ミニ・レビュー
“アイドルとメタルの融合”をテーマにした美少女3人によるユニットのファースト・アルバム。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「メギツネ」といったシングルをはじめ、モダン・ヘヴィ・メタル系のトラックに一緒に歌いたくなるようなポップなメロディを乗せた楽曲はどれも秀逸。まさに名曲揃いの名盤だ。
ガイドコメント
2014年2月26日リリースの1stアルバム。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「いいね!」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「メギツネ」といったシングルのほか、カップリングや未発表曲を含む充実作。
収録曲
01BABYMETAL DEATH
ゴシック調の怪しげなコーラスで始まるデスメタル・ナンバー。“BABYMETAL DEATH”というフレーズの反復は歌というよりはインスト的な要素を含んでいる。重低音サウンドが畳みかける攻撃的サウンドが気分を盛り上げる。
02メギツネ
メジャー2ndシングル。和のテイストをふんだんに盛り込んだメロディック・メタル・チューンは、ラップ風のパートから展開するメロウな歌声が抜群のキャッチーさで心をとらえていく。お祭りの合いの手のようなコーラス・パートもコミカルでとても楽しい。
03ギミチョコ!!
縦ノリのパンキッシュ・リズムが疾走感を呼び込むポップなスラッシュメタル・ナンバー。序盤で聴けるダークな音像はサビでは一転、カラフルなポップ・メロディで開放的な方向へと誘導する。SU-METALのキュートな歌声が明るいアクセントを加えている。
04いいね!
ユーロビート風ダンス・サウンドとヘヴィ・メタルをミックスした実験色の強さが印象的。ダンサブルでありながらヘヴィ、ラップ・パートを挟むもアイドル的要素も忘れない。激しい運動量で退屈する隙を与えない、インパクトの強いアッパー・チューンだ。
05紅月-アカツキ-
ダークでシンフォニックな世界観が圧巻のスケールで迫るナンバー。マイナー調の叙情的な世界に広がるSU-METALの歌唱は、伸びやかで安定感がある。80年代に席巻したジャパメタに通じるメロディックなスピードメタル・チューン。
06ド・キ・ド・キ☆モーニング
彼女たちの前身、さくら学院のアルバムにも収録されたポップ色の強いヘヴィ・チューン。BABY METALの3人が産声を上げた記念すべき曲であり、アイドルの可愛さが色濃く打ち出された楽曲ではあるものの、随所でうねりを上げる轟音フレーズが独自性を放つ。
07おねだり大作戦
YUIMETALとMOAMETALのコーラスが魅力のディアム・メタル・チューンは、サウンドスケープの中枢を哀愁たっぷりのサウンドが担う。オリエンタルな太鼓の音色が艶やかで、ラップを絡めた展開もミクスチャー的、ヴァラエティに富んだ展開だ。
084の歌
イントロで聴ける王道ロックリフが格好の良いパンキッシュ・メタル・ナンバー。硬派なサウンドとは対照的に、メロディ・パートはとてもユーモラスな佇まい。間奏でレゲエ調になるという謎展開も含めて、好奇心を刺激させてくれる。
09ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
ダブステップをサウンドの軸に据えたヘヴィ・ロック・チューン。エレクトロなトーンがクールな装いながら、アイドル然とした可愛らしい歌声も披露している。凶暴性が顔を覗かせるヘヴィなサウンドも中毒性を生んでいる。
10Catch me if you can
イントロの荘厳な鐘の音から異様で濃厚な空間へと引きずり込むアッパー・チューン。ドラムンベース風の高速リズムに乗せて“鬼さんこちら 手のなる方へ”と童謡フレーズを引用するあたりがサブカル的。ポップスとメタルの間を闊歩するようなナンバーだ。。
11悪夢の輪舞曲
“悪夢”“輪舞曲”と題したのも伊達じゃなく、変拍子のリズムが鼓膜を痛めつけるメタル・チューン。ボカロP出身のYuyoyuppeが作詞作曲を手がけた楽曲だが、ダークでゴシックな世界観がメタラーをうならせること間違いなしのナンバー。
12ヘドバンギャー!!
インディ時代にリリースされたシングル。まるで怨念を押し込めたような退廃的メロディが一度聴いたら耳から離れないメタル・ナンバー。スピード感に秀でたサウンドがエネルギッシュで、タイトル通り激しく頭を振りたくなる楽曲だ。
13イジメ、ダメ、ゼッタイ
BABY METALの記念すべきメジャー1stシングル。ピアノから始まるセンチメンタルなイントロに、アグレッシヴに攻めまくる情熱的サウンドとメロディックな歌はまさしく正統派日本メタル。ライヴでの盛り上がりを容易に想像させる楽曲だ。