ミニ・レビュー
元スーパーリラックスのメンバーが集まった3ピース、ニューカマーらしからぬ(実際そうじゃないし)熟達した楽曲センスと間合いが素敵なデビューマキシ。心地良いメロディをちょっとだけずらしたり、とてつもなく残酷なことをちょっとだけ云ってみたり、そのちょっとだけが、いい。
ガイドコメント
2ndミニ・アルバム『青い世界』のリリースに合わせ、1作目の『うたかた』を全国流通開始。楽曲の好さが評判となり、タワーレコード渋谷店で2週連続1位に輝いた傑作だ。全5曲入り。
収録曲
01スローライフ
1stミニ・アルバム『うたかた』の冒頭にも収録されていた、音速ラインのテーマ・ソングともいえる楽曲。誰でも持っているであろう“譲れないもの”の大切さを、切れ味鋭いギター・サウンドに乗せて藤井敬之が切々と訴えかける。
02冬の空
『風景描写』に再収録もされた、初期音速ラインを代表する名曲。ディストーションとクリーン・トーンのギターを的確に使い分け、夏と冬を対比した季節感あふれる歌詞世界を巧みにサウンドに昇華させている。
03ひぐらし (アコーステックVer.)
街の片隅でひぐらしが鳴いている寂しげな情景を描いた、儚くも美しいアコースティック・バラード。効果音として使用された街の雑踏音がまるで1つの伴奏楽器のように機能し、歌の世界観を構築するのに貢献している。
04声
1曲の中にこれでもかというぐらい複雑な展開を盛り込んだ、音速ライン流プログレッシヴ・ロック。リズミカルなリフレインとポップなメロディ・ラインで、難解な印象は与えずにリスナーを自分たちの世界に引き込んでしまうのはさすが。
05tempo115
アコースティック・ギターのコード・ストロークも爽やかなギター・ポップにブレイクビーツを組み合わせてしまった、新鮮な味わいのミクスチャー・ポップ。楽曲のBPMをタイトルに冠してしまう遊び心も楽しい。
06蒼ボート
忘れたくなくても、だんだんと忘れ、色褪せていってしまう大切な思い出の数々が頭の中を駆け巡る……。それでも明日へと進んでいこうとする真っ直ぐな意志が貫かれた、凛とした力強さを感じさせるロック・チューン。