ミニ・レビュー
シングル「サクラあっぱれーしょん」「Dear☆Stageへようこそ〓」「ちゅるりちゅるりら」「でんぱーりーナイト」を含むサード・アルバム。ストレート&ポジティブなギター・ロック「ブランニューワールド」、ノスタルジックなバラード・ナンバー「イロドリセカイ」など、新機軸ともいえる楽曲も充実。
ガイドコメント
2015年2月18日リリースの3rdアルバム。「サクラあっぱれーしょん」「Dear☆Stageヘようこそ」「ちゅるりちゅるりら」「でんぱーりーナイト」といったシングルを含む、急成長した彼女らの1年が詰め込まれた一枚。
収録曲
01でんぱな世界〜It's a dempa world〜
3rdアルバム『WWDD』のオープニングを飾る1分弱ほどのインストゥルメンタル。ファミコン時代のロールプレイングゲームのBGMのような、勇壮かつちょっぴりチープな音色がユニーク。これから旅立つ大冒険への期待がふくらむ。
02でんぱーりーナイト
玉屋2060%が手がけた12枚目のシングル。歌詞にも登場するポルカの雰囲気をアクセントに、ファンタジー要素たっぷり詰め込んだ壮大なアップ・チューン。いくつもの楽曲をまとめ上げたような自由奔放なアレンジも、彼女たちならでは。
03ダンス ダンス ダンス
ミドル〜アップ・テンポの4つ打ちで進むダンス・ナンバー。バンド・サウンドを中心にしつつ、装飾や歌声へのエフェクトなどエレクトロな部分ともうまく融合。スムーズに気持ちよく踊れるよう、個性を少し控えめにするヴォーカルへの気配りも見事。
04NEO JAPONISM
NAOTO(ORANGE RANGE)の手によるアップ・チューン。タイトルどおり和な雰囲気を感じさせるメロディラインながら、サウンドはバッキバキの打ち込み。昔話を取り入れた歌詞もユニークで、まさに“ネオジャポニズム”な世界を作り出している。
05FD2〜レゾンデートル大冒険〜
3rdシングル「Future Diver」の続編といえるナンバー。もちろん作詞・畑亜貴×作曲・小池雅也のコンビによるもの。オープニングからゲームミュージック風のアレンジ全開で、“これからさ まだ終わらんよ”のサビのフレーズが胸アツ。
06ちゅるりちゅるりら
11枚目は「日清カップヌードル」CMソングに起用された前山田健一制作のナンバー。“和”を意識しつつ情報量多めで超高速BPMという、でんぱ組ならではの仕上がり。“あさきゆめみし”“色はにほえど”といったフレーズの使い方は天才的といえるほど。
07まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♥
清竜人が作詞作曲を、MOSAIC.WAV編曲を手がけたファンタジックでキュートなアップ・チューン。歌詞のほぼすべての語尾にハートが記してあるように、思わずドキドキしてしまうようなヴォーカルが最大の魅力。かわいさ全開だ。
08Dear☆Stageへようこそ♥
10枚目のシングルは、提供者の清竜人自身も登場する2分にもおよぶ導入に驚かされるミュージカル風のナンバー。彼女たちの原点といえる“ディアステージ”にサラリーマンが訪れる、というストーリーのパーティ・チューンで、無条件に元気をもらえる。
09バリ3共和国
世界に向けて“でんぱ”を発信していく、という強い意志が込められたアップ・テンポなエレクトロ・チューン。カラフルなサウンドに心が踊るが、彼女たちの芯の強さを表わしたようなハードなボトムが印象的。曲名の読みは“バリサンリパブリック”。
10ファンシーほっぺ♥ウ・フ・フ
かせきさいだぁが作詞を、カジヒデキが作曲を手がけたナンバー。軽快なギターのカッティングを軸に、キュートな部分を強めに出しつつファンタジックに仕上げたサウンドがオシャレ。歌詞も含め、とにかくカラフルな世界に自然と顔がほころんでしまう。
11檸檬色
4つ打ちのビートを下敷きに爽やかなサウンドで突き進む、スタイリッシュにまとまったある意味では“らしくない”ナンバー。キュンキュンするような恋物語だが、“大人と子供の間”だからこそ垣間見える表情を見事に描き出している。
12ブランニューワールド
劇場公開もされたでんぱ組.inc主演のドラマ『白魔女学園』主題歌。松隈ケンタの手によるドラマティックなロック・チューンで、疾走感あるサウンドは光を求めてもがく姿にピッタリ。サビを含めてソロ・パートが多めなのも新鮮だ。
13イロドリセカイ
幸せな結末が誰にも訪れるわけじゃない……しっかりと理想と現実を理解しつつ、それでも希望を持って生きていく姿を歌った感動的なミディアム・バラード。過度にドラマティックなサウンドにはせず、ドリーミーながら落ち着いたアレンジも歌詞と呼応しているよう。
14サクラあっぱれーしょん
玉屋2060%が手がけた9枚目のシングル。4つ打ちのリズム、オリエンタルなサウンドと歌詞、個性に満ちたヴォーカルやコール&レスポンスなど、“世界へ向けた日本のアイドル・カルチャー”の象徴ともいえる内容。まさかの転調をみせる大サビへの展開も見事。