。最初から訪れることがわかっていた別れ、それでも愛の言葉を信じてた……やりきれない胸のうちをはき捨てるように歌い上げるセクシーなヴォーカルが秀逸。
03もうひとりの俺
サントリー「BOSS」のCMソングとして書き下ろされた1996年発表のシングル。アコースティック・ギターを中心に、要所で絡むオルガンが絶妙な味付けを施す過不足ないサウンドのもと、置き去りにしてきた“もうひとりの俺”への想いを綴る。
04ROCK ME TONIGHT
ドゥービー・ブラザーズのメンバーをはじめ、豪華アーティストを迎えた『P.M.9』収録のロックンロール・ナンバー。シンプルなアレンジながらエネルギーに満ちたド直球のサウンドをバックに従え、矢沢の歌声もキレキレの輝きを見せている。
05心花 (ときめき)よ
おなじみサントリー「BOSS」のCMソング・シリーズの第1弾となった1993年発表曲。アコースティック・ギターのアルペジオをバックに、深い味わいに満ちた歌声を響かせている。“心花”と書いて“ときめき”と読ませる大津あきらの詞も見事。
06長い黒髪
松本隆とタッグを組んだ1992年のアルバム『Anytime Woman』収録曲。ハネモノ系のスタイリッシュでクールなビートを基調としながら、歌詞の舞台は灼熱のスペイン。哀しい男女の物語を歌う哀愁に満ちた表情にグッとくる。
07Loser
セガのゲーム『龍が如く3』テーマ・ソングとなった2009年発表のシングル。意図的に隙間を多く作りつつその下では肉感的なベースがうねるサウンド、掴みどころのないメロディ・ラインもあいまって醸し出す不思議な雰囲気が魅力だ。
08Risky Love
1988年のアルバム『共犯者』に収録されたミディアム・アップのロック・チューン。歪ませたギターが引っ張るエッジの立ったサウンドは“とびきりRisky”な魅惑の女を歌う物語にさらに深みを与えている。熱っぽさとクールさを兼ね備えたヴォーカルもさすが。
09時間よ止まれ
矢沢の代表曲のひとつとして名高い傑作バラードのセルフ・カヴァー・ヴァージョン。原曲よりもグッとテンポを落とし、アコースティックなテイストにリアレンジすることでメロディの美しさがより鮮明に。じっくりと溜めて歌うことができるのも矢沢ならではだ。
10ロックンロールドラッグ
THE COLLECTORSの加藤ひさしを作詞に迎えた2004年発表のユニクロCMソング。冒頭のピアノから一分の隙もない、タイトルどおりのロックンロール・ナンバーだ。ライヴのようなテンションの高い演奏&ヴォーカルに心を奪われる。
11レイニー・ウェイ
キャバレーをイメージさせるブラスで幕を開けるミディアム・アップ。全編にわたって雨をテーマにした物語が進行するなか、バキっとしたブラスとは対照的な、どこかくぐもったように聴こえるバンド隊の音色がいい味を出している。
12親友
1976年のアルバム『A Day』に収録の感動的なバラード。同じ夢を追いかけた親友との別れを綴った歌で、優しく語りかけるように歌う“どんな恋に別れを言うよりも 男たちの別れは寂しい”のフレーズは涙なしには聴けない。
13ラスト・シーン
日本テレビ系ドラマ『刑事貴族2』エンディング・テーマに起用された1991年発表のシングル。“メトロ”“摩天楼”という言葉が登場するなどニューヨークを舞台にしており、中盤に配されたセリフもまさにハリウッド映画の“ラスト・シーン”のようだ。
14SOMEBODY'S NIGHT
自身も出演したAXIA「ビデオテープ」のCMソングとして話題を呼んだ1989年発表のシングル。ワイルドなロック・チューンながら、音数を無駄に多くすることはしない大人なサウンドが魅力。サビのシャウトで一発KOだ。
[Disc 3]
01共犯者
「カメリアダイアモンド」CMソングに起用された1988年発表のシングル。ゆったり目のテンポ、シンセサイザーとエレキ・ギターが絡むサウンドでタイトルから感じる不穏な空気を見事に体現。ゴージャスなコーラスも緊張感を与えている。
02コバルトの空
2009年に発表されたシングルにして、ロッテ「キシリトールガム」CMソング。疾走感のあるロック・ナンバーながら、全編を覆うのはどこか切ない感情。“コバルトの空=夢”を探し求めながら、道しるべを失ってしまった若き日を歌い上げる。
03HEY YOU…
2010年発表のアルバム『TWIST』に収録のトヨタ「ALPHARD」CM曲。ハートウォームなサウンドにどこまでもスウィートなメロディ、気恥ずかしいほどまっすぐに愛を歌う言葉。60歳を超えた矢沢だからこそ出せる色気と貫禄は圧巻のひと言だ。
04IT'S UP TO YOU!
第一興商「LIVE DAM」CMソングに起用された2012年発表のアルバム『Last Song』収録。カラッとしたギターのリフで幕を開けるアメリカンなテイストのロックンロール・ナンバーで、挑発的な歌唱でお前の限界を見せろと焚きつける。
05Still
資生堂「ピエヌ」CMソングに起用された1997年発表曲。今も忘れることのできない愛に想いを馳せた切ない物語を歌い上げる、スモーキーな響きを含んだヴォーカルが味わい深い。余分なものをそぎ落としたアレンジも好印象。
06ONLY ONE
THE COLLECTORSの加藤ひさしを作詞に迎えた2005年発表のシングル。推進力の高いビートで突き進むストレートなロック・チューンで、世界にひとりきりの“オンリーワン”であることの意味を思い出させてくれる。
07背中ごしのI LOVE YOU
自身も出演したサントリー「角瓶」CMソングに起用された2001年発表のシングル。心地よいギターのカッティングがアクセントの王道ロックンロール・ナンバーで、セクシーなシャウトを交えつつ大切な人への愛の言葉を歌い上げる。
08サブウェイ特急
松本隆が作詞を手がけた1975年発表曲。ストリングスとピアノ、ギターが絶妙に絡み合う爽やかなロックンロール・ナンバーだ。ジェームス・ボンドやジェームス・ディーンを引き合いに生き方を歌う、若さに満ちた歌声が魅力的。
09バーボン人生
タイトル通りバーボンがよく似合う、ジャズっぽいテイストの大人びたナンバー。酒とともに自分の人生を振り返るしっとりとした世界観で進むが、当時20代にしてむせ返るような色気とどこか枯れたような雰囲気を醸し出す歌声はさすが。
10A DAY
1976年発表のアルバムのタイトル・ナンバーとなったしっとりとしたバラード。君の悲しい涙に もうさよならさ……西岡恭蔵のペンによるどこまでも甘い言葉に呼応するように、優しく語り掛けるような歌声を響かせている。
11サイコーなRock You!
2010年に発表されたロッテ「キシリトールガム」CMソングは、ムダをそぎ落としたシンプルな構成で突き進むロックンロール・ナンバー。アグレッシヴに攻めるハイテンションなヴォーカルとシャウトは、まさに“サイコー”なロック・シンガーだ。
12居場所
地に足のついた力強いビートとどこか温かみを感じさせるサウンドのバランスが絶妙なミディアム・テンポのロック・チューン。ちょうどいい“居場所”を見つけることができず、それでも一緒にい続けた大切な人への感謝を真っ直ぐに歌い上げる。
13鎖を引きちぎれ
“鎖につながれて お前は生きるのかい”の歌い出しが印象的なワイルドなロック・チューン。男心をくすぐる挑発的な歌声に力がみなぎるようだ。暴れまわるギターとバトルするように、情熱的にシャウトするアウトロもカッコいい。
14PURE GOLD
TBS系ドラマ『ホットドッグ』主題歌として話題を呼んだ1990年発表のシングル。“ホームにNight Train 財産はトランクとギターだけ”など、まるで自身の上京時を歌ったような物語だけに、ヴォーカルにもいっそう熱を感じる。