ガイドコメント
前作『八奏絵巻』から約1年半ぶりの3rdアルバム。テレビ東京系リオ五輪中継テーマ・ソング「起死回生」や、映画『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』イメージ・ソング「Strong Fate」のほか、メンバー書き下ろし楽曲を収録。
収録曲
[Disc 1]
01起死回生
テレビ東京系リオ五輪の中継テーマ・ソングとなった3rdシングル。三三七拍子のイントロから、尺八へとなだれ込むロック・チューン。失敗上等、成功だけを見据え、前へと進んでいけと歌い上げる。ソロ回しも魅力的な和楽器バンドならではの仕上がり。
02Howling
鈴華ゆう子の優雅なヴォーカルによる導入から、メタル風の殺傷能力の高いギターリフへと展開。テレビ東京系『スノーボード&フリースタイルスキー世界選手権2017スペイン』のテーマ曲からか、冬の雪景色を思わせる描写が美しい。
03Strong Fate
ラップにも似た、一定の音で繋げるヴォーカルが新鮮に響くミディアム・ナンバー。映画『残穢-住んではいけない部屋-』のイメージ・ソングゆえ、”死”という単語も登場するホラー風の世界を紡ぐ。中盤以降のカオティックな展開も聴きもの。
04ミ・ラ・イ
テレビ東京系リオ五輪中継の応援ソングとして制作されたナンバー。声をあげて、その先に輝く栄光を掴もうという詞は、アスリートへの応援ソングの印象も強いが、夢に向かって進む人に刺さるメッセージとしても十分に成立。高らかに歌い上げている。
05雪よ舞い散れ其方に向けて
尺八の儚げなメロディによる導入が、深々と降る雪の情景を想起させるロック・チューン。愛しい男性の想いを雪にたとえ、どうか届いてくださいと歌うストーリーは、日本語を巧みに使った言葉もあって切なく、美しく響く。
06蛍火
ボカロのような無機質なエフェクトをかけたヴォーカルと、サビの流麗な歌の対比が美しいミディアム・バラード。「隠し鬼」のフレーズを用いながら、ホラーなテイストもはらんだ言葉を歌い上げる。アニメ『双星の陰陽師』エンディング・テーマ。
07ワタシ・至上主義
“メイクオフした今日は寝よう”や“アドレナリンが止まらない”など、カタカナを用いた歌詞がどこか新鮮に響くポップ・ロック・チューン。艶やかに伸びる高音だけでなく、早口のヴォーカルで豊かな表情を見せる鈴華ゆう子の声が印象的。
08望月
金属的なベースのフレーズを中心に配した、ミディアム・アップのナンバー。魑魅魍魎が跋扈するかのごとく、それぞれのパートがフリーに奏でたようなギリギリのアンサンブルをバックに、怪しげなヴォーカルがたゆたう美しさに耳を奪われる。
09オキノタユウ
箏と和太鼓、尺八をバックにゆったりと歌う導入からドラマティックに展開する、夏の終わりを思わせるバラード。波の音に夢を乗せて遠い世界の旅に出よう。情感のあるアンサンブルが、さまざまな映像を鮮やかに映し出している。
10Valkyrie-戦乙女-
TVアニメ『双星の陰陽師』のオープニング・テーマとして制作されたキラー・チューン。北欧神話に登場する半神“ヴァルキリー(ワルキューレ)”をモチーフに、戦う乙女の心情を歌う。王道的なロック・チューンだが、和楽器の魅力も全開。
11MOON SHINE
津軽三味線と掛け声という、まさに日本の伝統芸能のような導入から、ジャズっぽい要素もはらんだハネモノロックへと華麗に転換するナンバー。西洋的な雰囲気をまといつつ、要所で和な旋律を取り込むことで、不思議な折衷感を生み出す。
12浮世heavy life
ヘヴィメタル/ハードコア〜ジェントのような、ビートを硬質に刻むバンド・アレンジで突き進むロック・チューン。掛け声もあいまって、火事と喧嘩で沸く江戸の町が眼前に迫ってくるよう。凛としたヴォーカルの魅力をたっぷりと味わえる。
13鳥のように
逢いたいと願う夢は、鳥のように空へ高く……大切な人に伝えたい、抑えきれない想いを歌った美しいバラード。音数を極端に減らすことで、鈴華ゆう子ならではの伸びやかな高音の魅力を増幅。まさに鳥のごとく空を飛んでいるかのようだ。
14空の極みへ
和太鼓のフィルインによる導入から、尺八のメロディ、そして細かいフレーズを叩きつける三味線と、彼らならではのアンサンブルで一気にギアをあげるロック・チューン。わずか3分半の間ながら、ドラマティックなサウンドスケープを描く。
15CLEAN
ごめんね、優しくできなくて。ありがとう、優しさをくれて……普段言うことができない、大切な人への感謝の想いを綴った言葉がじんわりと沁みるポップ・チューン。王道的なJ-POPの手法をそのままトレースしながら、個性を発揮している。
16流星
DMM GAMESの“純和風”RPG『社にほへと』主題歌として書き下ろされたナンバー。流星をモチーフにして大切な想いを歌っている。さまざまなロックの手法を用いながら、尺八の和なソロを挟み込むなど、その意味で“ミクスチャー”を奏でている。
17チルドレンレコード
人気ボカロPじん(自然の敵P)が初音ミクを使用して発表した楽曲のカヴァー。ボカロ曲ならではの切れ目なく続くメロディゆえか、町家(g)とのデュエット風の構成となっており、それが新鮮な響きをもたらしている。
[Disc 2]〈Blu-ray〉〈日光東照宮御鎮座四百年記念 単独公演〉
01Overture-天ノ大樹-
02なでしこ桜
03Valkyrie-戦乙女-
04戦-ikusa-
05詩吟-弘道館に梅花を賞す-
06起死回生
07遠野物語四四
08追憶
09虹色蝶々
10星月夜
11暁ノ糸
12ミ・ラ・イ
13千本桜