ミニ・レビュー
“4人で奏でる”というテーマが示すとおり、メンバー4人のコーラスを活かした7枚目のアルバム。タイトル曲「QUARTETTO」、シングル「Touch」などのEDM系ダンス・チューン、ジャズのテイストを取り入れたヒップホップ系ナンバー「NEWSKOOL」などカラフルなサウンドメイクも魅力的。
ガイドコメント
2016年3月9日リリースの7thアルバム。“4人で奏でる”をテーマに制作された一枚。フジテレビ系ドラマ『傘をもたない蟻たちは』主題歌「ヒカリノシズク」やニッセンのタイアップ・ソング「Touch」などを収録している。
収録曲
01Theme of “QUARTETTO”
7thアルバム『QUARTETTO』のオープニングを飾る1分ほどのイントロダクション。ストンプによるリズムに、メンバーの声をサンプリング。さらにそこからアルバム収録各曲の断片を切り取ってひとつの作品に。短いながらもさまざまな試みが詰め込まれている。
02QUARTETTO
アルバムのタイトル曲は、2分半ほどと短尺ながら熱いメッセージが込められたクールかつアッパーなダンス・ナンバー。鼓舞するような言葉を叩きつけながら、不意にひとりずつ囁く“QUARTETTO”のフレーズにドキっとさせられる。
03ANTHEM
「FIFAクラブワールドカップジャパン2015」のオフィシャル・ソングで、サポーターの声援のような導入や歓声など、スタジアムを思わせる演出を取り込んだアップ・チューン。頂へ向かって突き進んでいく姿勢に胸が熱くなる。
04シリウス
ド派手なサウンドスケープにどこか儚げなメロディを乗せ、ドラマティックな展開を生み出したアップ・テンポのポップ・チューン。シンガロングな“Oh oh oh...”など高揚感を煽るフレーズが満載だが、歌われるのは叶わぬ恋の切ない物語。
05Touch
カラフルかつ柔らかな手触りのトラックが心地よいポップ・チューン。“不思議だね 寒くない まさか恋の仕業?”という歌い出しから、ロマンティックなモード全開。アッパーなテイストながら、ファルセットを交えたサビのメロディの美しさも際立つ。
06NEWSKOOL
ソウルフルなトラックがオシャレなヒップホップ・ナンバー。4人の個性がよく出たラップが楽しい。“NEWS COOL”という言葉遊びやオールドスクールの名曲、シュガーヒル・ギャング「ラッパーズ・ディライト」のフレーズを取り入れるなど、仕掛けも随所に。
07四銃士
DVDシングルとして発表されたナンバー。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を原曲にした楽曲で、指揮/総編曲に西本智実を迎えたことでも話題に。荘厳なオープニングやスケールの大きな構成はクラシックならではだが、ポップスとしても十分に機能する。
08Wonder
ホラー映画のような導入からメタル調のギターを配したハードなトラックへと変貌するイントロに驚かされるナンバー。ワイルドな歌唱と熱いメッセージはもちろん、ほぼピアノと歌だけになるラストやダブ・テイストなパートなど、ジェットコースター的な展開が楽しい。
09ライフ
竹内雄彦が作詞曲を、亀田誠治が編曲を手がけたポップ・ナンバー。いつかは星になることを受け入れられるように、今日を生きていく。“命の旅”を続けていくために必要な大切な言葉が、ドラマティックなメロディを得て耳に飛び込んでくる。
10チュムチュム
インドの言葉でキスを意味する“チュム”という単語を冠したタイトルのとおり、シタール風の音色やトラックのそこかしこにインドのテイストを盛り込んだユニークなダンス・ナンバー。“チュムチュム INDIA”と繰り返すサビの中毒性は抜群。
11Departure
カラフルなサウンドと疾走感のある4つ打ちで進む、2000年代以降の王道アイドル・ポップといえるナンバー。夢に見た未来のために、自分を信じてスピードを上げていけ、というシンプルなメッセージが込められたアガる応援歌だ。
12ヒカリノシズク
加藤シゲアキの小説を原作としたフジテレビ系ドラマ『傘をもたない蟻たちは』主題歌となった20枚目のシングル。ストリングスやピアノが映えるドラマティックなミディアム・アップで、頼りない夜に光を灯すために何度も歌う、という言葉が胸に響く。
13LIS'N (増田貴久)
クールなラップ・パートとハイトーンな声質を生かしたメロディ、そしてスタイリッシュなトラックが一体となって迫る増田貴久のソロ曲。パートごとにまったく違った表情を見せる彼のアーティストとしての性能の高さが前面に出ている。
14愛のエレジー (小山慶一郎)
小山慶一郎のソロ・ナンバーは、スパニッシュなテイストをたっぷりと呑み込んだポップ・チューン。タイトルからも感じる歌謡曲な雰囲気は、交差点ですれ違った“懐かしい香り”からはじまる切ない恋物語を描いた歌詞でも継続。サウンドとの親和性も高い。
15星の王子さま (加藤シゲアキ)
加藤シゲアキが作詞曲を手がけ、中西亮輔が編曲を担当した柔らかなポップ・チューン。“飛行士”“砂漠”など、タイトルで引用されたサン=テグジュペリの名作から膨らませたような世界が印象的。低く響くセクシーな声が活きるラップも見事。
16Encore (手越祐也)
WHITE JAMのSHIROSEが作曲に参加した手越祐也のソロ曲。ピアノを中心とした王道バラードで、表現力豊かな甘いヴォーカルの魅力が全開。終わってしまった恋から立ち直ることができず、二人でいた日々を思い返す歌詞が切なく響く。