ガイドコメント
前作以来約1年7ヵ月ぶりとなる、20414年7月23日リリースのオリジナル・アルバム。「月と太陽」「カリフォルニー」「RHYTHM OF THE SUN」といったシングルほか、CMなどで話題の人気曲などを収録した充実作だ。
収録曲
01カリフォルニー
心地よい春の陽気やそよ風を感じるようなやわらかいサウンドで進む、ミディアム・アップのポップ・チューン。物語の舞台には彼ららしいリゾート感をちりばめながら、“前を向いてのんびり歩いていこう”というユルめで心にジワリと染みるメッセージを歌う。
02FUTARIDAY
ウクレレで幕を開けるイントロからレゲエっぽいリズムを取り入れるなど、一貫してピースフルで南国的な雰囲気を押し出したナンバー。もちろん歌詞も南国が舞台で、沈む夕陽を眺めながら、来年も再来年もずっと“二人で”いようと歌う。
03逆転の発魂
4つ打ちで突き進むリズムに、ギターのカッティングと空間的なエフェクトで不思議な広がりを持たせたサウンドが映えるミディアム・アップ・チューン。何もないからこそ生まれるもの、何も持ってないからこそ持てるものなど、逆転の発想で乗り切る歌詞が心強い。
04Made in JAPAN
トリッキーなピアノのフレーズをループさせ、4つ打ちのリズムで引っ張るヒップホップ色強めのナンバー。世界中に存在する“Made in JAPAN”。高い技術とたゆまぬ努力によって手に入れたすべてに誇りを持っていこう、というストレートな言葉が胸に響く。
05RHYTHM OF THE SUN
エレクトロな音作りがメインながら、パーカッションをはじめラテンのフレイヴァを強めに押し出したアッパーなナンバー。高速ラップと伸びやかなサビを交互に配し、“太陽のリズム”で子供に戻って踊れと告げるパーティ・チューンだ。
06Make&Break
冒頭のほか、要所で組み込まれる“メイカンブレイクッ(Make&Break)”という言葉のリズムが心地いいミディアム・アップ。シンセのシンプルなループを中心としたトラックながら、突然EDM風に展開するなどフックの作り方がニクい。
07リアリティー
BUZZER BEATSのSHIGEが作曲に参加したアップ・チューン。クールなサウンドをバックに歌われるテーマは、便利すぎるコンピューターによって失われていくぬくもり。なのだが、“君の乳首さえ忘れそう”という表現で伝えるあたりがさすが。
08EMERGENCY
サイレンの音で幕を開け、ゆったりとしたビートながら緊迫したサウンドを作り上げたナンバー。緊迫感をさらに盛り立てるのは歌詞の世界。“慢性的依存状態”“禁断の甘い罠”“最近めっぽう手に入りにくい国産”など、ドラッグを連想させつつも、その正体は……。
09中年あるある
波の音などを取り入れた穏やかなトラックをバックに、Ryoの“一人語り”で進む朗読曲。“もはや食い放題に心ときめかず”という初っ端に象徴されるように、中年ならではの悲しい“あるある”が連発。ラストの叫びは危機感に満ちている。
10Just for...
アコースティック・ギターの音色を中心に、クラップなども取り入れ素朴で心温まるサウンドを構築したポップ・チューン。独りでいいと思っていた男が大切な人と出会い、“君がそばにいるだけで他に何もいらない”と真っ直ぐな気持ちを告げる心温まるラヴ・ソングだ。
11親父のメール
タイトルどおり、“親父からのメール”をテーマにした感動的なミディアム・バラード。ピアノやストリングスを用いたサウンドをバックに、無骨なメールの文章と思い出の数々を綴った歌詞は、問答無用で胸の奥底に迫ってくる。歌詞を読むと気付く誤変換も楽しい。
12それぞれのライフ
シンプルなピアノのフレーズのループを中心に、ハートウォームなサウンドで進むポップ・チューン。タイトルどおり、歌われるのはそれぞれに生きる人生の応援歌。多く描かれるテーマが安っぽくならないのは、西馬込や五反田で生活する登場人物のリアルさゆえか。
13少年と花火
伸びやかでメロウなサビから幕を開けるミディアム・バラード。少年時代の夏の日に出会った君。一緒に花火を見ていたけれど……まるで一本の映画のような、悲しく切ないストーリーに胸が痛む。物語を邪魔しないシンプルなサウンドも見事。
14月と太陽
テレビ朝日系ドラマ『ダブルス〜二人の刑事』のエンディング・テーマに起用されたシングル。どこか焦燥感をあおるようなピアノのフレーズをトラックの中心に据えたシリアスなミディアム・アップだが、“月と太陽”となって生きていこうと歌う詞が胸に響く。
15嵐が去るまで
音数を少なめに設定し、メロディの魅力を前面に押し出したバラード。晴れ続ける空はないように、名もない嵐もいつかは去る。それを乗り越えたときは強い傘もさせるはず……感動的なメッセージは、ラストの合唱によってより直接的に聴き手の心に響いてくる。