ミニ・レビュー
日本でもすっかり人気が定着した英ボーイズ・グループが4作目でさらなる進化を遂げた。まず、ほとんどの曲を自分たちで手がけている。王道のラブ・ソングがありつつ、「フールズ・ゴールド」「ナイト・チェンジズ」などでは切なくビターな心模様、大人の味わいを漂わせていたりも。
ガイドコメント
2011年のデビューから3作連続で全米初登場1位を記録したグループとしてギネスにも認定、とどまるところを知らない“1D”の4枚目のアルバム。英米日をはじめ、世界的センセーションを巻き起こしている彼らの充実ぶりと興奮が詰まった力作だ。
収録曲
01STEAL MY GIRL
「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」に続きNTTドコモのCMソングに起用されたミディアム・チューン。世界中が狙うほどに魅力的な彼女を持つ男の心情を歌っているが、“彼女は僕のもの”とサラっと言い切る姿がクール。スケールの大きなメロディが沁みる。
02READY TO RUN
アコースティック・ギターのアルペジオを用いたイントロをはじめ、「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」路線といえるナンバー。ロックなサウンドと力強いメロディに乗せて、自由でいるために街を抜け出そうと高らかに宣言するポップ・チューンだ。
03WHERE DO BROKEN HEARTS GO
ハリー・スタイルズが制作に参加した爽快なアップ・チューン。スタジアム・ロック的なスケールの大きなサウンドに呼応してか、各メンバーのヴォーカルもワイルド仕様。去ってしまった彼女への思いを綴った歌詞とのギャップがユニーク。
0418
アコースティック・ギターを中心に据えた温かなサウンドに乗せて、18歳からともに歩んできた大切な存在への感謝と未来への決意を歌ったナンバー。ソロ・パートが多く配されており、個性豊かなそれぞれのヴォーカルの魅力がじっくりと味わえる。
05GIRL ALMIGHTY
身近にあるガラクタを叩いているかのようなガチャガチャとしたビートを軸に、多国籍なテイストを持ったサウンドを展開するアップ・チューン。セッション性の高いサウンドに煽られるように、勢いのあるヴォーカルでまくし立てる。
06FOOL'S GOLD
美貌という“偽りの輝き(=Fool's Gold)”にだまされた男の心情を歌ったミディアム・ナンバー。フォーク・ソング風の導入のもと、ひとりごちるように歌う導入から、自らの浅はかさを認めながらも“後悔はしていない”と言い切る姿はどこか微笑ましい。
07NIGHT CHANGES
夜は移り変わっても、僕たち二人は変えられない……メロディやメッセージ、サウンドともにシンプルな作りが徹底されたナンバー。ビートを主体とした音数の少ないアレンジになっているぶん、美しいコーラスワークが映える。
08NO CONTROL
ベースのリフとクラップによるオープニングからカラっとしたロック・サウンドを奏でるポップ・チューン。セクシーな言葉を多く用いながら、隣で眠る君の香りで“制御不能”に陥る男心を、潔いまでに高らかに宣言している。
09FIREPROOF
24時間限定で無料配信され、100万以上のダウンロードを記録したことでも話題を集めたナンバー。クリーンなギター・リフを中心にしたカントリー風の牧歌的なアレンジに乗せ、炎にも負けない関係を持った二人を歌った心温まるラヴ・ソングだ。
10SPACES
二人のあいだに横たわる“溝(=SPACE)”を歌った切なく苦しいバラード。静と動を繰り返すアレンジがドラマティックなメロディを際立て、エモーショナルなヴォーカルで“先にサヨナラを言うのは誰?”と繰り返すラストが胸に刺さる。
11STOCKHOLM SYNDROME
誘拐事件などの被害者が、長い時間の共有によって犯人に過度の同情や好意を抱く“ストックホルム症候群”をモチーフに、大切な人への純愛を綴った歌詞が印象的なナンバー。曲を通じて淡々とリズムを刻み続けるギターが効いたスタイリッシュなサウンドがクール。
12CLOUDS
“面倒なことはイヤ”と嘆く彼女に愛を説いたドラマティックなポップ・チューン。ブーピーなベースを効かせた導入から攻め気味のサウンドで、サイケなギターや分厚いコーラス、スケールの大きなメロディが一体となって押し寄せるラストのサビは圧巻。
13STEAL MY GIRL
“Big Payno”ことリアムがリミックスを手がけた「スティール・マイ・ガール」。サビのフレーズを巧みにサンプリングしながら、“プールパーティ・リミックス”の名にふさわしいラグジュアリーなサウンドに仕上げている。
14STEAL MY GIRL
NTTドコモのCMソングに起用され人気となったナンバーのアコースティック・ヴァージョン。印象的なピアノのリフはそのままに、歌の魅力がダイレクトに伝わるアレンジへと変更。ラストのフェイクの応酬に耳を奪われる。
15STORY OF MY LIFE
2014年6月にミラノのサン・シーロ・スタジアムで行なわれた公演、すなわち世界中で劇場公開されたライヴからの音源。8万人収容の巨大スタジアムを埋め尽くしたファンによる大合唱は感動的で、スケールの大きなメロディにさらなる輝きを与えている。