ミニ・レビュー
自主レーベル立ち上げ後、第1弾となるフル・アルバム。前山田健一が作詞・作曲を手がけ“三十路男”の現実をテーマにしたアップ・チューン「三十路少年」、軽快なスカ・ビートを中心にしたメンバーのオリジナル曲「ゆ」、高橋 優のペンによるメッセージ・ナンバー「象」など多彩な楽曲を収録。
ガイドコメント
前作『JUKE BOX』以来約1年ぶり、2014年11月5日リリースのアルバム。「ココロ空モヨウ」から「オモイダマ」までのシングルやエイトレンジャー名義の「ER2」を含む、彼らにとっての“イズム”を凝縮し提唱した一枚。
収録曲
[Disc 1]
01EJ☆コースター
冒頭の“巻き舌シャウト”をはじめ、アレンジ面でもSMAP「SHAKE」を思わせるパーティ・チューン。“運命のムチャブリ”によってジェットコースターのように思いもよらない展開をみせる未来も、君と一緒なら楽しめると力強く歌い上げる。
02FUN FUN FUN FUN FUN FUN FUN FUN
RIP SLYMEが手がけたアップ・テンポなナンバーで、もちろん歌唱はラップが中心。“FUN”が8つも並んだタイトルからもわかるとおり、“楽しんだモン勝ち”の精神をカラッと叩きつける。少しトリッキーに響くサビのメロディも印象的。
03三十路少年
作詞曲を手がけた前山田健一ならではのジェットコースター的な展開がぎっしりとつまったユニークなナンバー。三十路になりつつも少年の気持ちをもった男の悲哀を歌うが、“うちら おっさんやん!”などアイドルにあるまじきフレーズを歌いきる姿はさすが。
04キング オブ 男!
映画『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』主題歌となった27枚目のシングル。冒頭の和太鼓のフレーズをはじめ、まさに“男”っぽい骨太なサウンドで進むロック・チューン。若旦那による、夢に向かってガムシャラに生きるメッセージがグッとくる。
05Masterpiece
冒頭のシンセをはじめ、バキバキのエレクトロ・サウンドで攻めるアップ・チューン。K-POPを彷彿させるスタイリッシュかつワイルドなアレンジが肝で、二人で新たなページを作り出そうと歌うキャッチーなサビの爽快感は格別。
06ココロ空モヨウ
錦戸亮も出演したフジテレビ系ドラマ『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』主題歌の25枚目のシングル。クラッシャー木村ストリングスによる弦アレンジが映える爽やかなポップ・チューンで、心に持つ余裕の大切さを説くメッセージが胸に染みる。
07ひびき
26枚目のシングルで、TBS系ドラマ『Dr.DMAT』主題歌。ピアノを中心に、ドラマティックなサウンドを作り上げた王道的ミディアム・バラードで、二人で手をつないで同じ場所を目指せたらいいな、と歌うサビが感動的。
08ゆ
渋谷すばるが作詞を、安田章大が作曲を手がけたスカコア・テイストのナンバー。ところどころに挟まれる“ゆ!”の掛け声が印象的だが、その意味は歌詞の中では明らかにされず。今はまだ夢の途中、と自分たちのこれからを歌ったかのようなメッセージが力強い。
09ER2
映画『エイトレンジャー2』の主題歌として、主役である正義のヒーロー=エイトレンジャー名義でリリースされたナンバー。前作と同じくデジタルなテイストを取り入れた攻撃的なロック・チューンで、ハードボイルドな詞世界も新鮮。
10おえかき
子供の合唱隊とともに“おえかき”をテーマにした物語を歌った1分半ほどの小品。素朴なおもちゃ箱的サウンドも含めて教育番組を思わせる遊び心満載の楽曲ながら、無邪気な歌詞に込められたメッセージには大人もハッとさせられるはず。
11ドヤ顔人生
長瀬智也が作詞曲/編曲からギター演奏でも参加したナンバー。ジャキジャキと刻むギターにブラスが映えるファンキーなロック・チューンで、“大人になる”ことに疑問を掲げ“ドヤ顔人生”を歩む姿にしびれる。渋谷すばるのブルースハープもいいアクセント。
12象
高橋優が作詞曲から編曲にまで参加、高橋自らがかきならすアコギをはじめ熱量の高いサウンドで突き進むアップ・テンポのロック・チューン。サーカスの象をモチーフに、その足で一歩を踏み出せと熱いメッセージを歌い上げる応援ソングだ。
13RAGE
「TBS Football 2014夏」のテーマ曲で、パーカッションやホイッスルなどブラジル的な要素を取り入れた熱いロック・チューン。“カナリア”“フォルツァ”など歌詞にもフットボール感を滲ませつつ、闘争心を煽るメッセージを力強く歌う。
14オモイダマ
2014年のテレビ朝日系『熱闘甲子園』テーマ・ソングで、期間限定で阪神甲子園駅の発車メロディにもなった28枚目のシングル。球児だけではなく、夢に向かって頑張る人すべての心に響く感動的なミディアム・バラードだ。ブラスバンド的なアレンジも見事。
[Disc 2]
01アイスクリーム
安田章大と錦戸亮によるナンバーで、作詞曲も二人の手によるもの。タイトルからもにじみ出るようなスウィートなラヴ・ストーリーを描いた爽やかなポップ・チューン。中盤に高速ラップ・パートを挟むものの、王道アイドル・ソングな展開が楽しい。
02『愛 Love You』
KINGこと村上信五のソロ・ナンバーは、ライヴ感満載のヒップホップ・チューン。「I love Rock n roll」風のコーラスをバックにしたサビは迫力満点ながら、嵐「A・RA・SHI」を思わせるフロウなど笑いをちりばめているのはさすが。
03アダムとイヴ
美しいアコースティック・ギターのアルペジオで幕を開ける横山裕&大倉忠義のナンバー。儚げなトラックに乗せて歌われるのは、キケンな恋の物語。色っぽい言葉が並んだ歌詞を歌い上げる、吐息まじりのセクシーな歌唱が印象的だ。
04道
渋谷すばると丸山隆平のナンバーは、ピアノやストリングスを効果的に用いたドラマティックなバラード。アホな仲間、そして大切な君への感謝を綴った歌詞は二人の共作。歌唱力に定評のある渋谷はもちろん、まっすぐな丸山の歌声の魅力を堪能できる。