
88年作品を紙ジャケ・高品質CD化。音楽に夏のリゾート感を取り入れた手法はインパクトがあった。年月を経て聴いてまず、構成やストーリー性、サウンド面など当時は流行として軽く捉えていた作品の基盤の、高いクオリティに驚く。そして変わりゆく歌詞の解釈。これぞ音楽を聴き続ける醍醐味。

紙ジャケ仕様による、87年に発表されたベスト&ラブ・バラード・アルバム。78年の「オリビアを聴きながら」、83年の「YOU ARE NOT ALONE」、86年の「ALL OF YOU」など、収録曲は当時に再録音されたもので、新たな表現力と変わらぬ輝きが楽しめる。

3作続けてのカヴァー・アルバムとなるが、本作は自作曲も含めた初のセルフ・カヴァー集。ボサ・ノヴァ・ナンバーに生まれ変わった「オリビアを聴きながら」をはじめ、往年の代表曲に新たな解釈が施されており、30年余りのキャリアを経ても衰えぬスタイリッシュさと、時代に呼応する鮮度を印象付ける。

デビュー30周年を記念したカヴァー・アルバムの第2弾。来生たかお「Goodbye Day」、安全地帯「ワインレッドの心」など、今回はファンのリクエストに応えて男性アーティストの曲を歌ったものだ。心のこもったヴォーカルが聴きものだけど、選曲の多彩さにも杏里の新しい魅力が感じ取れる。

シングルとはいえ、アレンジの違う2ヴァージョンの「もう悲しくない」を収録し、さらにリミックス・ヴァージョンを加え、初回盤にはPVなどの映像も加わったデビュー30周年を記念する作品。女心がしみじみと伝わってくるラブ・ソング。

タイトルはラテン語で太陽の意味。プロデューサーにリー・リトナーを起用した全12曲。LAの手練ミュージシャンをバックに、伸びやかな唄声が心地よく響く。スッキリとした、それでいてコクのあるサウンドにまとめられている。(11)(12)はカヴァー曲。

ベテラン女性シンガーANRIのシングル。関西テレビ・フジテレビ系全国ネット『発掘!あるある大事典』のエンディング・テーマでもある(1)は、大地をイメージさせるゆったりとしたナンバーで、(2)は切なくなるような綺麗なバラードだ。

3年ぶりというシングル。エンジニアは彼女のお気に入りというデヴィッド・レイチェス(マドンナ、ナタリ−・コールとの仕事でグラミー賞を受賞)。ヴォーカルの声質が何気なく今風になっています。カップリングともども、最強のレゾート系AOR。

デビュー25周年を記念して代表曲をリアレンジした2003年作。(10)は作詞作曲した角松敏生がバッキング・ヴォーカルで参加し、華を添える。(12)は寺井尚子の豊潤な音色のヴァイオリンがオリジナルとはひと味違う哀感を醸し、歌もエモーショナルになっている。

豪華な顔合わせで唄われるクリスマス・ソング。チューハイのCMソングとしても使用されている。ポップスのソングライターとしてもキャリアのあるふたりが、これまでに唄われた無数のクリスマス・ソングに敬意を払いつつデュエットするオトナの歌だ。

杏里がリー・リトナーのプロデュースで、極上のAORを仕上げてくれた。アレンジから選曲に至るまで、フュージョン&AORに洗礼を受けた者なら文句なしのアルバム。さらに、秋から冬のイメージにピッタリとハマル構成が泣かせる。雪のイメージ。★

ブラコン・テイストの杏里が一転して、今回はラテン・テイストのカリビアン・サーフ・サウンドに。80年代の遊び人にとっては、たまらないサウンドのオン・パレードだ。海を望む、しゃれたコテージでガーデン・パーティなんて雰囲気がぴったりとくるアルバムだ。★

余裕の杏里ワールド。ほのかにブラック・テイストを感じさせながらも、そこに向かって突き進むでもなく、AORのフレイバーもまたほのかに漂わせつつもマニアックに片寄らない。ほどよいところのポップスに仕上げているのが、杏里ワールドといっていいか。

前作『ツイン・ソウル』から1年と空けずにリリースする新作。こんなふうに心地いい風だけを感じ、身体に記録して曲を作り出すのって、実際には想像よりもずっと難しいんだろうなぁ。参加プレイヤーのクレジットの中には、国府弘子と高中正義の名も。

杏里本人のライナーにある通り、湾岸戦争のアオリでアメリカ録音が中止になったいわくつきのアルバム。でも心配御無用。逆にミュージシャンが日本に来てくれたのだ。12年におよぶ芸能暦の彼女だが、心機一転、マンネリ打破の気概が感じられる第14作。

夏の雰囲気いっぱいに、バラエティに富んだサウンドが詰まっている。ラップを被せたハウス・サウンドから、ラテン・パーカッションが絡む曲、しっとりとしたバラードetc。女性への応援歌といった感じの内容で、シーラEの参加など、話題性も豊富。

7人のアレンジャー(その中にはリー・リトナーの名前も)と共に作られた97年のアルバム。当時『ポンキッキーズ』でおなじみだった(2)、カーペンターズのカヴァーの(10)やセルフ・カヴァーの(12)など、話題曲もいっぱい。

前作から3年ぶりのオリジナル・アルバム。デジタルなダンス・ビートに傾倒していた時期もあったが、生のグルーヴを取り入れたLA的さわやかサウンドに立ち戻った。おなじみの杏里ワールドを思い浮べてもらって、間違いない作品。

OL泣かせの女性シンガーといえばユーミン、今井美樹に並んで日本で5本の指に入るでしょう杏里によるバラード・ベスト。2枚組、全曲新録で先着50万セットが特別BOX仕様、豪華フォトブックレットと未発表曲CDsg付き。女友達への贈り物にも最適。

デビュー曲の「オリビアを聴きながら」から1994年作「ALL OF YOU」まで、デビューからの10年間に発売してきた作品の中から、杏里自ら30曲をチョイスし、新たにレコーディングし直したリニューアル・ベスト盤。全編通して貫かれた洒落たポップ感はさすが。

ニューミュージック系、ロック系アーティストの作品集の1枚。ギル・ゴールドスタインと、なら春子のアコースティック・ピアノによる今風BGM。こういう企画は結局、クセのない曲とクセのない演奏が本流となってしまうわけで、ま、可もなく不可もなく…。

毎年夏にリリースされていた杏里のアルバムが、本作では夏の終わりに出て来た。そのせいかいつもより落ち着いたというか、ファンキーだけど、じっくりと聴かせるようなサウンドになっている。オトナの杏里、といった感じのアルバムだ。

「幸せになってどこが悪いのよっ」とばかりにきわめてきた上昇志向路線がいったんいきつくとこまでいきついたら、(歌における)強気もやや薄らいだようで少々淋しい。ハワイ録音でリゾート帰りするのはいいけど、やっぱこの人はどっか金ピカでなきゃ。

1987年から92年までの作品からなるベストもの。CMで知らずのうちに聴いていた曲が多い。サブリミナル!? そんなことないか。そこそこのグルーヴ感といいますか、一定レベルをキープしつづける匠のワザは御大ユーミンに肉迫。

ダンス・ビートを基調にしたアルバム。シングル曲「16BEAT」などはもろにディスコで踊るつもりでつくったような曲で、ヒット曲「キャッツ・アイ」に共通する杏里らしさが感じられる。夏が大好きな杏里が、夏向きにつくったアルバム。

1983年6月発表のサマー・ソング・アルバムで、このアルバムあたりから夏前に発表し、夏に聴いてもらうというアルバム・ローテーションとなった。ダンス・ビートをきかせたサマー・サウンドといつた雰囲気になっていて、楽しくウキウキさせる。

杏里が尾崎亜美作詞・作曲の「オリビアを聴きながら」でデビューした頃は、いかにも女子大生という雰囲気と亜美らしい乙女チックな曲がピッタリとマッチングしてかなり話題になった。しかし、セールス的には思ったほどの成果が得られなかった。このファースト『アプリコット・ジャム』、セカンド『フィーリン』と、新人アーティストとしてはサウンドもきっちりとまとまっており、それなりによく出来たアルバムをリリースしたが、まだ杏里の魅力が完全に引き出されてはいなかった。そこで鈴木慶一をプロデューサーに迎え『哀しみの孔雀』をリリース。ヨーロピアン・ムードを意識したこの第3作はかなりの冒険作だった。そして「キャッツ・アイ」「悲しみがとまらない」でつかんだポップス・フィーリングが、角松敏生、ブレ・バタらを迎えた『ヘブンビーチ』で開花することになる。

そういえば、杏里って作曲もするんだったっけーなんて思わせるくらい、これは完膚なきまでのリゾート・ミュージック。共作も含めて全曲自作ですぜ、念のため。吉元由美の歌詞もできあがっちゃってる世界。(6)で、フィリップ・ベイリーがコーラスしてますよ。

リゾート感覚、トロピカル気分、ダンサブル、ポップといった言葉がキャッチ・コピーとなっていた杏里らしく、ここでも軽いビート感に乗って歌っている。あくまでも軽いビート感で、滑るような杏里のヴォーカル、このほどほど感覚が魅力だ。

デビュー曲「オリビアを聴きながら」のリアレンジを含む杏里のラヴ・バラード集。海に夕陽が沈むとき、日中の陽気な声が消え、ちょっぴりセンチメンタルな気分になる。そんな雰囲気が漂うアルバムで、杏里のお洒落感覚を反映してます。