ミニ・レビュー
女性アーティストのヒット曲をカヴァーするシリーズ『ヴォーカリスト』の第6弾。山口百恵、薬師丸ひろ子、松田聖子など多彩な選曲で、じっくりと歌っている。女性アーティストの楽曲をカヴァーして似合う男性シンガーはそうはいないだろうけれど、彼の優しい声はこの企画にぴったりだ。
ガイドコメント
累計600万枚を超える徳永英明の人気シリーズ『VOCALIST』の第6弾。山口百恵「さよならの向う側」、薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇”より」、柏原芳恵「春なのに」、松田聖子「風立ちぬ」など、J-POPの珠玉の名曲を全13曲収録。
収録曲
01さよならの向う側
80年にリリースされた山口百恵の31枚目のシングルのカヴァー。ストリングスを取り入れたハートウォーミングなサウンドに乗せて、別れを告げる歌詞の潔さと前向きな姿勢に感動する。流麗なメロディを少しハスキーなヴォーカルで歌うさまが、切なさを高める。
02Woman “Wの悲劇”より
映画『Wの悲劇』の主題歌で、主演女優の薬師丸ひろ子の通算4枚目のシングルとして84年に発表された楽曲のカヴァー。物悲しいメロディと“友だちでもかまわない”とすがるような歌詞を、しっとりとした歌声で物憂げに表現している。
03サンキュ.
阪神・淡路大震災のチャリティ・シングルとして95年にリリースされたDREAMS COME TRUEの17枚目のシングルのカヴァー。原曲の溌剌とした歌声とはうってかわって、しっとりとした男性ヴォーカルでセンチメンタル度数高めに仕上がっている。
04寒い夜だから…
93年発表のtrfの5作目のシングルのカヴァー。アッパーなヴォーカルではじまる原曲とは違い、切なさを湛えた穏やかな歌声でスタートするミディアム・バラードに仕上がっている。きらびやかなストリングスの音色が楽曲を盛り上げる。
05桜色舞うころ
中島美嘉が2005年に発表した、川江美奈子作詞作曲による楽曲のカヴァー。エモーショナルな歌い方の原曲とは異なり、リラックスした程よく力の抜けたヴォーカルに癒される。美しい歌詞がスッと心に入ってくるバラードだ。
06風立ちぬ
81年に発表された松本隆作詞、大瀧詠一作曲による松田聖子の名曲のカヴァー。フルートをはじめとする、控えめながら華麗なアコースティック・サウンドでアレンジされた、穏やかな音色が心地よい。彩り豊かな歌詞を紡ぐ少しかれた歌声が特長。
07スローモーション
82年にリリースされた中森明菜の1stシングルのカヴァー。ストリングスが奏でるエモーショナルな旋律が、哀愁とセンチメンタルを爆発させる。シリアスなサウンドと真摯なヴォーカルが絶妙にマッチしている。
08やさしい悪魔
1977年にリリースされたキャンディーズの名曲を、ゴージャスなシャンソン/ジャズ風にアレンジしてカヴァー。甘い誘惑に引き寄せらるさまを描いた歌詞と徳永のウィスパー・ヴォイスにゾクゾクさせられる。きらびやかさに一役買っている女性コーラスも◎。
09想い出のスクリーン
後悔の念を抱いている女性の気持ちを綴った、1979年にリリースされた八神純子の6枚目のシングルのカヴァー。音数の少ないアコースティック・サウンドに乗せた、徳永の美しいシルキー・ヴォイスが冴えたミディアム・チューンだ。
10かもめが翔んだ日
エコーがかかった哀愁漂うおぼろげなイントロではじまる、1978年発表の渡辺真知子の2ndシングルのカヴァー。ホーン隊のビシッとした演奏と悲しい気持ちを綴った歌詞のか弱さのギャップがコントラストとなって、楽曲の魅力になっている。
11告白
別々の道を歩む過去の恋人に告白されるというストーリー性のある歌詞が話題となった、竹内まりやが90年にリリースしたシングルのカヴァー。切なさを湛えた徳永のシルキー・ヴォイスがよりいっそう詞世界を盛り上げる。
12春なのに
中島みゆきが作詞作曲を手がけた、柏原芳恵の1983年発表のヒット・シングルのカヴァー。卒業を期に別れることとなってしまった女性の悲しい気持ちを綴った失恋ソングを、真摯なヴォーカルで見事に歌い上げている。
13ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ
松任谷由実が作詞作曲、原田知世が83年に発表したヒット・ナンバーのカヴァー。優しいメロディと徳永の温もりあふれるヴォーカルが絶妙にマッチしている。大胆でありながら繊細な歌唱を心ゆくまで堪能できる。