ガイドコメント
2013年の結成以降、ミュージック・ビデオとして発表された楽曲を集めたアルバム。代表曲「千本桜」のほか、「花一匁」「拍手喝采」「シンクロニシティ」といった書き下ろし曲も収録している。
収録曲
[Disc 1]
01六兆年と一夜物語
作詞作曲を手がけたkemuにとっては4作目となる、ボーカロイドのIAによる楽曲のカヴァー。疾走感あふれるセンチメンタルな旋律をエネルギッシュに奏でる津軽三味線と、こぶしを効かせた艶かしいヴォーカルが重なり合う。
02天樂
重低音を効かせたベースに呼応するような和太鼓の連打と幽玄な尺八の音色に魅せられる、思わず“ヘドバン”したくなるロック・チューン。鏡音リンを用いた、ゆうゆ作詞作曲のヒット・ナンバーのカヴァーで、ボーカロイドと和楽器という意外な組み合わせが斬新。
03千本桜
黒うさPが初音ミクを用いて発表した楽曲のカヴァー。尺八、箏、津軽三味線と“ハッハッ”という掛け声でスタート、和太鼓が加わると一気に疾走感あふれるバンド・サウンドへと開花。畳み掛けるようなエネルギッシュな箏のソロ・パートは“ヘドバン”必至だ。
04華火
初のオリジナル曲として映像シングルで発表されたロック・チューン。“華火”が炸裂したような冒頭のドラムのフレーズをきっかけに、複雑なアンサンブルを奏でながら疾走。どこか“許されぬ恋”を連想させるような気だるさも魅力的。
05戦-ikusa-
映像シングルとしてリリースされたTVアニメ『戦国無双』オープニング・テーマ。歪んだギターを中心にメタル要素もはらんだ推進力の高いロック・チューンで、ロングトーンのメロディを多用したサビでの鈴華ゆう子の“コブシ”も見事に決まっている。
06なでしこ桜
ヴォーカルを含め各パートが洪水のように押し寄せる冒頭から、しっとりと歌うメロディの導入へ。流麗な旋律はもちろん、“侘び寂び”を体現するがごとき見事なアレンジが映えるミディアム・バラード。TVアニメ『戦国無双』エンディング・テーマ。
07暁ノ糸
詩吟「事に感ず」の起句から幕を開ける冒頭に驚かされるナンバー。尺八をはじめ各パートが乱舞する前奏から、まさに吟じているかのようにたゆたう鈴華ゆう子のヴォーカルが合流。徐々に熱を帯びながら迎えるラストの高揚感は抜群。
08反撃の刃
dTV『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙』主題歌に起用されたハード・ナンバー。楽曲のベースとなっているのはシンプルなハード・ロック。だからこそ、和楽器によるアクセントや和風のメロディが持つ影響を如実に感じさせる。
09Valkyrie-戦乙女-
TVアニメ『双星の陰陽師』のオープニング・テーマとして制作されたキラー・チューン。北欧神話に登場する半神“ヴァルキリー(ワルキューレ)”をモチーフに、戦う乙女の心情を歌う。王道的なロック・チューンだが、和楽器の魅力も全開。
10Strong Fate
ラップにも似た、一定の音で繋げるヴォーカルが新鮮に響くミディアム・ナンバー。映画『残穢-住んではいけない部屋-』のイメージ・ソングゆえ、”死”という単語も登場するホラー風の世界を紡ぐ。中盤以降のカオティックな展開も聴きもの。
11起死回生
テレビ東京系リオ五輪の中継テーマ・ソングとなった3rdシングル。三三七拍子のイントロから、尺八へとなだれ込むロック・チューン。失敗上等、成功だけを見据え、前へと進んでいけと歌い上げる。ソロ回しも魅力的な和楽器バンドならではの仕上がり。
12オキノタユウ
箏と和太鼓、尺八をバックにゆったりと歌う導入からドラマティックに展開する、夏の終わりを思わせるバラード。波の音に夢を乗せて遠い世界の旅に出よう。情感のあるアンサンブルが、さまざまな映像を鮮やかに映し出している。
13雪よ舞い散れ其方に向けて
尺八の儚げなメロディによる導入が、深々と降る雪の情景を想起させるロック・チューン。愛しい男性の想いを雪にたとえ、どうか届いてくださいと歌うストーリーは、日本語を巧みに使った言葉もあって切なく、美しく響く。
14雨のち感情論
メジャー・デビュー4年目にして初のシングル。津軽三味線、筝、尺八、和太鼓など特色である“和”の音をキャッチーなダンス・ロック・サウンドに乗せて強調した“名刺代わり”ともいえる一曲。“1番星向かって”“君と夢見た銀河”に彼らの希望と野心がみてとれる。
15花一匁
尺八と三味線がヴォルテージを高めるなか、ヴィブラートを効かせた鈴華ゆう子の天高く舞い上がっていくようなヴォーカルが、無味な空間に赤く咲き誇るツバキのように強いインパクトを与える。ただ一輪としても美しく命燃やせと艶やかに歌う、刹那の美を問うた楽曲だ。
16拍手喝采
元来絢爛な作風の彼らがいっそう派手やかに演じ、まさに文字どおり“拍手喝采”を待つかのよう。各ソロ・パートはもちろん、シンガロングやラップ・セクション、“和楽器バンド此処に参上”などの口上などを組み込み、縦横無尽な和楽器バンドの世界へといざなう。
17シンクロニシティ
ジャジィな導入から奥行きの広さが窺えるスペクタクルな作風に驚く、和楽器バンドの新境地。“君は僕で僕は君”という正反対の二人が運命の悪戯で“シンクロ”するストーリーを、鈴華ゆう子と町屋の会話調の掛け合いヴォーカルとリズミカルなジャジィ・グルーヴで綴る。
[Disc 2]〈Blu-ray〉「和楽器バンド HALL TOUR 2017 四季ノ彩-Shiki no Irodori-」LIVE映像(2017/7/21 東京国際フォーラム公演)