ミニ・レビュー
レコード会社3社がそれぞれの持つ音源で編集し、同時発売した永ちゃんのベストのワーナー版(80〜88年)。ソニー時代ももちろんいいが、脂の乗りきったワーナー時代も過剰にクサくて、やっぱ最高。「HURRICANE」は初の日本盤化だそう。
収録曲
01THIS IS A SONG FOR COCA-COLA
ワーナー移籍第1弾シングルとなったAORナンバー。商品名をタイトルに入れているため、CM以外ではなかなか放送されなかったというエピソードで知られる。印象の強いサビのフレーズをはじめ、楽曲自体はきわめて高品位。
02涙のラブレター
いかにもエレクトリックなギター・サウンドとハーフ・フィールのリズムを特徴とするアメリカン・ロック・ナンバー。矢沢永吉らしい粘度の高いヴォーカルと、その合間を縫うように繰り広げられるブルース・ハープが味わいどころ。
03抱かれたい、もう一度 (LOVE THAT WAS LOST)
渡米後にリリースされた9枚目のシングル曲。恋人と別れる夢を見て、現実の愛を再認識するというラブ・ソング。スムージーなサックスなどのアダルト・コンテンポラリーなサウンドと全編英語による歌詞が特徴的。
04YOU
記念すべき10枚目のシングル曲。軽快なシャッフル・ビートが心地良いロック・ナンバーで、渡米の影響を強く感じさせる洗練されたサウンドが特徴的。自分を惑わせる女性への狂おしい愛を哀愁たっぷりに歌い上げる。
05SHAMPOO
「YOU」と両A面扱いでリリースされたシングル曲。シンセ・ベースをフィーチャーしたムーディなナンバーで、女性と別れた翌日の虚しさと後悔の念を綴る。映像が目に浮かぶ場面描写のしっかりとした歌詞が秀逸だ。
06YES MY LOVE
矢沢永吉本人が出演するコカ・コーラのCMソングとなったヒット・シングル曲。ミュート・ギターとパーカッションが奏でる爽やかなサウンドと熱すぎないアダルトなヴォーカルが魅力。エンディングの口笛も聴きどころ。
07LAHAINA
メランコリックなアダルト・コンテンポラリー・ナンバー。艶やかなヴォーカルと切なさを伴った物憂げなサウンドが印象的。資生堂のキャンペーン・ソングで、前シングルに引き続き矢沢永吉本人がCMに出演した。
08ROCKIN' MY HEART
80年代らしい王道アメリカン・ポップ・ロック・ナンバー。底抜けに明るい曲調と男声ファルセットを中心とした爽やかなコーラスが魅力。矢沢永吉と親交の深いジョン・マクフィーが作詞・作曲を手掛けている。
09ミスティ-misty-
83年6月にリリースされた14枚目のシングル曲。スムーズなコード・ワークやシャレたギター・サウンド、色気のあるサックス・ソロなど、王道的AORサウンドを展開。矢沢永吉が補作という形で作詞に参加している。
10LAST CHRISTMAS EVE
クリスマスをモチーフにしたスロー・ラブ・バラード。キャロル結成以前の貧乏時代に、電車の中で突然浮かんだメロディを軸にして作られたことで知られる曲。ささやくように歌う矢沢永吉のヴォーカルが実にセクシーだ。
11THE BORDER
ドゥービー・ブラザーズのB.ラカインドとM.マクドナルドが作詞・作曲を担当したAORナンバー。矢沢永吉のいくぶん軽やかなヴォーカルとサビでの華やかなバック・コーラスが特徴的。16枚目のシングル曲。
12逃亡者
シンセサイザーによるドリーミーなイントロで始まるポップ・ロック・ナンバー。エレクトリック・ドラムを前面に出した、80年代らしい軽やかなサウンドが特徴的。アルバム『E』の先行シングルとしてリリースされた。
13TAKE IT TIME
王道的な80年代ポップ・ロック・ナンバー。きわめてキャッチーなメロディと矢沢永吉の野太いロック・ヴォーカルが魅力。各種シンセ・サウンドや軽快な8ビートを醸し出す電子ドラムなど、きめ細かいアレンジが光る。
14BELIEVE IN ME
ハーフタイム・フィールのソリッドなリズムを基調とするポップ・ナンバー。バッキングは比較的オーソドックスな80年代サウンドだが、矢沢永吉のアクの強いヴォーカルが楽曲全体を“矢沢カラー”一色に染めている。
15HURRICANE
全米リリースのアルバム『FLASH IN JAPAN』に収録のハード・ロック・ナンバー。力強いビートとメロディ重視という、矢沢スタイルを象徴するような1曲。パワフルなロック・ヴォーカルを堪能できる。