ガイドコメント
前作『YANKEE』から1年半ぶりの3rdアルバム。エレクトロ・サウンドを取り入れたシングル「アンビリーバーズ」をはじめ、新たな“米津ワールド”の幕開けを告げる一枚になっている。
収録曲
01アンビリーバーズ
ミズノ「ウエーブエニグマ 5」のCMソングに起用された4thシングル。4つ打ちを基調とした生命感に満ちあふれたビートとサウンドに乗せて、残酷な結末を信じることなく旅を続ける“アンビリーバーズ”の姿を歌う。
02フローライト
イントロの軽快なギター・カッティングをはじめ、キレのいいリズムで進むスタイリッシュなナンバー。タイトルは“蛍石”という和名を持つ鉱石で、蛍光現象という特性をもつこの石を通じて、大切な君へのまっすぐな思いを綴る。
03再上映
トリッキーなリズム・パターンが耳を引くミディアム・アップ。メロディも不思議なリズムの組み合わせを際立たせるような仕掛けが施されているため、ロングトーンを中心としたサビでの開放感は格別。劇場街を舞台にした物語も鮮烈。
04Flowerwall
ニコン「D5500」のCMソングに起用された3rdシングル。互いに欠けた部分も持ち合った大切な人との運命的な出会い。示唆にとんだ言葉で描いた二人の前に立つ“花の壁”についての不思議な物語を、ファンタジックなサウンドで彩っている。
05あたしはゆうれい
リズムマシンで構成したようなシンプルなリズムに子供の声をサンプリングした、不思議な質感のサウンドを持つポップ・チューン。ゆうれいの恋を描いた歌詞は童話にも似た軽やかさを放っており、ひたすらにポップなメロディも楽しい。
06ウィルオウィスプ
行進曲のようなスネアのリズムや“犬も猫も鶏も引き連れ街を抜け出したんだ”といった歌詞など、『ブレーメンの音楽隊』を思わせる仕掛けが施されたミディアム・ナンバー。やや曇り気味なサウンドだが、光に向かって進む姿を歌い希望に満ちている。
07Undercover
無骨なリズムを中心に、コーラスやブーピーなエレクトロ、美しいギターを重ねたサウンドスケープが不穏な空気を醸し出すロック・チューン。どうあがいても逃げられない現実を受け止めながら、“ラッキーなヒットでいい”と言いきる姿が頼もしい。
08Neon Sign
ギターとベースのユニゾンによるハードなリフで幕を開けるロック・チューン。かつては手をとり笑いあって日々を過ごした友人の存在。変わってしまった二人が別々の道を歩むことを決める姿をポップに描いているが、ささくれだった想いが節々ににじむ。
09メトロノーム
ピアノやストリングスをフィーチャーしたドラマティックなサウンドが胸に響くミディアム・バラード。次第にずれていくふたつのメトロノームをモチーフに、すれ違っていく二人の姿を、これ以上ないほど美しいメロディに乗せて歌い上げる。
10雨の街路に夜光蟲
単音のギターによるリフで幕を開けるアップ・テンポのポップ・チューン。“誰も知らない約束”を交わしながら生きてきた大切な人との日々、そしてそこから先の未来を歌う。隙間を意図的に配したアレンジメントの妙が映える。
11シンデレラグレイ
軽快なギター・カッティングとは裏腹に、うめき声のようなコーラスワークによる不穏な空気を掻き立てるイントロが印象的なナンバー。期待や希望を持つがゆえに傷ついてしまう女性の姿を、胸が痛くなるような描写を交えながら綴りあげている。
12ミラージュソング
タイトルどおりの幻想的な導入から一転、弾むビートと明るさに満ちたメロディへとなだれ込むポップ・チューン。近づけば近づくほどに増えていく知らない君。蜃気楼のような現実に苛まれつつ、前を向いて生きていく姿を言葉数の多いヴォーカルで描く。
13ホープランド
ちょうどいい“憎める敵”を探し、それを笑いあうような穢れた世界で息を殺して生きる君に、温かな希望を与える米津玄師流応援歌。カラフルかつ力強いサウンド、そして美しくもひねりの利いたメロディなど、彼ならではの魅力がぎっしりとつまっている。
14Blue Jasmine
アコースティック・ギターやオルガンをフィーチャーし、温かくも力強いサウンドを作り上げたポップ・チューン。二人であれば生きていけると大切な人に向けて大事な想いを伝えるラヴ・ソングで、希望だけが満ちたサウンドやメロディにしないセンスが光る。