ミニ・レビュー
入手困難となっていたデビュー作のオリジナル・ジャケット仕様の復刻盤。当初はアイドルとメタルの融合に物議を醸した快作だが、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」に象徴されるメッセージ性をもアピールしたあたりは、キャラも含め、時代性をしっかり把握している。規格外の独創性が際立つ。
ガイドコメント
世界ツアー〈BABYMETAL WORLD TOUR 2016 LEGEND -METAL RESISTANCE-〉の日本凱旋公演を記念し、2014年リリースの1sアルバムを紙ジャケ化。デザインは当時リリースされた初回限定盤と同デザイン。
収録曲
[Disc 1]
01BABYMETAL DEATH
教会を思わせる荘厳なコーラスから幕を開ける、彼女たちにとっての自己紹介ソング的なナンバー。スラッシーでアッパーな楽器隊の参加から、3人それぞれが“〜METAL DEATH!!”とキメを放つが、絶妙にカタカナ英語っぽい発音でダブルミーニングを誘う。
02メギツネ
彼女たちの象徴である“キツネ”をタイトルとしたナンバー。ヘヴィなバンド隊にシンセを印象的に融合させたサウンドだが、中盤で「さくらさくら」を引用するパートもあるように“和”のテイストが強め。“女は女優よ”のフレーズがしびれる。
03ギミチョコ!!
海外人気を一気に高めたきっかけともいえるナンバー。殺傷力の高い導入からMOAMETAL、YUIMETALによるキュートな掛け合い、そこからSU-METALが歌うサビでは鮮やかに甘くポップに展開。シンプルな構成ゆえ、耳に強く残る。
04いいね!
キバオブアキバとのスプリット・シングルとして発表された楽曲。“エレクトロ・ポップ×メタル×ヒップホップ”ともいえるユニークなアレンジだが、重心はポップ寄り。4つ打ちで進むキラキラなサビでのハイトーンを華麗に歌いこなすSU-METALはさすがの領域。
05紅月-アカツキ-
90年代を思わせるリヴァーブをかけたギターのアルペジオをバックに、しっとりと歌い上げるSU-METALのヴォーカルで幕を開けるナンバー。正統派スラッシュメタル的なアグレッシヴな展開のなか、エモーショナルに愛を歌う。
06ド・キ・ド・キ☆モーニング
強烈なリフを刻むイントロにシンセが絡むハードなスタイルのサウンドに、ラップにも似た語感のいい言葉を並べるナンバー。そこからサビでは一気にアイドル・ポップへと変貌。慌しい朝にバタバタとメイクをする姿が目に浮かぶ。
07おねだり大作戦
天使の顔した悪魔のささやき……カワイイものを買ってもらうために、肩を揉みながら“パパ大好き!!”と言う高等テクニックを使う女子の姿を描いた楽曲。ぶりっ子全開のヴォーカルはキュートだが、ローを効かせたサウンドで二面性を演出。
084の歌
1の次は2、2の次は3、3の次は4……“4”にフィーチャーしたどこまでも意味のない歌詞を、強烈なメタル・サウンドに乗せて叩きつける痛快なナンバー。中盤では、ピースフルなレゲエ・パートも挿入。遊び心だけともいえる振り切りが楽しい。
09ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
「ド・キ・ド・キ☆モーニング」と対になる楽曲。友達と家に集まって、深夜までお菓子を食べながらパーティ、というキラキラとした楽しみに満ちたストーリーながら、ジェント風のリフを取り入れつつ突き進むサウンドは殺傷力抜群。
10Catch me if you can
EDOMETAL×NARASAKIのコンビによる、デジタルな要素も取り入れた激しいメタル・チューン。キュートな“まぁだだよ!”の掛け声のとおり、歌われているのは“かくれんぼ”。強烈なサウンドとデスヴォイスが、鬼の怖さを増幅。
11悪夢の輪舞曲
バスドラを効かせた超テクニカルなリフと変拍子で幕を開けるトリッキーなナンバー。タイトルからの印象どおり、ゴシック風味をたっぷりとまぶしたサウンドをバックに、不穏な雰囲気を漂わせるメロディを凛と歌い上げるSU-METALの魅力が爆発。
12ヘドバンギャー!!
“ヘドバン!ヘドバン!”という掛け声が印象的なキラー・チューン。ヘッドバンキングの略語であるタイトルどおり、ライヴ用語をたっぷりと散りばめつつ、強烈に煽る姿は痛快。“メタル版PPPH”も取り入れたNARASAKIの編曲も楽しい。
13イジメ、ダメ、ゼッタイ
記念すべきメジャー・デビュー・シングル。ピアノではじまる悲劇的な雰囲気をまとわせたイントロから、おなじみのスラッシーなメタルへと突入。ポスターを思わせる歌詞/タイトルのとおりのメッセージだが、シリアスなヴォーカルとキュートなコーラスのギャップが魅力。
[Disc 2]〈DVD〉
01Gimme Chocolate!! (WORLD TOUR 2015 edition)