ガイドコメント
オリジナルとしては前作『とげまる』以来約3年ぶりとなる、2013年9月11日リリースの14thアルバム。「さらさら」「僕はきっと旅に出る」といったシングルやボーナス・トラック「エスペランサ」を含む充実作だ。
収録曲
[Disc 1]
01未来コオロギ
アルバム『小さな生き物』のオープニング・チューン。マイナー調の繊細かつ心地よいメロディとザックリとシンプルで力強いバンド・サウンドが融合。弱さを受け入れて未来を掴もうとするほの温かい詩的な世界が広がる。
02小さな生き物
やさしげなフリューゲルホーンや鉄琴の音色がアクセントとなったスロー・ナンバー。“守りたい生き物に出会えた僕は生き物”という、人間のシンプルな本質を歌っている。「センチュリー21」のCMソングに起用された。
03りありてぃ
中盤のユニゾンなど、ハードロッキンなギター・フレーズが炸裂するアッパー・チューン。新しい世界を求める自分の理想と日常の現実を“金魚”に例えている。スピッツのロック小僧気質全開の、推進力にあふれた一曲。
04ランプ
情報や物が過剰で、絶対の安心がない時代……。そんな2010年代に、あらためて“ランプ=命の灯火”の意味を問いかける。アコースティック・ギターとオルガンの温かい音色が優しく響く、フォーキーなナンバーだ。
05オパビニア
恋愛ベタな男性が“恋も希望も取り戻す!”と、恋をして心が解放されていく様子を歌った青春ソング。甘酸っぱいヴォーカル、疾走感のある8ビートが瑞々しく響く。ちなみに、タイトルの“オパビニア”とは約5億年前の古代生物のこと。
06さらさら
東日本大震災後に作られたアルバム『小さな生き物』からの先行シングル。その影響もあってか、“悲しみを忘れない”、でも“朝が来るって信じてる”……と、日々の生活に希望を見出そうとする切なくも力強いロック・チューンとなった。
07野生のポルカ
終盤の野太い男性コーラスとして、フラワーカンパニーズと亀田誠治が参加した、チェコの民謡舞曲“ポルカ”とオイパンクが融合した楽しいナンバー。本来の自分を野生種の動物に準えた詞も、生命力と躍動感に富んでいる。
08scat
アルバム『小さな生き物』の中盤に配された、3分間のインスト・ナンバー。印象的なギター・リフの荒々しい8ビートのオルタナ・ロック・サウンドに、リヴァーブがかかった草野のスキャットが幻想的に浮遊している。
09エンドロールには早すぎる
冒頭の明るいギター・リフと打ち込み主体のサウンドが80'sポップスを彷彿とさせ、意表を突く。“当たり前が大事だってこと”と雲行き怪しい二人の関係に起死回生をかけた男の決意を、せつないメロディで歌っている。
10遠吠えシャッフル
シャッフル・ビートを基調にしたロック・チューン。さらに“正義は信じない”“居場所があるかわかんねぇ”と“遠吠え”する歌詞がまさにタイトルどおり。そんな強がりを言いながらも自身の理想を目指す、光にあふれた歌だ。
11スワン
アコギの弾き語りで幕を開ける切ないミドル・チューン。死者か別れた恋人か……“星空を 見るたびに思い出す”と、タイトルが“スワン・ソング”の意味にも取れる。意味深な歌詞だが、美しいメロディが明るい聴後感を残す。
12潮騒ちゃん
オルタナ×ケルティック・パンクのようなカラっとしたお祭りサウンドと、“潮騒”“飛びたい”“ネバーダイ”など言葉遊びのように韻を踏む歌詞が楽しい一曲。中盤の男らしい咆哮やセッション部分はライヴ映えしそう。
13僕はきっと旅に出る
「さらさら」と両A面でリリースされた38枚目のシングル。叙情的なピアノがアクセントとなった疾走感あふれるロック・チューンで、うまくいかない今だけど願いを叶えるぞという強い意志が“きっと”に言葉に込められている。
14エスペランサ
憂いをはらんだメロディ、草野の“Uh…”という美しいコーラスが印象的な、アルバム『小さな生き物』デラックス盤のボーナス・トラック。不器用なりに幸せの形を探していこうという“希望=エスペランサ”の歌だ。
[Disc 2]〈Blu-ray〉〈MUSIC VIDEO〉
01さらさら
02野生のポルカ
03小さな生き物
[Disc 3]〈Blu-ray〉〈撮り下ろしスペシャルライヴ at 横浜BLITZ〉
01運命の人
02あかさたな
03さらさら
04りありてぃ
05夕焼け
06潮騒ちゃん
07エンドロールには早すぎる
08ライヴ当日のメイキング映像