ミニ・レビュー
シングル「結晶星」「フルドライブ」「生きてゆく」「シルエット」を含むメジャー・セカンド・アルバム。“高速4つ打ちビート×エッジの利いたギター・リフ×キャッチ―な歌メロ”というこのバンドの特性はさらに強化。メロウかつ抒情的なミディアム・ナンバーも加わるなど、音楽の幅も大きく広げている。
ガイドコメント
2015年1月21日リリースの2ndアルバム。「結晶星」「フルドライブ」「生きてゆく」のほか人気アニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニング・テーマとなった「シルエット」といったシングルを含む、全12曲収録の充実作だ。
収録曲
01タイムアウト
焦燥感を煽るギター・リフで幕を開けるアッパーなロック・チューン。“だいたい24時間だなんて少なすぎるよな”とイライラしたように吐きすて、どこかコミカルなコーラスと野性味あふれるバンド・アンサンブルで突き進む攻撃力の高いナンバーだ。
02LOL
“laugh out loud(=声を出して笑う)”の略で、ネットスラングとして海外を中心に使われる単語をタイトルに冠したナンバー。ネットで横行する“叩き”や“妬み”を痛烈に皮肉りつつ、雑音は気にせず突き進めと鼓舞するメッセージが心強い。
03ターミナル
ジャキジャキと刻むカッティングでスタートするギター・ロック・チューン。諦めずに挑戦していくための応援歌だが、“急行に乗ればいいってわけじゃない”“切符は片道分”など電車がモチーフの歌詞がユニーク。谷口の力強い歌唱も胸に響く。
04結晶星
インディ時代の楽曲を再録して発表されたメジャーでの2ndシングル。カラフルなサウンドに小気味いいギターのカッティング、4つ打ちのリズムが融合したロック・チューンで、言葉を思いっきり詰め込んだ早口なヴォーカルが楽しい。
05クラクション
けたたましいクラクションから、暴力的なギター・リフへとなだれ込むディスコ・ロック・チューン。“アクションを起こせよ”と歌うコール&レスポンス風なサビや、メンバーそれぞれに見せ場を作る短いソロ回しなど、ライヴ仕様なアレンジがたまらない。
06フルドライブ
冒頭のギターのリフを中心に、攻撃力の高いディスコ・ロック風サウンドを奏でる3rdシングル。韻を踏みまくった歌詞でラップのようにまくしたてる歌唱が新鮮だが、ただの言葉遊びに終わることなく、全速力で駆け抜けていけという強いメッセージが宿っている。
07生きてゆく
夏の終わりを思わせるセンチメンタルなサウンドが胸に刺さる4枚目のシングル。ミディアム・アップのテンポが映える美しいメロディで紡がれるのは、後悔を抱えながら生きる主人公を描いた切ない恋物語。谷口のソングライターとしての魅力が詰まっている。
08スコールスコール
ディレイをたっぷり効かせたギター・リフが全編にわたって印象的に響きわたるロック・チューン。雨をきっかけにフラッシュバックする、幸せに過ごしていた君との日々にもがく姿を歌詞が見事。音の洪水で思い出ごと流していくようなアレンジなハマっている。
09愛にまみれて
エフェクトを咬ませたギターでセンチメンタルな音世界を構築したポップ・ロック・ナンバー。夕暮れのベンチをモチーフに“孤独”をリアルに描き出し、“君”の愛の温かさを際立たせる歌詞に心を奪われる。エモーショナルなラストのヴォーカルも胸に染みる。
10シルエット
5枚目のシングルはテレビ東京系アニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のオープニング・テーマ。超王道といえるギター・ロック・サウンドを奏でるキラー・チューンだが、メロディの美しさはやはりさすが。勢いだけに任せないバンドの底力を感じさせる。
11スノーグローブ
アッパーなリズムと美しいギターのアンサンブルでまくし立てるKANA-BOON流ウィンター・ラヴ・ソング。メロディの魅力を損なわい言葉を乗せつつ、儚く美しい恋物語を成立させるストーリーテラーぶりは圧巻。変拍子のブリッジという変化球も楽しい。
12パレード
僕らはこれからどこへゆくだろう……焦りや不安を抱えつつ、まっすぐに歩いていこうと優しく語り掛けるミディアム・アップの壮大なナンバー。伸びやかなメロディはシンプルながら、メリハリをつけたアレンジによってその輝きを最大限に演出している。