ガイドコメント
セクシーに過激に魅了するポップ・アイコン、レディー・ガガの約1年半ぶりとなる3枚目のアルバム。全米No.1シングルとなった「ボーン・ディス・ウェイ」をはじめ、第2章開幕にふさわしい、さらに進化を遂げたガガのアートの世界を堪能できる。
収録曲
[Disc 1]
01MARRY THE NIGHT
フェルナンド・ギャリベイとの共作によるクラブ・エレクトロ。“夜と結ばれる”と宣言する歌だが、奇特な目で見られようが闇の世界で突っ走るわという決意にも似た気概を感じる。夜の摩天楼を疾走するように痛快だ。
02BORN THIS WAY
今生きている自分を愛して突き進め! と声を大にするエレクトロ・ダンサー。ヤッパ“シニア”ローアセンとフェルナンド・ギャリベイとの共作で、マドンナ「エクスプレス・ユアセルフ」似な曲調は物議も醸したが、ガガの歌唱はそんな些細なことはどこ吹く風と力強い。
03GOVERNMENT HOOKER
マイナーなユーロ・エレクトロ風のサウンドが背徳感を生み出すポール・ブレア(DJホワイト・シャドウ)との共作曲。神妙なオペラ風のイントロから堕落していくような展開が印象的。カネを払うなら売女にもなるという強烈なアイロニー・ソングだ。
04JUDAS
抑揚の激しい“ジューダス、ジューダ、アー、アス”のフックがクセになるクラブ・エレクトロ・ダンサー。人間の二面性を美徳のイエスと悪魔のジューダスとし、私はその悪魔に恋しちゃったのと語る。レッドワンとの共作によるセンセーショナルなナンバーだ。
05AMERICANO
スパニッシュやヒスパニック風情が漂うノスタルジックな旋律が特色のユーロ・ポップ。“捕まえないで、法のギリギリを生きている”のフレーズは、さまざまな問題を抱えるアメリカの苦悩を物語る。ガガの歌唱もバワフルだがどこか虚しさを帯びている。
06HAIR
髪のように自由でありたいと願う自己解放ソング。私は変人じゃなくて戦い続けているだけというくだりは、まさにガガの本音の吐露か。サックス音を加えたAOR的なドラムが効いたヴァースとバキバキしたエレクトロなブリッジを巧みに組み込んだ、レッドワンとの共作曲。
07SCHEI゚E
ファルコ「ロック・ミー・アマデウス」を意識したようなドイツ語ラップ・パートが魅力のクラブ・エレクトロ。ヨーロッパの洒脱なエッセンスとUSコンテンポラリーを行き来する展開は、レッドワンが大きく手を貸している。
08BLOODY MARY
まどろみが漂うファンタジーな演出は、タイトルと同名のカクテルで陶酔していくかのよう。這うような硬質なビートが幻想的な世界を助長する。“流血のメアリー”を引用するも、真のテーマはやはり“愛”だ。ポール・ブレアとの共作曲。
09BLACK JESUS AMEN FASHION
センセーショナルな題材をポップに昇華させる、ガガの真骨頂ともいえるポール・ブレアとの共作曲。神を冒涜すると言われそうなタイトルも、既成概念という殻を打ち破れとのガガ流の表現ととれば納得。ハード・エッジなクラブ・ポップだ。
10BAD KIDS
ヤッパ・ローアセン、フェルナンド・ギャリベイ、ポール・ブレアとの共作によるユーロ・ポップ。軽蔑してきた世間へ“あたしはワルガキ”と開き直る。ただ“それでも生き残る”と叫ぶのがガガらしい。型にはめられて苦悩する若者へ拳をかざせと煽るメッセージ・ソングだ。
11FASHION OF HIS LOVE
開放的なビートが印象的な、フェルナンド・ギャリベイとの共作によるユーロ・ポップ。あなたのために私は生まれたという真っ直ぐな愛を吐露する。彼は私にとって単なるアクセサリーじゃない! と告げる、ピュアなラヴ・ソングだ。
12HIGHWAY UNICORN (ROAD TO LOVE)
孤独なものだけが愛の勝負に勝てると、自身をユニコーンの後を追うポニーに見立てて叱咤激励する。“今夜こそ強くなれる”というフレーズは、自分に言い聞かせるような強い決意だ。レッドワンらとの共作による、清々しさが広がるコーラスが印象的なエレクトロ・ポップ。
13HEAVY METAL LOVER
フェルナンド・ギャリベイとの共作によるクールなクラブ・エレクトロ。ヴォイス・エフェクトを駆使したテクノ風のアクセントが、禁断の世界を演出する。妖艶な大人の遊びをヘヴィー・メタルとしたセンスは、ガガならではだ。
14ELECTRIC CHAPEL
“ドゥー、ドゥドゥ……”のフックが耳に残る、ポール・ブレアとの共作によるクラブ風ロック・チューン。硬質なギターに煽られるように、ガガの歌唱もハードだ。純粋な愛を“汚れた愛し方”で……それを誓い合うのが、エレクトリック・チャペルだ。
15THE QUEEN
フェルナンド・ギャリベイとの共作によるナンバー。タイトルや“キラー・クイーン”のフレーズ、エレクトロ・ダンサーからロック調へ転調する展開など、クイーンを意識した世界観が特色。“クイーンになれる!”と高らかに歌い上げる女王宣言ソング。
16ユー・アンド・アイ- YOワ AND I -
ロバート・ジョン“マット”ラングとの共作によるスタジアム・ロック風ナンバー。クイーン「ウィー・ウィル・ロック・ユー」を拝借し、ブライアン・メイがギター参加など、クイーンへの愛に満ちあふれている。美しいコーラス・ワークも、当然意識してのもの。
17THE EDGE OF GLORY
鼓動にも似た音から幕を開ける、フェルナンド・ギャリベイとの共作曲。ロック・テイストのクラブ・チューンだが、高鳴るサックスやポジティヴなビートが広がりを感じさせる。栄光の崖っぷちにいるとは、ショウビズの酸いも甘いも知ったガガらしい描写だ。
[Disc 2]
01BORN THIS WAY
マドンナ「エクスプレス・ユアセルフ」似と話題となった2ndアルバム先行シングルのカントリー・ロード・ヴァージョン。土ぼこりを想起させるハーモニカとギターを軸とした土着的なアレンジは、“この運命のもとに生まれてきた”というテーマに意外と合っている。
02JUDAS
“ジューダス、ジューダ、アー、アス”のフックがクセになるクラブ・エレクトロ・ダンサーのリミックス・ヴァージョン。手掛けたのは『ボーン・ディス・ウェイ』制作チームの一人、DJホワイト・シャドウことポール・ブレア。低音ボトムを強調した仕上がりだ。
03MARRY THE NIGHT
フェルナンド・ギャリベイとの共作によるクラブ・エレクトロのリミックス・ヴァージョン。近未来的テクノ・ハウスといった硬質なサウンド・プロダクションが特色。オリジナルが空を駆ける疾走感なら、こちらはハイテクな地下都市を這い回るイメージだ。
04SCHEI゚E
冷淡なドイツ語ラップ風のフレーズが印象深いクラブ・エレクトロがソリッドなテクノへと変貌。ミックスを手掛けたのはDJホワイト・シャドウことポール・ブレア。タイトルに“ミュグレー”とあるのは、懇意のデザイナーのティエリー・ミュグレーとの関係ゆえか。
05FASHION OF HIS LOVE
元来フェルナンド・ギャリベイとの開放的なビートが印象的な共作曲を、フェルナンド・ギャリベイがさらにリミックス。オリジナルはユーロ・ポップの面持ちが強かったが、4つ打ちのテクニカルなアレンジでアグレッシヴなハウス・ポップへと変身させている。
06BORN THIS WAY
「Android au」CMでも話題の2ndアルバムの先行シングルのリミックス。デイヴィッド・ヨストとドイツ人プロデューサーのヨッヘン・ナーフによるもので、爆発的な高揚感を持つ原曲に対して陰影を帯びたマイナー調のヨーロッパ的なアレンジ演出をしている。
07BORN THIS WAY
過去にはt.A.T.u.作品も手掛けたグエナLGのプロダクションによる、2ndアルバムの先行シングルのリミックス。リミキサーはジュリアン・キャレットで、“ボーン・ディス・ウェイ”のリフレインが印象的なテクノ・トランス色を強調したアレンジとなっている。