ミニ・レビュー
結成20周年のタイミングでリリースされた7作目のアルバム。ひさびさに“らしさ”というか、軽快で煌びやかなバンド・サウンドが戻ってきてワクワクさせられるとともに、説得力ある曲の並びと佇まいには貫禄を覚える。4つ打ちひとつとっても、他とは一線を画す仕上がりだ。
ガイドコメント
約3年ぶり、2014年3月12日リリースとなる7枚目のオリジナル・アルバム。「友達の唄」「Smile」「ゼロ」「グッドラック」「firefly」といったシングルや配信限定シングル「虹を待つ人」、新曲「ray」など、話題曲が満載。
収録曲
01WILL
ツアー“WILLPOLIS 2014”の冒頭で流れたBGMとしてもなじみ深いインストゥルメンタル・ナンバー。物語のイントロダクションを飾るに申し分ないドラマッティクな楽曲で、大きな期待感と高揚感を抱かせる。
02虹を待つ人
2013年公開映画『ガッチャマン』の主題歌に起用されたバンプ初の配信限定シングル。バンドの新機軸ともいえる煌めくエレクトロ・サウンドと重厚なコーラス・ワークが印象的なダンス・ポップ・チューンで、升秀夫の鳴らすドラム・フレーズが鼓動を高鳴らす。
03ray
ツアー“WILLPOLIS”武道館公演で初披露されたポップ・チューン。これまでのバンプ楽曲とは異彩を放つエレクトロ要素が全面に押し出したサウンドで、4つ打ちリズムの上で飄々と奏でられるメロディが軽快で心地良い。
04サザンクロス
孤独感に包まれたシリアスな曲調から、悟すような柔らかいメロディに繋がる展開がまたとない世界観を映し出すロック・ナンバー。バンドの渾然一体となったグルーヴも圧巻で、テクニック面でも着実な進化を遂げていることを感じる。
05ラストワン
タメの効いたビートと軽快なギター・トーンが独特のウネりを生み出し、憂いある音で奏でられるポップ・ロック・ナンバー。“嫌いな自分と一緒に世界まで嫌わないように”というフレーズに特徴的な内面に問いかける歌詞には、人間としての普遍的なテーマを感じる。
06morning glow
繊細なギター・トーンから始まり、徐々に奥行きをみせながら異国情緒を漂わせるサウンドが刺激的なロック・チューン。直井由文と升秀夫を中心に形成された高揚感あるリズムは、この楽曲に重要なアクセントを与えている。
07ゼロ
ゲーム『FINAL FANTASY 零式』主題歌に起用された21stシングル。藤原基央により綴られた“終わり”への思いを、叙情的なメロディで表現。太く歪んだギターが存在を示し、刹那の世界観を巧みに描いたミディアム・ロック・チューンだ。
08トーチ
柔らかなヴォーカル・メロディと日常を寄り添うようなテンポ感が、爽やかな印象を抱かせるロック・チューン。躍動感がありながらメリハリの効かせたバンド・サウンドがスタイリッシュな音像を形づくり、言葉が曇りなく相手へと届けられる。
09Smile
東日本大震災のチャリティ・ソング。配信ヴァージョンでは弾き語り形式だったが、ここではバンド・サウンドにリアレンジされて7分超の大作に。言葉では言い尽くせない無常観を“ああ”という叫びの中に集約したヴォーカル・メロディが切なくも美しい。
10firefly
フジテレビ系ドラマ『息もできない夏』の主題歌に起用された23rdシングル。荒々しいサウンドがバンド初期の衝動性を感じさせる疾走感に秀でたアップ・テンポの楽曲。ドラマティックに奏でられるギターやベースのアプローチにもセンスが光る。
11white note
オーガニックな響きの心地良いサウンドの中にウェスタン調の軽快な旋律を織り交ぜながら、バンドとコーラスが一体となる圧巻のポップ・チューン。オーディエンスとの共鳴を感じさせ、ライヴで盛り上がりを確信させる。
12友達の唄
映画『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』の主題歌に起用された19thシングル。アニメの世界観に寄り添った優しいメロディと荘厳なストリングスを配したアレンジが素晴らしい、ドラマティックに鳴らされるミディアム・ナンバーだ。
13 (please)forgive
煌びやかの一言では片付けられない芯の太い歌声とサビに向かって加速する一体感あるビートが、希望的展望を確かなものとするミディアム・ロック・ナンバー。辛辣な現実を汲み取った歌詞は刺があり痛ましいが、スウィートなメロディが上手に緩和している。
14グッドラック
映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』の主題歌として起用された22ndシングル。アコースティック主体のシンプルな協調と起伏ないメロディが全体を覆うが、藤原基央の作詞家としての表現の技量に感服する情緒性あるバラードだ。