1934年の出世作「前奏曲ニ調」から75年の雅楽と十二音との融合を図った「六つの前奏曲」までを辿っている。野平が初期作品に光を当てたのは、松平の初期における“音”あるいは“響き”への意識と後の雅楽を取り入れた作品との関連を証明しようとしているようだ。野平ならではの痛烈な一作。★

“あのカラヤンが指揮した唯一の邦人作品”というキャッチ・コピーにクラリとする。松平は確かに12音技法を基調とした前衛音楽を94歳で他界するまで貫いた硬派な作曲家。前衛的手法と雅楽の音色を融合させた「左舞」や「右舞」など、厳選した彼の代表作5曲を収録。