ミニ・レビュー
E-girlsのメンバーとしても活動する8人組ダンス&ヴォーカル・ユニットの初アルバム。歌詞に込められた喜怒哀楽を自由自在に表現する、情感豊かで妖艶なヴォーカルが堪能できる。スキのないサウンド・プロダクションもさすがで、良質な今様ソウル/R&Bが味わえる。
ガイドコメント
EXILE系ガールズ・ユニット、Flowerによる2014年1月22日リリースの1stアルバム。デビュー曲「Still」から「白雪姫」までの6枚のシングルに加え、新録曲などを含めた全13曲を収録。3年間の軌跡を凝縮したベスト的な一枚だ。
収録曲
01Still
悲しくも美しいストリングスと哀愁あふれるR&B調な展開や、終わった恋なのにまたもう一度を期待する切ないストーリーは、まさに松尾潔&川口大輔コンビの真骨頂。物憂げな表情にも初々しさが残る、記念すべき1stシングル。
02forget-me-not〜ワスレナグサ〜
TBS系アニメ『機動戦士ガンダムAGE』第四部・三世代編エンディングを飾った3rdシングル。瑞々しいクリスタルな歌唱とノスタルジーに覆われたメロディが絶妙にフィットしたダンス・チューンで、二人をいたずらに近づけて遠ざけた夢を憂う微妙な恋心を歌う。
03let go again (feat.VERBAL (m-flo))
YOSHIKAを迎えたm-floの感涙バラードをFlower版の世界観へ寄せてリアレンジ。エレクトロなスパイスと流麗なストリングスで原曲より重厚さを軽減させ、同世代への共感度を増長。曲を存分に知るVERBALならではのプロデュースといえる。
04太陽と向日葵 (ひまわり)
まぶしく笑う太陽とそれに向かって咲いた向日葵を、あなたと私に対比。夏の終わりのたそがれを感じながら、叙情的な詞世界で募る想いを綴ったラヴ・ソングだ。ピアノ・ハウス風に展開する潤いと清澄を帯びた5thシングル。
05Fadeless Love
君への感情は決して色褪せない……もっと深く近くで二人の果てしない未来へ向かいたいと永遠の愛のメッセージを問いかける。スタイリッシュでダンサブルなエレクトロ・ハウス・サウンドへ落とし込んだ、h-wonderのアレンジが見事。
06YOUR GRAVITY
Jeff Miyaharaと海外制作陣による軽やかなタッチのダンサブルなポップ・チューン。キュンキュンするトキメキをキーワードに、いまどき女子の積極的な恋愛を歌う。“今にもハジけそうなflower”と期待に満ちた歌声もフレッシュでいい。
07Boyfriend (Moonlight Version)
もう君は私のカレじゃない……君への想いに後ろ髪を引かれながら、“あの頃”とは違う今の君との決別を誓った悲しいラヴ・ストーリー。センチメンタルなダンス・トラックに、ピュアゆえに美しくも悲しい影を落とす鍵盤が印象的だ。松尾潔プロデュース。
08To Be Free!!
ダンスクラシックスなトラックにスムーズなR&Bが絡む作風は、松尾潔とMaestro-Tこと豊島吉宏の手腕。高品質なネオソウル趣向も胸躍らせる。不安と葛藤に悩みながらも明日へ走り続けようとする、若き世代の境遇を代弁。ラストの笑みに希望が。
09恋人がサンタクロース
ユーミンこと松任谷由実の大ヒット曲をカヴァーした4thシングル。Maestro-Tと松尾潔がエフェクトなどで加工したエッジーなダンス・トラックへと模様替えし、2010年代仕様のウィンター・ソングに。メロディの秀逸さは不変だ。
10白雪姫
キスで目覚めた白雪姫のように、つらく悲しい恋から抜け出したい。相手がいる彼を愛した自分の悲運に泣きながらも温もりを求めてしまう不遇なラヴ・ストーリー。切なさが刺すようなドラマティックな展開が胸を締め付ける6thシングル。
11SAKURAリグレット
2ndシングルは、目黒川沿いの桜並木を舞台に描く失恋ソング。松尾潔ならではの影が寄り添うようなメランコリックな世界観で、春に思う淡い恋の軌跡をしなやかに綴る。色鮮やかな和風なアクセントがきらびやかな、ダンサブルR&Bだ。
12初恋
サマンサタバサ「Samantha×カワイイ×Art」CMソングで、初出はE-girlsの6thシングル。流麗な“ヒュルリラ〜”のフックが、初恋のトキメキと絶えることない愛の泉を見事に表現。鮮やかで季節感が浮かび上がる、情緒的なダンス・ポップだ。
13CALL
水滴やせせらぎを想起させる瑞々しい音をちりばめながら、まだ忘れられない終わったはずの恋へのざわめきを綴る。切なさと期待が入り交じったスウィートなメロディが会いたい気持ちを強くさせるミディアム・バラードだ。