[Disc 1]〈meldac side〉
011985
自主制作で発表されたナンバー。“1985”という語感のいいリフレインとキャッチーなメロに乗せて歌われるのは、日本という国や戦争への痛烈な批判。ラストに待ち受ける、“僕たちを縛りつけて〜”というヒロトの搾り出すようなシャウトが刺さる。
02人にやさしく
87年に自主制作で発表され、時代を超えてさまざまなアーティストによるカヴァーやCMソングなどで親しまれるロック・チューン。ブルーハーツ流応援歌といえるナンバーで、“ガンバレ!”という究極にシンプルでド直球なシャウトに心を揺さぶられる。
03リンダ リンダ
87年の記念すべきデビュー・シングルにして、彼らの代名詞ともいえるロックンロール・ナンバー。“ドブネズミみたいに美しくなりたい”というパンチラインはあまりにも強烈。耳に残る“リンダリンダ〜”は歌詞には記されていない。
04君のため
ギターのアルペジオを中心としたエモーショナルなアレンジが胸を打つバラード。“好きです 誰よりも 何よりも〜”というまっすぐ過ぎる語りも、ヒロトの手にかかるとなぜかとびっきりロマンティックなものに。ぶっきらぼうなヴォーカルもいい味。
05終わらない歌
奥田民生らしい、いい意味で力の抜けたロックンロールに生まれ変わった「終わらない歌」。特別な仕掛けをせずとも見事に“民生っぽく”仕上げているあたりはさすがで、“すべてのクズ共”たちへのメッセージも絶妙なユルさで伝わる。
06世界のまん中
ダブルのヴォーカルが新鮮な印象を残す、疾走感のあるパンク・チューン。うまくいかない時や死にたい時もあるけれど、“生きるという事に命をかけてみたい”という強固な意志とメッセージを高らかに歌い上げる。唐突なカットアウトによるラストが痛快。
07NO NO NO
“NO NO NO……”というサビのフレーズが耳に残るキラー・チューン。“戦闘機が買えるぐらいのはした金ならいらない”など、ヒロトならではといえる言い回しをちりばめつつ、悲壮な空気をも明るく笑い飛ばすポジティヴな姿勢を見せ付ける。
08少年の詩
大人たちへの不信感をはじめ、タイトルのとおり少年の目線で世の中への想いを綴った歌詞を、“少年的”なヒロトのヴォーカルで歌うパンク・ナンバー。“そしてナイフを持って立ってた”というリフレインは不思議な力と鮮烈な映像を頭に残す。
09未来は僕等の手の中
2007年にTVアニメ『逆境無頼カイジ』の主題歌としてカヴァーされたことでも話題を集めた。“くだらない世の中”への反骨精神を前面に押し出して綴られたまさにパンク・ナンバーで、“未来は僕等の手の中!!”というフレーズの痛快さは抜群。
10星をください
クリーンなギターの音色が新鮮に響くアップ・テンポのナンバー。都会ではなかなか見ることができない“星”をテーマにした楽曲だが、そこに浮かぶのは“希望”や“未来”といったもの。ギター同様、ややキレイめに歌うヒロトのヴォーカルが胸に響く。
11ロクデナシ
劣等生でじゅうぶんだ、はみだし者でかまわない。“全てのロクデナシ”に向けて、ありのままの姿で生きていくことの大切さやそのための勇気を、シンプルな言葉で歌ったロック・チューン。中盤のスカ/レゲエ調のブリッジがユニーク。
12キスしてほしい (トゥー・トゥー・トゥー)
87年に2ndシングルとして発表、当時のレナウン「I.N.EXPRESS」をはじめ、時代を超えてさまざまなCMソングとして使用されているナンバー。ロマンティックは言葉をちりばめた疾走感のあるラヴ・ソングで、ファルセットのコーラスも印象的。
13ブルーハーツのテーマ
デビュー後にもかかわらず、自主レーベルからの発表となったロック・チューン。後半にはバンド名の綴りをシャウトするなど、まさにタイトルどおり“ブルーハーツのテーマ”といえる仕上がり。“あきらめるなんて死ぬまでない”というシンプルかつ強い意志が耳に残る。
14TRAIN-TRAIN
88年に3rdシングルとして発表、TVドラマ『はいすくーる落書』主題歌に起用されるなど、ヒットを記録した名曲。美しいピアノやストリングスを取り入れたサウンドが新鮮なアップ・テンポのポップ・チューンで、サビのフレーズはあまりにも有名。
15僕の右手
映画『リンダリンダリンダ』のなかでも取り上げられ話題を集めたナンバー。“僕の右手を知りませんか?”というインパクトのあるフレーズを中心に、夢へと向かう強い意志を歌う。映画のワンシーンのような詞的な表現力は圧巻。
16ラブレター
89年に4枚目のシングルとして発表されたスウィートなバラード。ファルセットによるコーラスとギターのアルペジオ、そしてストリングスを印象的に配したドリーミーなサウンドに乗せて、切ない恋心をじんわりと歌い上げる。
17電光石火
タイトルに違わぬスピード感を持ったロックンロール・ナンバー。“さみしい夜”や“切ない朝”を超えて、“電光石火”で走っていこうという前向きな姿勢を綴っており、抑え切れぬ思いを表わしたような足を踏み鳴らす音が印象的。
18青空
the LOW-ATUSとは、細美武士(the HIATUS)とTOSHI-LOW(BRAHMAN)によるユニット。アコギによる二人の弾き語りで、時代を超えて愛される名曲を真正面からカヴァー。小細工なしの勝負が奏功。前後の会話もライヴ感がある。
[Disc 2]〈WARNER MUSIC side〉
01情熱の薔薇
レーベル移籍第1弾となった6枚目のシングルにして、TBS系ドラマ『はいすくーる落書2』主題歌。ストレートなパンク・ナンバーながら、サビがラストに登場する1回のみ、というアレンジやスティールパンによるアクセントが新鮮に響く。
02イメージ
ピアノを取り入れ、ゆったりとしたリズムとともにスタジアム・ロックばりのスケールで奏でるミディアム・ナンバー。世の中や生活への不満をぶちまけながら、“中身が無くてもイメージがあればいいよ”というメッセージを言い切る姿は潔い。
03首つり台から
ショッキングなタイトルが目を惹く7枚目のシングル。軽快なギターのカッティングに乗せて、“確かなものは欲望だけさ”とサラッと言ってのける。中盤に配されたベース・ソロとそれにかぶせるようなニヒルな笑い声がなんとも魅力的。
04あの娘にタッチ
ピアノや南国風のコーラスを取り入れたリゾート感満点のサウンドが楽しいナンバー。好きで好きでたまらない“あの娘”への想いをただただ真っ直ぐに綴っているが、唐突に出現する“エジプトのピラミッド”などのミスマッチなイメージがユニーク。
05皆殺しのメロディ
アイリッシュ・パンク的なアプローチで一気に駆け抜ける2分強の高速チューン。“我々人類は バカ”“正義はあったのか バカ”と、ストレートすぎる言葉を並べつつ、そこに込められたメッセージはさまざまに解釈できる、というヒロトならではの言い回しが炸裂。
06TOO MUCH PAIN
アルバム『HIGH KICKS』に収録、リカットもされた名曲をカヴァーしたのは、峯田一人体制での銀杏BOYZ。センチメンタルな雰囲気に満ちたアレンジやめいっぱいエモーショナルな歌唱は、メンバー脱退という銀杏BOYZのストーリーにも重なるよう。
07夢
10枚目のシングルで、2002年放送のフジテレビ系ドラマ『人にやさしく』主題歌に起用されたことでも話題を呼んだ。疾走感のあるロック・チューンで、“夢”への想いやその大切さを歌う。“あれもしたい これもしたい〜”のフレーズは強烈なインパクト。
08すてごま
冒頭の大砲のような音色や歌詞の内容から、PKO問題への想いによって制作されたといわれるパンク・チューン。“君 ちょっと行ってくれないか すてごまになってくれないか”という鮮烈なフレーズを歌いきる姿は痛快そのもの。
09旅人
アルバム『STICK OUT』からのリカットとして発表された11thシングル。“プルトニウムの風に Oh 吹かれていこう”という冒頭のフレーズはなによりも強烈で、推進力抜群のロックンロール的アレンジに乗せて、“旅人”の背中を押すように力強く歌う。
10台風
「すてごま」との両A面シングルとして発表されたロック・チューン。タイトル通り“台風”を歌ったシンプルなナンセンスにも思える言葉のなか、“情報やデマが飛び交う〜”とサラッと核心に触れる歌詞が秀逸。トリッキーなリズム・アレンジも新鮮だ。
11月の爆撃機
切り裂くようなギターとドコドコ叩くドラムのタム回しによるイントロが印象的。爆撃機のコクピットのなかにいる男と、町からその爆撃機を見る人々。ふたつの視点を交錯させながら進む物語は、自分の中に強く持つべき光の大切さを歌っているよう。
121000のバイオリン
“ヒマラヤほどの消しゴムひとつ”という冒頭のフレーズに心を掴まれる12枚目のシングル。爽快感のあるバンド・サウンドとシンプルなメロディに乗せて紡がれる、ファンタジーと現実が入り混じったような不思議な物語がたまらなく魅力的。
131001のバイオリン
金子飛鳥が編曲を手がけた「1000のバイオリン」のオーケストラ・ヴァージョン。バンドの音を一切廃し、オーケストラと歌だけで成立しており、朴訥としたヒロトのヴォーカルと優雅なサウンドの融合が見事。強烈な魅力を放つ歌詞とメロディを最大限に引き立てる。
14手紙
女性シンガー・ソングライターとして活躍するアン・サリーは、ピアノとアコギを中心としたシンプルなアレンジで勝負。マーシーならではといえる詩的な表現は彼女の歌声によってさらに瑞々しさを増し、物語の素朴な世界感とも絶妙にマッチしている。
15パーティー
アルバム『DUG OUT』からのリカットで93年に発表された13枚目のシングル。5分半弱と彼らにとっては長尺といえるミディアム・チューンで、幾重にも重ねたコーラスやノイズのようなギターが押し寄せるラストなど、実験的なアプローチも見せている。
16夕暮れ
ディレイを効かせたイントロをはじめ、爽やかなサウンドに引き込まれるグッドモーニングアメリカによるカヴァー。完全に自分たちの手の内に入れて蘇らせており、これぞテン年代ともいえるアレンジに。一方で、さらなる魅力を発揮する原曲の強さをあらためて感じさせる。
17歩く花
甲本ヒロトが作詞曲を手がけ、ザ・ヒューストンズのメンバーによって録音された楽曲。バンジョーやスライドギターを取り入れたハートウォームなサウンドが特長で、どこかのんびりとした雰囲気が絶妙な心地よさを生み出している。
18もどっておくれよ
真島昌利が詞曲のほかヴォーカルも担当、金子飛鳥ストリングスも参加した壮大なサウンドで綴るバラード。大切な人との別れを迎えた切ない心模様を綴っており、マーシーならではといえる詞的な表現ももちろん健在。ぶっきらぼうな歌唱がかえって胸に響く。