ミニ・レビュー
常に座右に置いておきたくなる一枚。弾き手のアプローチの違いが、音楽の表情をここまで変える……聴こえてはいても認知せずに過ごしてきた作品の美質に気付く、と言うべきか。タイトルの隠喩の秀逸さ、そうした演奏の楽音の広がりを余すところなく捉えてさり気なく聴かせる優秀録音も特記。★
ガイドコメント
2011年にデビューしたグルジアの新星ピアニスト、ブニアティシヴィリの3rdアルバム。前2作とは一味違った小品集で、ドビュッシー「月の光」やリスト「子守歌」など、彼女の心情の吐露ともいえる演奏を披露している。
収録曲
01カンタータ「美しき狩こそ我が悦び」BWV208第9曲〜アリア「羊は憩いて草を食み」 (J.S.バッハ/ペトリ編)
02「四季」op.37b〜第10曲「10月:秋の歌」 (チャイコフスキー)
03無言歌集第6巻op.67-2〜失われた幻影嬰ヘ短調 (メンデルスゾーン)
04ベルガマスク組曲第3曲〜月の光 (ドビュッシー)
05映画「アーモンドの花咲くとき」メインテーマ (カンチェリ)
06ムジカ・リチェルカータ第7番 (リゲティ)
07間奏曲op.117〜第2番変ロ短調 (ブラームス)
08子守歌S.198 (リスト)
09スラブ舞曲ホ短調op.72〜ドゥムカ (ドヴォルザーク)
10亡き王女のためのパヴァーヌ (ラヴェル)
11練習曲嬰ハ短調op.25-7 (ショパン)
12練習曲嬰ハ短調op.2-1 (スクリャービン)
13ソナタ ホ長調K.380 (D.スカルラッティ)
14抒情小曲集op.57〜第6曲 郷愁 (グリーグ)
15あなたは私を愛していないの? (グルジア民謡/ブニアティシヴィリ編)
16クラヴサン組曲HWV434〜メヌエット ト短調 (ヘンデル/ケンプ編)
17アリーナのために (ペルト)
演奏
カティア・ブニアティシヴィリ(P) (9)グヴァンツァ・ブニアティシヴィリ(P)