ミニ・レビュー
現代の古楽隆盛の事始め、夭逝の天才音楽家マンロウが遺した珠玉の録音が演奏者自著ライナー付きで復活。オリジナルの音色(楽器、奏法、歌唱など)を学術的な研究成果も交えつつ追求したものを、現代の聴衆の要望をも満たす形で提供する、つまり商業的エンタテイメント。色あせぬ本物の魅力。
ガイドコメント
ルネサンス音楽に次々と光を当て、その魅力を広く世に知らしめた夭折の天才マンロウが1972〜73年にかけて録音した3枚組アルバム。中世ルネサンスの吟遊詩人の世界を再現した色あせることのない名盤だ。
収録曲
[Disc 1]〈ギヨーム・ド・マショーとその時代〉
01シャンソン「優しき恋人よ、御身にこそ」 (レスキュレル)
02モテット「救けて!救けて!」/「ああ、どこに私のなぐさめが」 (マショー)
03バラード「恋が私を焦がれさせ」 (マショー)
04モテット「“美”よりもなお美しく」/「徳と連れ立った美」/「意中の人を得るかどうか」 (マショー)
05ロンドー「二人きりで」 (モラン)
06たとえ奥方が私を見放して… (マショー)
07ヴィルレー「私のためいきは」 (マショー)
08バラード「おみなよ、もしもそなたが」 (マショー)
09ヴィルレー「佳きひとに逢っての帰り」 (マショー)
10バラード「私の心は“自然”と争う」 (マショー)
11ロンドー「終りこそがわが始まり」 (マショー)
12ヴィルレー「優しく美しいおみな」 (マショー)
13モテット「たしかな望み」/「謙虚さの甘い露」 (マショー)
14バラード「あらゆる花々のうち」 (マショー)
15二重バラード「テセウス、ヘルクレス、イアソンが」/「私は見たくもない」 (マショー)
16舞曲「エスタンピー・レアル第7番」 (作者不詳) (13世紀)
17ロンドー「君が眼差しの輝きを」 (マショー)
18バラード「不可思議の蛇フィトン」 (マショー)
19二重バラード「武人たち、恋人たち……」/「おお、あらゆるメロディの華」 (F.アンドリュー)
[Disc 2]〈14世紀後半の前衛〉
01ヴィルレー「武器をとれ、武器をとれ」 (グリマース)
02バラード「フィトン、フィトン」 (フランシスクス)
03ヴィルレー「 (a)おお優しき夜うぐいす」/「 (b)わが優しの夜うぐいす」 (ボルレー)
04ロンドー「煙をくすべる者」 (ソラージュ)
05バラード「真実の男」 (メルーコ)
06舞曲 (イスタンビッタ)「3つの泉」 (作者不詳) (14世紀)
07ロンドー「いとも優しき恋人よ」/「わが佳きひとよ」/「十万遍も」 (ヴァイヤン)
08ヴィルレー「この歓び」 (ビキニ)
09バラード「恋がわたしの心を」 (カゼルタ)
10モテット「トリブム・クエム」 (作者不詳) (14世紀)
11バラード「ああ、わたしの心は果てる」 (ソラージュ)
12ヴィルレー「時節のかたわらに」 (作者不詳) (14世紀後半)
13カノン「アンドレー・スーレ」 (ペルジオ)
14バラード「ル・グレニュール・ビアン」 (ペルジオ)
15バラード「わが優しき恋人」 (アスプロワ)
16ヴィルレー「とどめよ、とどめよ」 (作者不詳) (14世紀後半)
[Disc 3]〈ブルゴーニュ宮廷の音楽〉
01ロンドー「この五月 (さつき)」 (デュファイ)
02バラード「あでびとは、塔のほとりに」 (デュファイ)
03ロンドー「私はいつもそうはしない」 (バンショワ)
04シャンソン「とつぐ頃の乙女たち」 (バンショワ)
05ロンドー「恋におちて」 (バンショワ)
06バラード「ジュロアモール」 (バンショワ)
07ロンドー「矢にえぐられて」 (デュファイ)
08モテット「コンスタンティノープルの母なる聖教会の哀歌」 (デュファイ)
09舞曲-バス・ダンス「ラスパーニャ1」 (作者不詳) (15世紀)
10ロンドー「故あってこそ私は嘆く」 (デュファイ)
11ロンドー「わが佳き人の要塞を」 (デュファイ)
12ロンドー「いとも甘き君がまなざし」 (バンショワ)
13ヴィルレー「ああ、死なんばかりの悲しみ」 (デュファイ)
14ロンドー「よく出来るはず」 (バンショワ)
15ストローファ「美わしの聖処女」 (デュファイ)
16舞曲-バス・ダンス「ラスパーニャ2」 (作者不詳) (15世紀)
演奏
デイヴィッド・マンロウ指揮 ロンドン古楽コンソート