ミスコン優勝時のインタビューで言葉を詰まらせた後、幸せになりたいと呟く場面から幕開け。華やかなステージを生きると完璧を求められ“とてもつらい”と語る、穏やかだがドラマティックなポップ。ライティングにはシーアが参加、アモが制作。

呪文のように唱え続けるヴァースから神妙な空気が漂うアンビエントなフックへの展開は、タイトルのごとく“とり付かれた”ような世界。冷淡に刻まれるシンセ・ビートとクールなヴォーカルが、ビヨンセの狂気を垣間見せている。制作はブーツことジョディ・アッシャー。

『ビヨンセ』からの1stシングルで、ジェイ・Zとともに一晩中愛に溺れる姿を描いたメイクラヴァー。ティンバランド一派による中毒性の高いアンビエントなR＆Bで、ドローンとした質感がユニーク。R指定全開だが、ここまで明け透けにできるのもこの夫婦くらいか。

ファレル・ウィリアムスとティンバランド、さらにジャスティン・ティンバーレイクまでも参画した派手さ抑えめのディスコ・ファンク。ビヨンセのヴォーカルもキュートな彩りだが、内容は私のチェリーを味わってみてというストレートなエロ・ソングだ。

ハスキーなファルセットで官能的なムードを構築するビヨンセのヴォーカルに息を呑む。粘着性の高いミディアム・スローR＆Bを手掛けたのはキャロライン・ポラチェック。セレブなイメージを持つ男に対して、“私もあなたも天使じゃないわ”と告げる。

前半はトラップ調のビート・トラックに乗せてオルターエゴの“ヨンセ”が登場。ギャングスタなクイーンを演じる。後半は外の顔から素顔へ戻り、スナップ・ビートに添って欲情な女を披露。ティンバランド、ジャスティン・ティンバーレイク、ジェローム・ハーモンらが制作。

タイトルどおり彼に対する“嫉妬”を歌ったポップ・バラード。夜遊びして帰ってこない彼に待ちくたびれる女の“女は耐えて尽くすだけじゃない”という心情を吐露している。別人格の“ヨンセ”も登場。ディテールが制作、ヒット・ボーイも参加。

ファンキーなスロウ・ジャムで、どこかディアンジェロを意識したような作風が印象的。ミゲルがソングライティング、ティンバランドが制作で参加。やや明るめな音色だが、歌うのはド直球のメイクラヴ・ソングだ。下劣にならないセクシーは、ビヨンセの真骨頂か。

ドレイクを迎えたアンビエントなR＆B。ピアノがたゆたう幻想的な前半から重厚なボトムの上でパーカッシヴな音が鳴る後半へ。噛み合わない男女の仲に悩みながら、互いに求め合う気持ちを告げる。ドレイクの露出が強いインパクトを残す。ノア“40”シェビブが制作。

タイトルは“キス＆ハグ”の意味。ライアン・テダーとザ・ドリームが手を貸したポップなミディアムで、今は今でしかないから愛し合おうと歌うキャッチーなラヴ・ソングだ。希望に満ちた作風と優しいビヨンセのヴォーカルが安らぎを与えてくれる。

冒頭からチョップ＆スクリュー仕様で“H・タウンの女王にひれ伏しな”と啖呵を切るドSなビヨンセが登場。後半にナイジェリアの女性作家のスピーチを引用し、女性賛歌を展開。冷淡なビートと力強いフロウとの組み合わせが不穏なムードを生むゴリゴリなヒップホップだ。

フランク・オーシャンとのデュエットで強靱な愛の力を歌う。ヴォイスパーカッションとで創り出す荘厳なムードのなかで、ビヨンセとフランク・オーシャンが内なる炎を燃やすかのようなジェントルな歌唱を展開。ファレル・ウィリアムスによるスロー・バラードだ。

ゆったりと波を揺らす大海のようなポエトリーなムードが染みわたる重厚なバラード。この世に出ることが叶わなかった“生命”に、母なるビヨンセが感情を抑えながら気持ちの丈を吐露する。もの悲しくも美しい幻想的な曲だ。ブーツことジョディ・アッシャーが制作。

ビヨンセの愛娘ブルー・アイヴィーへのあふれんばかりの愛を捧げたパーソナルなラヴ・ソング。ラストで無邪気に笑う娘の声やずっと離さないわという母親の至福の歌声が、実に微笑ましい。生命への喜びに満ちたバラードだ。