
工藤静香のソロ・デビュー30周年記念として登場した男性声優によるトリビュート盤。EDMやグルーヴィなロックなど多彩なアレンジに乗せて梶 裕貴、森久保祥太、下野 紘、鈴村健一、梅原裕一郎、谷山紀章、関 智一が卓越した歌唱力と表現力を披露。楽曲が持つ一貫した美学があらためて感じられる。

ソロ・デビュー25周年記念シングルは絢香の提供曲。絢香らしいダイナミックなメロディに繊細な感情をこめたスロー・バラードをさらりのりこなすとは、姐さんさすがです。かつてのトンがりヴォイスは影を潜め、母性がただよう。“そのままのあなたでいいんだよ”というテーマにぴったり。

手軽にマイ・アイドルの歌&シングルのジャケ写を楽しむシリーズ、全50タイトルがこの発売で完結。第2期発売分では、かなりディープな名前も登場してきた。もはや、懐かしアイドルという企画意図を超え、今は女優(など)で活躍してるあの人のあの頃……という楽しみ方がメインか。

工藤静香による中島みゆきカヴァー集。グッと抑えた歌唱にヴォーカリストとしての工藤静香の“本気”を感じる。けれんに走らない堅実なアレンジもよい。ボーナス・トラックの中島みゆきオリジナル提供曲12〜14曲目と聴き比べると、彼女の変化(進化)がよくわかる。

アイドルとして圧倒的な存在感を放った初期、さまざまなスタイルの楽曲を消化し、ヴォーカリストとして開花した中期、家族や恋人など幅広い愛を自分の言葉で伝え続ける近年と、奮戦の歴史が詰まったベスト。ディスク2の13〜15曲目は新録セルフ・カヴァーを含むボーナス・トラック。★

愛憎渦巻く昼ドラ『麗しき鬼』の主題歌に起用された40枚目のシングル。シンプルでタイトなバンド・サウンドと流麗なストリングスのうえで歌われるのは、雨の夜に募っていく、愛しき人への強い想い。いつまでも変わらぬ、フェロモン系ヴォーカルが印象的。

シングル39作目。(1)は、約8年ぶりの中島みゆきによる歌謡ポップス。(2)は、2005年アルバム『月影』で大きく貢献したJin Nakamura作曲、本人作詞のラブ・バラード。(1)では弱さを見せられぬ女性を、(2)では愛しい人に寄り添う女性を、工藤が声だけで演じ分けている。★

3年ぶりのリリースとなるオリジナル・アルバム。工藤静香といえば“歌謡曲、最後の砦”という印象があるが、そういう意味での猥雑さは今回減少しており、非常に洗練されたスタイルを築き上げている。ヴォーカリストとしての成長も感じられる。

映画『ふたりはプリキュアMax Heart』主題歌の(1)は、ストリングスを交え、壮大な展開となるミディアム・スロー・チューン。同様に盛り上がる(2)はフジテレビ系『F2スマイル』テーマ曲で、ともにサウンドに負けないボリューム感のヴォーカルが好感触だ。

前作「Blue Zone」から実に6年ぶりの工藤静香のシングルはバラード。キャッチーなメロディ・ラインにストリングスのアレンジが加わりドラマティックな世界を描いている。カップリングの「Simple」は一転してジャニーズ系のアレンジ。やはり、少なからず影響しあうのかな。

CHOKKAKUや羽田一郎を迎えて、ブラコン歌謡一直線かと思ったら楠瀬誠志郎なんてヒトも。本人の手になる歌詞も含めてフツーのブラコン歌謡とは明らかにニュアンスが異なる独自の世界を構築。さすがにCHOKKAKUのアレンジはカッコいい。

スロー〜ミッド・ナンバーを集めたセルフ・プロデュースのベスト。サブタイトルにバラード集とあるだけに、中島みゆき作の(10)はやや激しく聴こえる感もあり。シングルでお馴染みの(1)(7)(13)は英語詞だが違和感がまったくない。オケを変えなかったのは正解かも。

アルバムのプロデュースを、工藤静香本人とシャ乱Qのはたけの二人が担当。はたけ節が反映された楽曲が中心とはいえ、工藤静香自身が持つクールなカラーが、全体をしっかり覆っているところはさすが。挑発的かつアダルトなポップ・ロック・サウンドが胸に迫る。

全曲、作・編曲は言わずと知れた後藤次利。今回はロックンロールものなのねフンフンーと思って聴いてると後半(8)〜(9)のアレンジがちょっとすごい。今どき珍しくカッコいい歌謡曲。工藤静香の歌唱ともども独壇場の世界。出でよライバル! って気もしますね。

う〜ん、歌謡曲だ。後藤次利は絶対、日本一の歌謡曲を作るつもりで曲を作っているんじゃないか。中島みゆきの歌詞も同様。シングルA面コレクションのベストもの。(1)〜(5)は気合いをこめてヴォーカル入れなおしてます。(力みすぎの感もあるけど、まだ20歳。)

(1)の吉川忠英の生ギター一本だけの伴奏とか、(8)や(9)の今剛のギターの冴えなど、盤石のバッキングに支えられた工藤静香の97年のアルバム。中島みゆき作のヒット曲、(6)もあるでよ。ソウル〜ファンク色が意外に強いが彼女なりに消化。全作詞&プロデュースは彼女自身。

その名の通りのバラード・ベストは中島みゆき&後藤次利というゴールデン・コンビによるナンバーが多いが、彼女のような線の細いヴォーカリストにはこういったバラードの方が向いているようだ。愛絵理とクレジットされた本人作詞のナンバーも数曲あり。

舌ったらずだけど妙に艶っぽい工藤静香の声。やはり彼女の歌声はバラードが一番グッとくる。また(4)のようなダウンビート系の曲で低音でせまられちゃ男はドッキリもの。ほかにもアップ・テンポな曲での張りのある歌声など、彼女の声の魅力を満喫できる1枚だ。

この時期の作品がシックでアダルトな傾向に入っていただけに、本作のようなストリングス系を重視したサウンド作りや、ダウン・ビート的なアプローチもなるほど納得がいく。バラード・シンガー工藤静香の等身大の姿がリアルに出ている1枚だ。

かなりハードな感じを前面に押し出してきた工藤静香のアルバム。太平洋の彼方のものを意識したヴォーカルを展開していくが、その一方で、実に日本的で古風な歌唱法が逆に浮き立ってきているのが面白い。この対極のものの上でバランスをとり綱渡り。

見開きハードカヴァー・ジャケの2枚組でプラケース入り、28ページ・オールカラー写真集風歌詞カードと、それと別に20ページ・オールカラー・ブックレットもついてる大盤振舞い。ビッグアイドルなら当たり前、とばかりにことさらにアピールしないのも潔い。

初期のクサミ(いい意味で)が、そろそろ感じられなくなった時期のアルバム。とっても綺麗にさっぱりまとまってる(みゆきの詞でも)。歌も上手くなってるけど。う〜ん、ガツンと心を殴るようなあの感じが…

初期の作品からこのアルバムのために用意された新曲まで、バラードもので統一され、シンガーとしての自らの可能性を改めて問い掛けるような内容。真っ向勝負だけに、うーんと腕組みしたいものもあるが、並のバラードでは終わらない独特の表情には溜め息も。

甘ったるい猫なで声ながらシンの強さ、そしてサビに入った時のツメの鋭さを魅せてくれる工藤さん。デビュー時からの歌謡定石パターン(3)(7)から新機軸バラッカ(1)など懐の深さとトータル・バランスの良さがウリ。

やっぱり後藤次利のナンバーがいいね、静香ちゃんには。中島みゆき路線はどうも…と、しばらくは距離をおいていたのだけど、テレビ・ドラマのテーマでもある(2)を筆頭にものすごく迫力がついてきたという感触を受ける。歌手としてはぐんと深みを増した。

八方破れなミズっぽさで群を抜いてた静香サマも、ここらでちょいとお色直し。ものわかりよい女同士の友情、なんてのまで歌っておられる。アルバム・トータルのグレードは、これまで中で一番。

のしてきた、とまあこの形容に尽きた1988の工藤静香には、ベスト盤のはなやかさこそふさわしい。「抱いてくれたらいいのに」は、今聴いても本人のテンションがいきなり上がってたのが伝わる名唱。このなまぐささがもちろん良いのだ。

ん? 妙にヴォーカルが日なたっぽくなっちゃって、一体どうしたのっていぶかる以前に、やっぱ目覚めちゃったんでしょうな、迷える衆生=ファンを救う意識に。相変わらず日陰な歌詞、歌いながら姿勢はもはや愛の伝導師。ちょっぴりだけ、こわい。