ミニ・レビュー
すっかり人気者な“オオカミ・バンド”のアメリカ・デビューに向けた初のコンピ盤。「DON'T LOSE YOURSELF」「distance」などの代表作を含め、全曲が英詞にモデルチェンジされる中、目の覚めるようなキャッチーさと爆音でマンウィズ印のミクスチャー・ロックが炸裂している。全米を震撼させるか?
ガイドコメント
2014年秋の全米メジャー・デビューへ向けた、2014年2月12日リリースのコンピレーション・アルバム。「distance」「Get Off of My Way」ほか代表曲4曲の英語ヴァージョンなど、海外展開を視野に入れた一枚となっている。
収録曲
01distance (ENG Ver.)
メジャー1stシングルの英語ヴァージョン。ロックを基調とした熱いダンサブルなビートが展開し、ライヴでは会場が揺れるほどの盛り上がをみせるキラー・チューンだ。トライバル感の強いパーカッシヴなリズムが高揚感を誘う。
02Get Off of My Way (ENG Ver.)
天然炭酸水「ゲロルシュタイナー」の噴射音をアレンジに盛り込んだダンス・ロック・ナンバーの英語ヴァージョン。ヒップホップ調のハネたリズムと激情的に鳴らされるギターの中に響く“シュワー”というフェイザー的音色が面白い。
03HASTA LA VISTA
ラテン語で“アバヨ”という意味を持つハイテンション・ナンバー。攻撃的な歌詞を武器としてアッパーに畳みかけるTokyo Tanakaの歌唱力は、ザック・デ・ラ・ロッチャやジョナサン・デイヴィスに負けず劣らずの力強さ。
04Smells Like Teen Spirit
米国が生んだ伝説的オルタナ・バンド、ニルヴァーナの代表曲をカヴァー。ギター・リフはオリジナルのままだが、ラップやスクラッチ音などヒップホップ要素を盛り込んだアレンジは実験的。現代的なアプローチで挑みつつも原曲のリスペクト加減が絶妙だ。
05FLY AGAIN
ライヴではマスト・チューンとして人気のダンス・ロック・ナンバー。技巧的ギターからフル加速する曲調に独自性の楽曲で、ぶ厚いサウンドがドラマティックな光景を見せてくれる。“Fly Again Yeah”と繰り返すフレーズの求心力が最高だ。
06Mash UP The DJ!
コミカルな会話劇を断ち切るパンチの効いたイントロが印象的なロック・チューン。ファンキーに踊り鳴らされるKamikaze Boyのスラップ・ベースとDJ Santa Monicaのプレイに野性的なスピリットを感じる。
07Take What U Want
“Come On”の雄叫びとともにアッパー・ビートで攻めるスタンスが痛快。“欲しい物があれば奪ってでも手に入れろ”と高らかに宣言する歌詞の内容からも、過激で挑発的、ストレートな反骨精神を体現するロック・バンドらしいナンバーだ。
08NEVER FXXKIN'MIND THE RULES (ENG Ver.)
インディ時代に発表したシングルの英語ヴァージョン。直情的でやや過激を内容を含んだ歌詞とシンクロしながらも、心のままに解き放たれたエモーショナルなサウンドには“オオカミバンド”の原点が封じ込まれている。
09Bubble of Life
踊れる4つ打ちリズムと軽快なギター・サウンドを軸にグルーヴが渾然一体となり展開するアッパー・チューン。現代的に消化されたダンス・ビートの中に深く歪んだ音が乗ることで、よりエモーショナルな音像を獲得している。
10colours
繊細に紡がれるメロディが感動的な光景を生み出すミディアム・バラード。“色とりどりの世界が広がり 一つ一つに意味がある”という詩的なフレーズが印象的で、平和的なメッセージをアコースティックな響きの中で届けてくれる。
11DON'T LOSE YOURSELF (ENG Ver.)
「DON'T LOSE YOURSELF」の英語ヴァージョン。混沌としたイントロから一転し、希望に満ちたサウンドがマグマのごとく吹き出してくる。悲観的な局面でに“助けるのは誰でもない、自分自身なんだ”鼓舞する歌詞が等身大の姿として胸を高鳴らす。
12TAKE ME HOME
イントロがビートが鳴った途端、ヴォルテージが一気に上がるパンキッシュなナンバー。初期衝動を表わしたようなストレートかつメロディックなサウンドが清々しく、短い分数の中にも高い熱量を閉じ込めながら爽快感も残してくれる。