収録曲
01TELL ME WHY
古い友人から初対面の他人まで、誰もが微笑んでしまう自己紹介のような曲。アコギとコーラスのみによる素朴なサウンドだが、ヤングにしては明るく陽気な姿勢で積極的に迫るフォーキーなバラード。ライヴのオープニングで披露されることが多い定番曲でもある。
02AFTER THE GOLD RUSH
ピアノの弾き語りによるバラード。核戦争後の世界を舞台にしたポスト・サイケデリックな幻想譚。ヒッピー讃歌「木の舟」のスペース・オペラ版ともいえる。絶望を超えて歌い上げるヤングのヴォーカルが素晴らしい。間奏の牧歌的なフレンチ・ホルンも秀逸。
03ONLY LOVE CAN BREAK YOUR HEART
ワルツのリズムで歌われる風変わりなバラード。ラブ・ソングだと思われがちだが、どちらかといえばドラッグ・ソングに近い。今風にいえば“引きこもりの歌”でもある。この名曲の独特の崩壊感を愛するファンは多く、カヴァー・ヴァージョンも無数にある。
04SOUTHERN MAN
引っ掻くようなギター・リフが先導するロック・チューン。コーラスも強力だが、やはりヤングのエキセントリックな歌声が圧巻。米国南部の人種差別主義者を批判した歌詞も話題になった。充分すぎるほどヒステリックなギター・ソロは、ライヴではより過激に暴走する。
05TILL THE MORNING COMES
まるで童謡のようにシンプルなバラード。ピアノとトランペットとリズム・セクションをバックに、ヤングと仲間たちが俳句ばりに単純な歌詞を陽気に繰り返す。わずか80秒間の小品だが、アナログ時代にはアルバムA面の最後を飾る重要なコーダだった。
06OH,LONESOME ME
ドン・ギブソンが書いたカントリーの古典を大胆にリメイクしたバラード。ヤングならではの哀愁のヴォーカルと汽笛のようなマウスハープが素晴らしい。彼のオリジナルだといってもおかしくないほどの独創性がここにはある。とりわけ彼の歌声の記名性は強力。
07DON'T LET IT BRING YOU DOWN
贅肉を削ぎ落としたシンプルなサウンドをバックに歌われるバラード。老人や盲人が犠牲になるヘヴィな歌詞は辛辣。「そんなことで落ち込むなよ」という擬似ポジティヴなメッセージも皮肉っぽく響く。初期ヤングのユニークな個性を象徴するような曲のひとつ。
08BIRDS
ピアノをバックに歌われる美しいロスト・ラブ・ソング。「明日は、今日まで出会うことができなかったものと出会える日」という歌詞の一節が泣かせる。クールを装うヤングのメロウな歌声に寄り添うような盟友スティーヴン・スティルスのハーモニーも好サポート。
09WHEN YOU DANCE I CAN REALLY LOVE
ポジティヴなギター・リフが狂騒的なバンド・サウンドを牽引する曲。ダンスを性的な比喩に使った熱烈なラブ・ソングだが、ヤングにしては珍しくストレートに迫っている。流麗なヴォーカル・ハーモニーやにぎやかなエレクトリック・サウンドは擬似CSN&Y仕様。
10I BELIEVE IN YOU
絶望的なまでにせつないラブ・ソング。この手のラブ・ソングを歌わせたら、シンガー・ソングライターとしてのヤングは抜群のテクニシャン。彼の夢遊病的な歌声やシンプルなサウンドの感触は、アルバム『ジョンの魂』収録曲を彷彿とさせる。
11CRIPPLED CREEK FERRY
古いカントリー・スタンダードのようなオリジナル曲。シンプルだが力強いクレイジー・ホースのバンド・サウンドとコーラスをバックに、レイドバックしたヤングが陽気に歌う旅立ちの歌。わずか90秒の小品だが、明日を予感させるポジティヴな響きがここにはある。