ミニ・レビュー
“GLAYは変わっちゃった”だなんて言う人にこそ聴いてほしい13枚目。もちろんバンドは変わっていくものだけど、それでも個人的にいちばん好きなアルバムだ。切なさ、清涼感、尖鋭性といった従来の魅力が健在な上、今ゆえの奥深さがあるのだから。ビートルズ『リボルバー』なジャケもナイス!★
ガイドコメント
2014年11月5日リリースの通算13枚目のアルバム。「DARK RIVER」「BLEEZE」「百花繚乱」「疾走れ!ミライ」などのシングルを含む、メンバーそれぞれが書き下ろしたバラエティに富んだ一枚となっている。亀田誠治が全曲プロデュース。
収録曲
01BLEEZE (Album Ver.)
記念すべき50枚目のシングル。“真夏の愛を抱きしめて〜”とはじまる冒頭のサビが表わすように、ワクワクするような夏の恋を歌ったサマー・チューン。軽快なギターのカッティングとスピード感のあるメロディを軸に、王道といえる展開で駆け抜ける。
02百花繚乱
“YAVAI!YAVAI!カナリYAVAI!”という強烈なサビが印象的な51枚目のシングル。そのサビはもちろん、現代社会への風刺を交えた攻撃的な言葉の数々をラップ風に歌い上げるなど、全体を通じて革新的なアプローチとなっている。
03Only Yesterday
ファンタジックなオープニングから、BOφWYを思わせる軽快なビートで突き進むどこか懐かしいロック・チューン。夏を迎え、昔の恋人を思い出す男の心情を歌ったノスタルジックな歌詞と明るめなメロディの対比が旨に響く。
04疾走れ!ミライ
テレビ東京系アニメ『ダイヤのA』オープニング・テーマとして書き下ろされた51枚目のシングル。青空の下、グラウンドでボールを追いかける球児が浮かぶような爽快感たっぷりのロック・チューンで、夢に向かって“疾走る”ことへのエールも心強い。
05祭りのあと
恋すれど泣き濡れて、もう一度逢いたくて……冒頭のワンフレーズからフォーキーな雰囲気が漂うミディアム・ナンバー。伸びやかなメロディを大事にしたシンプルなアレンジが潔く、子供の頃を思う物語もじんわりと心に染みてくる。
06浮気なKISS ME GIRL
ホーン・セクションを招き軽快なスカ・アレンジを施したナンバー。ドラムには高橋まことが参加していることもあってか、コーラスなどの細部に至るそこかしこにBOφWY的フレイヴァを漂わせるが、ただの真似事に終わらせずGLAYらしさを出しているのがさすが。
07妄想コレクター
爆発力のあるロック・サウンドで突き進むアップ・チューン。しかし、絶妙に配されたピアノによって、焦燥感や鬱屈とした雰囲気を演出。間奏で流されるニュース音声のとおり、少年犯罪をテーマにした言葉の数々が耳に突き刺さる。
08Hospital pm9
病院の待合室で無力に佇む親の心情をリアルに綴った歌詞が印象的なバラード。大切な家族を思う気持ちを託した美しいメロディを、TERUならではの表現力で具現化していくさまは見事のひと言。シンプルなアレンジも映える。
09DARK RIVER
NHKドラマ『激流〜私を憶えていますか?〜』主題歌となった48枚目のシングル。ストリングスを交えたミステリアスなサウンドはどこか歌謡曲的な雰囲気も。“やがて未来呑み込まれて”というTERUの咆哮に耳を奪われる。
10TILL KINGDOM COME
冒頭から登場するギター・リフで引っ張るロックンロール・ナンバー。ドラムには中村達也が参加し、JIROとともにうねるような強固なグルーヴを構築。その上で自由に、ワイルドに、楽しそうに歌い演奏する3人が映える。
11MUSIC LIFE
聖歌隊のようなファンタジックなコーラスから、ストレートな8ビートへと突入するロック・チューン。若きバンドが成功を夢見てもがき奮闘する姿を綴った歌詞が瑞々しく、まるで彼らの昔を見ているかのよう。テクニックに走らない直球アレンジも爽快。