ガイドコメント
新作『シンク・タンク』発売を記念し、旧作を廉価再発。本盤は、既成概念や想像を越えて新境地へと到達した99年の6thアルバム。ビートルズ以降のUKロック・シーンに燦然と輝く名盤だ。
収録曲
01TENDER
02BUGMAN
コアなファンの間では「ソング2 パート2」なる俗称で呼ばれているように、グランジ・ロック風のアグレッシヴなサウンドが楽しめる。ただし「ソング2」と異なり、こちらには音響ロック的な側面もあり面白味も2倍。
03COFFEE & TV
04SWAMP SONG
ブルージィなギター・フレーズはスワンプと言えばスワンプだが、ループし続けるサウンドやデーモンのスクリーミングには、むしろサイケデリックに近い趣。デーモンのアイドルのひとり、シド・バレットが憑依した!?
051992
92年に録音したデモ音源を基にした曲であることから、このタイトルに。思い悩むような歌詞そのままの曲調の中で、グレアムのギターが手を変え品を変え、フリーキーなフレーズを連発。リズム隊が繰り出す催眠的フレーズも効果的。
06B.L.U.R.E.M.I
タイトルからもセックス・ピストルズの「拝啓EMI殿」を連想させるパンキッシュなナンバー。「拝啓」はかつての所属レーベルを非難した曲だが、こちらは“EMI=ブラー”であると、自らの功績を主張した冗談ソング。
07BATTLE
ブラーらしい美メロが、無機質な美しさを湛えたポスト・ロック/ダブ・サウンドと合致している実験的佳曲。録音作業中、言葉を発することなく弾き続けていたというグレアムのギターが、得がたい緊張感をもたらしている。
08MELLOW SONG
アコースティック・ギターで弾き語るリラックスした序盤を経て、サウンド・コラージュ満載の後半へと展開するプログレッシヴ・ロック風ナンバー。前半でオルガン、後半でハープシコードが控えめな音色ながらも大仕事をこなしている。
09TRAILERPARK
トリップ・ホップ調のトラックに、デカダンスなムードからフリーキーに豹変するギター・フレーズが被さるダウナーなナンバー。歌詞の序盤ではローリング・ストーンズの名が登場。デーモンの歌声もクール&デカダンス。
10CARAMEL
支離滅裂で非構造的な展開が心地よい夢幻的/実験的ナンバー。過去の作風を投げ捨てて挑む大胆な作風に、ピンク・フロイドを思い出す人もいるのでは。二度、三度と繰り返し聴いても、そのたび違った面白さに出会える曲だ。
11TRIMM TRABB
美麗なメロディが流れるソフトな前半と、ギター・ノイズの轟音が渦巻くハードな後半の二部構成。デビュー当初の彼らの楽曲を要素ごとに細かく分解して再構成したとも解釈できる、完成度高いナンバー。いやはや感慨深い。
12NO DISTANCE LEFT TO RUN
13OPTIGAN
アルバム『13』の締めくくりとして用意されたインスト・ナンバー。遊園地で流れるようなドリーミーなメロディが、溝の擦り減った古いレコードのゆらゆらとおぼつかない音像とともに届けられる。
14I GOT LAW