ミニ・レビュー
デビュー10周年。いろんな意味で節目になったタイミングでのベスト。3人だけが写る封入ポスターが、いかにもせつない。「RealFace」でお目見えした2006年の時点では、ジャニーズきってのストリート武闘派になってくれそうな期待があったのだが……。トリを飾るのは、スガ シカオ提供の新曲「君のユメ ぼくのユメ」。
ガイドコメント
デビュー10周年にあたる2016年3月22日にリリースの初のベスト・アルバム。デビュー曲「Real Face」をはじめ、「SIGNAL」「僕らの街で」などの代表曲を収録した、10年間のファンへの感謝を込めた一枚になっている。
収録曲
[Disc 1]〈2006-2010〉
01Real Face
作詞・スガシカオ×作曲・松本孝弘という豪華タッグによるデビュー・シングル。“ギリギリでいつも生きていたいから”というサビが耳に残るハード・ロック調のナンバーで、がなり声を多様したワイルドな歌唱も若々しく力強い。
02SIGNAL
ザクザクと刻むアコースティック・ギターのリフを全編に配した2ndシングル。音数は少なめ、どこかスパニッシュなテイストも感じさせるミディアム・アップのダンス・ナンバーで、中盤もラップ・パートもクールかつワルめにきめる。
03僕らの街で
亀梨和也、田中聖出演の日本テレビ系ドラマ『たったひとつの恋』主題歌起用の3rdシングル。心温まるメロディ、そのメロディを際立てるコーラス、やわらかなサウンドと、制作を手がけた小田和正の色が濃く表われたポップ・チューンだ。
04喜びの歌
田中聖主演のドラマ『特急田中3号』主題歌に起用の4枚目のシングル。愛してる、それ以外見あたらない、とまっすぐに想いを綴った歌詞に呼応するようなパンク系のアレンジが痛快。ラップ・パートではこれまでのシングル曲を歌詞に織り交ぜる遊び心も。
05Keep the faith
氷室京介が制作に参加した5枚目のシングルは、タイトルからもつながりを感じさせる「Real Face」路線といえるワイルドなロック・ナンバー。もちろんヴォーカルも荒さが魅力で、夢を追う背中を力強く押すようなメッセージを叩きつける。
06LIPS
スラッシュ・メタル的なギター・リフと疾走するドラムが印象的な6thシングル。なかなかうまくいかない二人の関係を打破するべく、声の限り絞り出すように歌うパンク・スタイルのサビに心を打たれる。亀梨和也主演のドラマ『1ポンドの福音』主題歌。
07DON'T U EVER STOP
ギターを中心としたハードロック・スタイルに、スタイリッシュでダンサブルな要素を加えた7枚目のシングル。オーディエンスの歓声のようなSEにかぶせて高速フロウをかますラップ、拳を突き上げたくなるようなサビと、かっこよさを前面に出した仕上がりに。
08White X'mas
タイトルどおりのクリスマス・ナンバーとなった8枚目のシングルは、ピアノやストリングスを配したドラマティックなバラード。ドリーミーなサウンドを細かいデジタルなビートが支え、切ない恋物語を美しいハーモニーとともに描き出す。
09ONE DROP
亀梨和也主演のドラマ『神の雫』主題歌の9枚目のシングルで、シンプルなバンド・サウンドを中心に突き進むロック・ナンバー。過去のあやまちや孤独な日々に別れを告げ、大切な人への想いを綴った歌詞にぴったりの、決意に満ちたヴォーカルが力強い。
10RESCUE
中丸雄一主演のドラマ『RESCUE〜特別高度救助隊』主題歌で、タイトルも共鳴した10枚目のシングル。新鮮さすら感じるがっつりクラブ仕様のダンス・ナンバーで、ハイトーンのヴォーカルや高速ラップなど、ヴォーカル・グループとしての魅力を再確認させられる。
11Love yourself〜君が嫌いな君が好き〜
シングルとしては赤西仁の最後の参加曲となった11枚目のシングル。ミディアム・アップのテンポで、ヴォーカルにもエフェクトをたっぷりとかけたダンス・ナンバー。言葉遊びにも似た不思議な言い回しだが、歌っているのはまっすぐな愛の言葉。
12Going!
肉感的なアジテーションの冒頭が印象的だが、そこからスタイリッシュなダンス・チューンへと変貌する12枚目のシングル。道は、果てしない夢に続く。“始まりの一歩”を踏み出す勇気を与えてくれるアッパーなメッセージやフレーズに胸が高まる。
13CHANGE UR WORLD
王道スラッシュ・メタル×デジタル・サウンドといえそうなユニークな取り合わせが耳を引く13枚目のシングル。“どこまで行けるかなんて 誰にも決めさせない”など、チャレンジを続ける彼らの姿勢が込められたようなメッセージが胸に響く。
[Disc 2]〈2011-2016〉
01ULTIMATE WHEELS
メンバーが出演したSUZUKI「ソリオ」のCMソングに起用された14thシングル。ストリングスも交えた壮大なリフをはじめ、ドラマティックなサウンドを奏でるロック・チューン。仲間とともに歩んできた、そしてこれから進む未来を描いた歌詞が印象的。
02WHITE
ギターの爽快なオープニングにはじまり、ロックを基軸に爽やかかつカラフルなサウンドスケープが新鮮な15thシングル。気持ちを告げることができぬまま離れ離れになってしまった君への想いを、高らかに響くサビのメロディとともに歌い上げる。
03RUN FOR YOU
「ULTIMATE WHEELS」に続きSUZUKI「ソリオ」CM曲となった16枚目のシングル。語感のいいサビに心も弾むダンス・チューンだが、2011年6月という東日本大震災後のリリースゆえ、歌詞には“頑張れ日本”という縦読みのメッセージも。
04BIRTH
17枚目のシングルは、日本テレビ系ドラマ『妖怪人間ベム』主題歌。辣腕の海外ミュージシャンを招いた、タイトなリズムを軸にブラスの音色も加えたアッパーなナンバーで、華やかなメロディラインを力強く、表情豊かに歌い上げる。
05TO THE LIMIT
18枚目のシングルは、ワイルドなデジタル・サウンドとともにミディアム・テンポで進むヒップホップ・ナンバー。メンバー全員によるラップを中心としており、それゆえに高揚感のあるサビが映える。覚悟を決めて、突き進めというメッセージが心強い。
06不滅のスクラム
TBS系ドラマ『ドラゴン青年団』主題歌に起用の19thシングルは、スタイリッシュなギターのカッティングを隠し味に加えたダンス・チューン。一人じゃできないことなら、合図をして走れ。タイトルどおり、強い絆を感じさせる歌詞が胸を打つ。
07EXPOSE
区切りのとなる20枚目のシングルは、原点回帰ともいえるハードなロック・テイストを色濃く出したナンバー。過激に舞うならワルさもいいんじゃない、と挑発的なメッセージを込めつつ、頂点まで走り抜ける強い決意を叩きつける。
08FACE to Face
亀梨和也主演の映画『俺俺』主題歌となった21枚目のシングル。ストリングスを取り入れ、スケール大きくドラマティックなサウンドを作り上げたダンス・チューン。囁くように歌い上げる前半から、サビではがなるように変貌。コントラストが美しい。
09In Fact
4人体制となってから初となる22ndシングル。ハードなボトムに派手なシンセを加えた迫力満点のダンス・ナンバーで、メロディもメッセージもワイルドなアプローチながら、サビではファルセットを交えつつの緩急をつけた構成が見事。
10Dead or Alive
映画『ジョーカー・ゲーム』主題歌となった23枚目のシングルで、大作映画のサントラとしても通用しそうな壮大なサウンドスケープを描いたドラマティックなナンバー。カードゲームをモチーフに、人生を描いた歌詞のスケールも大きい。
11KISS KISS KISS
24枚目のシングルは、亀梨和也主演のテレビ朝日系ドラマ『セカンド・ラブ』主題歌。ド派手なブラスをフィーチャーした、ラテン風味のポップ・チューン。肉感的なサウンドに誘われるように、歌われるのは危険な恋。表情豊かなヴォーカルも見事。
12TRAGEDY
君だけ信じてくれたら、何も畏れはしない……美しい日本語を散りばめた緊迫感のあるストーリーとデジタル・サウンドが見事に相互作用した25thシングル。冒頭のフェイクにはじまり、それぞれのヴォーカルの魅力を存分に味わえる仕上がりに。
13UNLOCK
亀梨和也主演ドラマ『怪盗 山猫』の主題歌で、4人体制としてラストとなった26枚目のシングル。切り裂くようなギター・リフを中心に、テクニカルなリズムを構築したデジロック・チューン。ワイルドなサビや囁くようなウィスパーなど、ヴォーカルも巧み。
14君のユメ ぼくのユメ
10周年記念ベストへの新曲として、デビュー曲「Real Face」で作詞を担当したスガシカオが書き下ろしたナンバー。ピアノを中心としたハートウォームなミディアム・バラードで、激動の10年を振り返りつつ、未来を見据えた歌詞が感動的。