
ソロ40周年を機に、78年のデビュー作を新録ヴォーカルで生まれ変わらせた一枚。砂原良徳のマスタリング、TOWA TEIのアートワークも素晴らしく、異国情緒のあるマイルドな風を吹かせながら徹頭徹尾ムーディに聴かせる。みずみずしい歌声がたまらない。もちろん、ドラマーとしての輝きも遺憾なく発揮!★

70年代末“とんでもない輝き”を放って現れ、今も現役で歌う酒井俊が、坂本龍一をはじめ、J-POP、Fusionの強者を集めて歌う名曲の数々を収録。時代を感じさせるアレンジや音響効果も含めて、時代とともに生きる個性の存在感を伝える9曲すべてが光り続ける。

元スマッシング・パンプキンズのジェームス・イハ(g)を含む、In Phaseと作った4年ぶりの23作目。オルタナティヴ・ロック以降のポップ感に包まれた粋なロックでまったり迫り、大半の歌詞は英語(和訳付)で粋なロマンティシズムは不変だが、日本語で歌う曲からほのかに香る情けなさも捨てがたい。

高橋幸宏の還暦を祝し、宮沢りえや鈴木慶一、スカパラ、高野寛、坂本龍一&細野晴臣、トッド・ラングレン、スティーヴ・ジャンセン、ジェームス・イハほか、国内外の豪華アーティストが集結。それぞれが持ち味を発揮したスタイルでユキヒロの楽曲をカヴァーしている。

坂本龍一が総合監修する音楽全集CDブック第5弾。盟友・細野&幸宏を選曲者に招いてドラム&ベースという楽器に焦点を当てた一巻となっている。R&Bを中心に名曲名演をコンパイルしたCDとピーター・バラカン氏を含めた4人の解説は、若い音楽ファンやミュージシャンたちの入門編としてもユースフルだ。★

皆藤愛子ら6人の女性キャスターによる小説『チギレグモノ、ソラノシタ』の朗読と、高橋幸宏の音楽をコラボレートさせたCDブック・スタイルの作品。聴く環境で色合いを変える音響/音像によるコンテンツとしての意図は、ヘッドホンで聴いてみることでわかるはず。

22枚目のアルバム。スケッチ・ショウ以降のエレクトロニカ路線を踏襲しつつも、小山田圭吾、スティーヴ・ジャンセンといった豪華ゲストとのコラボレートにより、予期せぬスリルを呼び込むことに成功。小山田のノイジィなギターやアトム・ハートのデジタルなビートなどが聴きどころ。

本人が監修をした初の本格的なベスト盤。81〜85年のアルファ(YENレーベル)在籍時の音源を2枚分たっぷりと収録。特にポップ化がぐんと進んだディスク2以降は、普遍的な美曲が多いことをあらためて実感した。唯一無二のユキヒロ節は時代を軽々ひとっとび!

近年はSKETCH SHOWなどのユニットで活動していた、高橋幸宏の、約7年ぶりのソロ・アルバム。細野晴臣や徳武弘文、スティーヴ・ジャンセン、マーク・ビアンキらをゲストに迎えつつ、エレクトロでヒューマンな世界を展開。初回盤はデジパック仕様。

高橋幸宏の86年作品に、同年ライヴ・ビデオ音源5曲をボーナス収録した紙ジャケ復刻。故・大村憲司や小原礼、佐藤博らとの録音は、彼のポップな面を強調しているが、どこかシニックな空気が感じられる。リマスタリングによってサウンドの質も向上。

幸宏のTENTレーベル設立後初のアルバムとなった八五年作品。“新しい青春歌謡ポップス”をテーマに制作されたという。名曲(5)など、この時代ならではの音色がふんだんに取り込まれたキッチュ&テッチーなサウンドが懐かしい。初回生産分のみ紙ジャケ仕様。

97〜99年の幸宏作品から選曲した今作は、日曜の朝の定番にしたくなる必聴盤。一杯のカフェオレのように温かく日常的な言葉の配置、オシャレで優しくピュアな音たちのパレード。彼が先天的なポップ・シンガー・ソングライターであることを再認識。★

山本耀司、鈴木慶一、高野寛などの“仲間”との共演は、高橋幸宏というアーティストのキャパシティの広さをあらためて感じさせる作品となった。徹底したポップな感覚があるからこそ、時代の先を読んだ音楽をきっちりと提示できているわけで、さすがの奥深さ。

オリジナル・アルバムに1〜2曲収められているカヴァーはファンには楽しみだったが、これは2枚に分けて収められたカヴァー曲を集めたコンピレーション。1集目にはニール・ヤングやバート・バカラック、ランディ・ニューマンを収録。ニールものは新録も。

2集目には、おなじみバカラックをはじめ、SMAP、スパイダース、三橋美智也などの和モノも収録。新録はボブ・ディランの初期ナンバー。こうした多彩な要素がすんなりと溶け込むあたりに、ユキヒロ・ポップのバランス感覚の良さが表われている。

スカパラのリズム隊と矢口博康をメンバーにしたライヴ。スティーヴ・ジャンセンをゲストにかつての共演曲のほか旧作からのナンバーも数多く演奏されているが、逆に新旧とりまぜた曲構成が変わらないポップ・センスを証明している。淡々といいアルバム。

すっかりお馴染みになった、高橋幸宏とのコラボレーションで制作されたYOHJI YAMAMOTO COLLECTIONのショー用音楽集。ファッション抜きの純粋な音楽集としては、リスニング・ミュージックではなくファニチャー・ミュージックとして活用したい。

5年前とは思えない懐かしさで迫る高橋幸宏とスティーヴ・ジャンセンの12インチ・シングルのCD化。独自の浮遊感や無情感がライナーに和訳されているスティーヴ・ジャンセンの歌詞からも伝わってくるのが興味深い。一期一会(?)の不思議な潔さが漂う。

スティーヴ・ジャンセン、小原礼、鈴木慶一、KYONなどが参加した今年4月の実況盤。最新のスタジオ盤の曲を中心とした構成だが、ビートニクスの(6)〜(8)、小坂忠の(1)(5)、細野晴臣の(16)などが聴けるのが嬉しい。アレンジ刷新のファンク調(13)も聴き物。

もともとがシンプルでプラスティック的なサウンド構成だし、彼自身の声質も個性的だから、素材としては予定調和だといえなくもない。P.ガブリエル、ティアーズ・フォー・フィアーズ他多くを手掛けたデヴィッド・ロードによるダンス・リミックス。

椎名誠が脚本、監督を手掛けた同名映画のサウンドトラック盤で、音楽監督は高橋幸宏。最近の自作アルバムでは、時代の中で彷徨う素敵な歌を生み続けている人だが、ここでは、コンピューターによる穏やかな、かつドラマをひめた音楽を作り上げている。

作品は常に作者からのメッセージであるわけだが、そのあらわれ方は千差万別。高橋幸宏がこういう形のメッセージを送ってくたところに、時代の先行き不安を感じる多くの人の心情が透視できる。森雪之丞、鈴木慶一の詩が迫ってくる。淡々とした内側のパワー。

自らのレーベルからは初めてのリリースとなるフル・アルバム。先月号のインタビューでも語っているとおり、ドラムンベースなども吸収しつつ、{ちょっとずつ新しい}自分のポップスを作っている。ヴォーカル処理のせいか、本作の声はちょっと明るめ。

再結成ミカ・バンドや再結成YMOを含む、東芝時代のベスト盤。ポップス好きなオトナのためにつくられた誠実な作品14曲が収められています。やはり、せつなさ度では鈴木慶一とのコンビかな。企画アルバムに参加したビートルズ・カヴァーも収録してます。

自らのレーベル“コンシピオ”移籍第1弾。テクノ、ジャングル・ビートなど、最近の音楽的要素を導入しながらも、根底には彼ならではの暖かいポップ・センスが流れた音作りをしている。いつもながら、慈愛に満ちたヴォーカルが心にしみる。

とても気分のいい音楽を聴かせてもらった。淡々と流れているみたいで底に一本、ビシッと通っているものが感じられる。凡百の音楽との差はそこだ。自分の目を信じられるようになるには年輪の積み重ねしかないのだね。それぞれオリジナル・カラオケ付き。

高橋幸宏が選んだ映画のサントラを高野寛、佐藤清喜、サリー久保田、寺田康彦、岸利至が独自の解釈でデクノ・サウンドにアレンジ。テクノ、といってもレイヴでもゴアでもない、DCブランド仕立ての上品さ。もちろん決してモンドでもないのである。

“愛”をキーワードに映画音楽8曲のテクノ・カヴァー集を高橋幸宏がプロデュース。本人のほか、スクーデリア・エレクトロの寺田康彦やマイクロスター(元ナイス・ミュージック)の佐藤清喜ら計6人のアレンジャーが参加。純正テクノの基本は原曲を崩さないことか。

オトナのためのポップ・ミュージックを作り続ける幸宏氏。聴いててちょっと胸が痛くなるオリジナルに加えて、今回のアルバムでのカヴァー曲が、トラフィックとランディ・ニューマンとSMAPというあたりのバランス感覚とセンスがやはり真骨頂なのでは。

スカパラからKYON、小原礼、ICEのMAYUMI、竹中直人など老若男女幅広く参加したアルバムは、彼のキャパシティの広さの証明のよう。ポップなんだけど「成熟するとこは、キッチリ成熟させてもらいます」という背筋の伸びた大人の態度が清々しい。

東京スカパラダイスオーケストラと共演した「Watermelon/こみあげる涙と君のために」も収録の、1988年から95年までのベスト・アルバム。趣味性にあふれていながらも確実にポップなラインをキープしている音作りに、あらためて脱帽。やはり天才でしょう。

ジョージ・ハリスンのユキヒロ・スタイル・テクノにはじまり、三橋美智也の無国籍ウェスタン・テクノに終わる10曲。本来10代の音楽であるポップスを、成熟させながら誠実に続けていく姿勢に感動させられる。30代のワタシにしみじみ染みる良い作品です。

82年に発表されたミニ・アルバムの初CD化。最先端をいっていたものほど後になると“時代”を感じる、と改めて確認。当時は(5)に古臭さゆえの面白さを感じた人もいただろうが、今となってはこの手のコンセプトそのものが笑いの対象になりかねないとは恐ろしい。

70年代後半にロック〜フュージョンのミュージシャンの交流から生まれた作品を多く残したベターデイズ・レーベルの作品を坂本龍一を軸に編集した企画物。初ソロ『千のナイフ』、渡辺香津美を中心とするスーパーバンドKYLYNなど他流試合の楽しみに溢れた演奏集。

セルフ・カヴァー・アルバム。しかし全曲アコースティック・サウンドにお色直しされているのがミソ。アコギの音をベースに、曲によってハミニカやピアノ、シタール等が効かせ色として生きており、曲自体の美しさが増幅している。ハートウォームな1枚。

当時、本人が「マンガ的なものにしたい」と語っていた通り、キュービック幸宏がジャケットを飾る84年のソロアルバム。共演はアイヴァ・デイヴィスやビル・ネルソン及び細野、坂本。ニール・ヤングの(4)は御詠歌のようで、まだ散開後の疲れをしのばせる。

83年8月の東京・渋谷公会堂でのライヴ8曲+スタジオ1曲。LP発売は84年1月だった。バンドってのはこういうものだ、と手本を示して…いるわけではないだろうが結果的にはメンバーのバンドマンとしての実力をしっかりと見せつけてしまったのだ。

快調ペースで作品を発表する高橋さんの新作は「幸福の調子」という副題もついた〈大人の純愛3部作〉完結編。牧瀬里穂ちゃんのかわいさ爆発のCMのバックでそっと流れていた(1)を始め、古風でプラトニックな恋愛もハッピーにエンディング。(2)はビートニクス作。

前作は時代の混迷、目いっぱい引き受けちゃってドツボだったけど、今回は隠居をきめこんだのかさほどマジになってない。ほっとしました。ほっといても十分顔がメランコリーなんだから少々おポンチなほうがこの人はいい。好一対の鈴木慶一がゲスト参加。

高橋幸宏、2年ぶりのソロアルバム。ビル・ネルソンや大村憲司そして細野晴臣、坂本龍一といった僚友たちのサポートがイカス。レベッカのNOKKOが控え目にコーラスする(2)もいいけど、細野作曲のエキゾチックな(5)、鈴木慶一の歌詞がアブない(8)を推薦。

YMOのメンバーの中で、高橋幸宏はYMOの影から最も遠いところにいる。そんなアルバムになっている。ヴォーカリストとしては声量のないひとだが、それも気にならないほど自然さを感じさせる。テクノ派に見られるわざとらしさがここにはない。

高橋幸宏・鈴木慶一がつくったテント・レーベルから高橋幸宏が初めて発表したアルバムがこれ。トッド・ラングレンのカバー「アイ・ソウ・ザ・ライト」を、アルバムの目玉。彼に合っているのです。

YMOの前にひっそりと欧州旅行といった風情の高橋ユキヒロのソロ・デビュー作。78年発表。欧州経由のエキゾチシズムがくすぐったい大人の味。ようするにフランス映画色が濃いの。坂本龍一のアレンジはすでに冴えている。

80年6月に発表された高橋ユキヒロのソロ・アルバム。参加ミュージシャンを見ると、坂本龍一、大村憲司、細野晴臣、鮎川誠といったYMOを中心にサディスティックスやシーナ&ロケットのメンバーたちが、ワイワイと集まってつくったような感じです。

至極ゆったりと人を説得してしまうというような魅力がこの人にはある。それもシニカルだったりシリアスだったりしないで、ほほえみが究極の答えであるとでもいうように。『四月の魚』はユキヒロ主演・大林宣彦監督の映画のサントラ。『薔薇色の明日』は83年の珠玉作、ラストのバカラックのカヴァー「エイプリル・フールズ」が置き忘れられた銀のイヤリングのように美しく光っている。

YMOの中では最もミュージシャンとしての活動が盛んな高橋幸宏。『ニウロマンティック』及び、サントラ『四月の魚』を含むYENレーベルの5枚のアルバムから選曲された初のベスト。テクノ・イメージも強いが、独得のロマンを湛えたポップさが綺麗。