ミニ・レビュー
さすが個性派/クール/とっぽい俳優のオダギリジョーだけのことはある。タンクトップに入ったケース型CDなど装丁のお洒落さはもちろんのこと、楽曲ではとても哀愁味を持ったギター演奏を響かせる。これはインスト作。彼の心の情景を綴った幻想作だ。
ガイドコメント
勝手にしやがれのシングルにゲストで参加するなど、音楽活動が大きな話題となっていた人気俳優、オダギリジョー初のアルバム(インスト盤)。「バナナの皮」など全5曲を収録。マルチな才能が光る、荘厳なインスト・ナンバーが並ぶ。
収録曲
01バナナの皮
アフリカン・ドラム風の土着的なリズムの上に、オダギリジョー自身が奏でるフリーキーなエレクトリック・ギターが被さる、サイケデリックなダンサブル・チューン。ダダイズムを踏襲したユーモア・センスが存分に発揮されている。
02Gr.For The Film
金属的な響きが強調されたエレクトリック・ギターがゆったりとフレーズを奏でていく、ダウナーなチル・アウト・チューン。サウンド全体にかけられた深い残響音には、ブリストル・サウンドからの影響が強く表われている。
03HAZARD
映画監督の園子温が綴った言葉をオダギリジョーが朗読するポエトリー・リーディング・ナンバー。バックでは野性味あふれるヘヴィなロック・サウンドが鳴り響き、フリー・ジャズ的な混沌へと突き進んでいく。
04鼓動
“鼓動”を体現するパーカッションとベースのみで構成されたプリミティヴなビート・ナンバー。ドラの音色がフィーチャーされたアンサンブルは、まるで中国の祭囃子のようですらあり、リスナーをトランス状態へと誘う。
05老人と椅子
ピアニカとアコーディオンが大胆なフレージングで妖しく絡み合うインストゥルメンタル・ナンバー。けだるくも奇妙な熱気を帯びた、呪術的なサウンドだ。素朴さの中にも洗練を感じさせる鋭いリズムが耳に残る。