ガイドコメント
ブラック・サバスの記念すべきデビュー・アルバム(70年発表)。黒魔術を取り入れたバンド・イメージ、重く暗いサウンドは、のちのヘヴィ・メタル・バンドに大きな影響を与えた。
収録曲
01BLACK SABBATH
降りそそぐ雨、雷鳴、教会の鐘の音……。そこへ切り込んでくる、不気味でヘヴィな異形のリフと呪文のようなヴォーカル。たった3音で悪魔的音世界を見事に表現した暗黒の名曲。後半の狂気じみたグルーヴも並外れている。
02THE WIZARD
マウス・ハープの素朴な音色から幕を開ける、キャッチーなグルーヴを持ったヘヴィ・チューン。隙間を活かしたリズム・ワークと、どこか朴訥としたヴォーカルが醸し出す田舎じみた風情の中の怪奇が、なんともクセになる。
03BEHIND THE WALL OF SLEEP
ヘヴィなグルーヴと大味なブルース・テイストが、呪文ヴォーカルと一体となった異色曲。3分半強の決して長くはない尺の中に、やや強引ともとれるリフ&フレーズ展開がいくつも用意されているところも特徴的だ。
04N.I.B.
即興的なベース・ソロに導かれて幕を開ける、印象的なヘヴィ・リフを持った人気ナンバー。初期ブラック・サバスが得意としている、ヘヴィでグルーヴィだがどこかキャッチーなノリがなんとも言えず心地良い。
05EVIL WOMAN (DON'T PLAY YOUR GAMES WITH ME)
ブラック・サバスのデビュー・シングルとして知られるが、バンドのオリジナル曲ではない。シンプルなブルース・ナンバーながら、いかにもサバス的なヘヴィ・グルーヴが全編にわたっているのは言わずもがなだ。
06SLEEPING VILLAGE
不穏なイメージを掻き立てるギターの爪弾きとそこに絡む口琴の響き、そしてつぶやくようなヴォーカル。しかし、そのイントロダクションが明けると一気にグルーヴィなブルースへと転じ、ジャジィなリズムが全体を支配する不可思議な曲。
07WARNING
オリジナル・アルバムでは前曲からつながって始まる、10分半の長尺曲。エインズレー・ダンバー・リタリエーションのカヴァーで、ぶっきらぼうなヴォーカル・パートからジャジィなインプロヴィゼーション・パートへの流れのユルさも魅力だ。
08WICKED WORLD
ジャム・セッションの中から生まれてきたようなナンバー。5分に満たないランニング・タイムの中へ詰め込まれた変幻自在のリフ展開と、暗黒のブルース・アンサンブル、さらには即興性も大いに楽しめる。